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INTERVIEW

Japanese

Bentham

 

Bentham

Member:オゼキタツヤ(Vo/Gt) 須田 原生(Gt/Cho) 辻 怜次(Ba) 鈴木 敬(Dr/Cho)

Interviewer:秦 理絵

-「マーガレット」は、今の所属事務所からタイトルを付けた曲ですね。"10年経ってまだ燃えてるよ"っていうストレートな歌詞が印象的でした。

オゼキ:これは曲が先行して出てきて、歌詞のイメージが湧いてきたんです。僕が手応えのある曲で花とか、植物の名前を使うっていうのは、ファンは知ってるんですよ。それも頭の片隅にあって、僕が今伝えたいメッセージをタイトルに込めたんです。マーガレットは花言葉がいろいろあって。"優しい思い出"というのもあるので、忘れないでねって意味もあるんですよ。「FUN」という曲でも、"忘れないで"ってことを歌ってるし。いろいろな含みもあるけど、事務所を起点に、古閑さんとか出会ったすべての人たちにありがとうっていう曲ですね。

辻:「マーガレット」は、ストレートに"Benthamはこういうバンドです"って名刺を渡す曲だなと思っていて。デモの段階から、俺はすごく好きだったんですよ。なんだったら、リード曲は「マーガレット」じゃないの? ぐらい。

オゼキ:それ、辻君が言ってきたとき、嬉しかった。わりと「アルルの夜」でいこうかってなってるときに。

辻:俺だけだっけ? "「マーガレット」でしょう!"って言ったの。

須田:言ってる意味はわかるんですけどね。

オゼキ:両方を押せばいいんですよ。激しい曲は「マーガレット」で、伝えたいことは「アルルの夜」でいこうって。

辻:自然と裏リードみたいな気持ちにはなってましたね。家でベース・ラインを考えるときも、この10年を総括するようなオゼの歌詞を見てると、アルバムを代表する曲なんじゃないかなって思って、気合を入れてやらなきゃな、みたいな感じだったし。

-それで言うと、「COMPLEX」とかも、ピアノを取り入れたBenthamらしいポップでロックな曲だし、新曲のどれがリードになってもおかしくなかったんじゃないですか?

オゼキ:そう。僕らはイケてるので。イケてるんだよっていうのを、自信を持って言えるんですよ。サウンドを流行りっぽくやろうと思えばできるけど、僕らがかっこいいと思わなきゃやらないし。そういうシンプルな考えですよね。全曲リードでいけるバンドなので。それを10年目以降で改めて押しつつ。みんな成長の途中なので。曲に対しての想いとか、曲の良さは誰にも負けないから、それを広げる作業だけなんです。その広げる作業を自分たちの手でもやっていこうねっていう、かなり前向きな1枚ですね。

-新曲に加えて、アルバムにはライヴ音源も収録されます。今年の4月に開催された無観客ライヴ("DO NOT DISTURB")で演奏した3曲ですね。

オゼキ:高崎のTAGO STUDIOですね。コロナ禍で僕らは配信ライヴにいち早く手を出したんですよ。僕ら界隈の中では2、3番目に手を出したんです。

-たしかに早かったけど、2、3番目って言っちゃって大丈夫?

オゼキ:僕調べ。オゼ調べです(笑)。

辻:下に注釈を入れておいてください。

オゼキ:まぁ、見切り発車も含めて、パーンって動き出したんです。そこから、配信ライヴと普通のライヴっていうのは果たして同じなのか、別個で考えるべきなのか、とか。聴いてる音の環境はみんな違うとか。いろんなことを考えながらやっていくなかで、僕たちが納得のいくクオリティで配信ライヴをやりましょうっていうところで、TAGO STUDIOでやらせてもらえることになって。その音も信頼できる方にお願いしたんです。

-ライヴハウスよりもじっくりと聴けるのであれば、音楽として質のいいものを届けたいということだったんですね。

オゼキ:そう、そこでこのアルバムに入れるために録音もするっていうのも決めてたし、「アルルの夜」も初めて披露したんです。

須田:前日は眠れないですよね(笑)。

オゼキ:ミスったらそのままですから。そこも過度にプレッシャーをかけて、やることを増やして、これが終わったら成長できるよねっていうこと。追い込まれながらも、ファンのみんなに動いてるところを見せたかったんです。で、さっきの「パブリック」の10パターンの話じゃないですけど、ライヴ用のリアレンジで見せられるのがいいなっていう。曲は知ってるけど、新曲っぽい感じで今ならではのアレンジになってるので。

