Japanese
KANA-BOON
2016年02月号掲載
Member:谷口 鮪(Vo/Gt) 古賀 隼斗(Gt/Cho) 飯田 祐馬(Ba/Cho) 小泉 貴裕(Dr)
Interviewer:石角 友香
-飯田さんはどうですか?
飯田:デビュー前とかデビューしてからは無敵感というか、"こんだけすごいことができんねや"とか、"こんだけすごいバンドなんや"っていう感覚があって。でもやっぱり3年経って、それがちゃんと落ち着いたときに、結局さっきも言ってたように楽しくてやってたことが、義務になってるのがメンバー的にもあって。でも、その向き合い方的にも、そんなうまいこと器用にもできひんくて、すり減らしてる感じも見えて。でもそれをしんどいって言ったらあかんしみたいな雰囲気が明らかに出てて。それで、もう制作も決まってるからやっぱり言葉に出さないと、パンクしてたんやろうなって。それを鮪から言ってくれたのがすごく助かった。
-今までのKANA-BOONの、いい意味での若さで切なくなってた部分とは全然違って強くなったなと思って。その理由がちょっとわかってきた気がします。谷口さんは話し合いのあと、どの曲の歌詞が1番先に書けました?
谷口:「スタンドバイミー」(Track.11)ですね。その話し合いをして、最初にでき上がったのがこの歌詞で。ほんと、今話したすべてはこの歌詞に全部集約されてて、自分自身これが書けたからこそ、大きく気持ちも変わったし。まあ、"Origin"ってタイトルも出てきたしっていう。だから「スタンドバイミー」はものすごく大事なキーというか、これからもどんどん大事になっていくんやろなって曲ですね。
-「スタンドバイミー」と1曲目の「オープンワールド」が対になってる感じがしました。「オープンワールド」は音楽を始めたころの自分を