-特に「クレイジーガール」は重心が低い感じで、年相応の感じもなってますし。

須田:かっこいいですよね。

オゼキ:そういうのをやることで、古参ファンとか新規とかの論争がありますけど、そういうのも関係なく、うちらの作品の今を感じてほしいんです。

-「クレイジーガール」と「FUN」、「アクセル」っていう3曲のバランスもいいですね。初期、中期、最新曲っていう各タームで出した大事な曲で。

須田:"だいたいこれだろ"って自然に決まりましたからね。「アクセル」は、去年出した『DO NOT DISTURB』っていうライヴ会場限定盤から入れたかった曲だし。

辻:「FUN」はベスト盤(2019年リリースの『Re: Public <2014-2019>』)に入ってましたけど、映画で言うナンバリング・タイトルには入ってなかったので。いい曲なのにもったいないなって。自ずと決まっていきましたね。"これと、これでどう?"って俺が思ってたことが、みんなも一緒なんだなって思いました。

オゼキ:あとはライヴでやったテイクを重視にしてますね。ガチガチに補正しちゃったら意味がないし。タゴスタ(TAGO STUDIO TAKASAKI)でやった、僕らが見せたいライヴ感と、今須田と辻君が言ったような"この曲は入れたい"っていうもの。テイクも聴いて、これはピッチがズレてても、かっこいいよねっていうのを入れたので、意味のあるライヴ音源ですよね。

-タカさんはどうですか?

鈴木:最近、クラファンのリターン用で、キネマ倶楽部で2~3年前にやったライヴ音源をミックスする作業をやってるんですよ(※取材は9月上旬)。それは客席に入ってるマイクにめちゃめちゃ歓声が入ってるんです。客席じゃなくても、ドラムのマイクにも入ってるし。

-なるほど。無観客だと、歓声はないわけですからね。

鈴木:それを編集したときに、今回はいわゆる声が入ってるライヴ盤とは違うなと思って。それはそれで、今後振り返ったときに、今こういう状況でいろいろなやり方でライヴをやったなって時期を思い出す。そういうライヴ音源になってると思います。

-あとはもうひとつ、ここにライヴ音源を入れたことは、ライヴハウスという場所を大事にしてきたライヴ・バンド=Benthamの10周年盤としても美しいんですよね。

オゼキ:そう、まさにその想いもありましたね。

-最後に10月29日には川崎CLUB CITTA'で10周年のワンマン・ライヴ([Bentham"10 YEARS" SPECIAL LIVE〈3651〉])を開催します。

オゼキ:Bentham史上一番トライをする部分があると思います。レコーディングに時間をかけてきたように、ライヴの準備をいっぱいしてきてるので。ちゃんと過去最高を超えながら、来てくれた人たちにお返しをする日にできるかな、と。超自信があります。

須田:楽しみですね。すごく楽しみです。

オゼキ:セットリストもみんなで最初にZoomでたたき台を作って。

須田:全曲出して決めていったので。

オゼキ:僕らが今やりたいことが詰まってるので。会場準備もそうだし、グッズも、過去最高に作ってるんですけよ。売れなかったら、僕はもうグッズに関われない。

辻:前もあったな、そういうの(笑)。

オゼキ:利益とかじゃなくて、持ってけドロボー! ぐらいの価格設定でやってるので。

辻:10周年だ、この野郎! っていうね。いろいろ心配な状況だけど、きっと大丈夫だと思うんですよ。ツアーもやれたし、アルバムも出せたし、レコーディングやれたし。きっとチッタ(CLUB CITTA')はできるはずだし。

須田:雨は降るかもしれないですけどね(笑)。

-今のBenthamのライヴ自体もすごく自然体でかっこいいですしね。

鈴木:みんな、今すごく良い意味で肩の力が抜けて、とても楽しくバンドをやれてるんですよね。あんまりいいニュースはないですけど、俺らのいいヴァイブスを伝えたいです。

辻:初心を忘れてない? "ガツガツいく"初心を忘れてない(笑)?

鈴木:そこはね、力が入りすぎても良くないなっていう感じですね、今は。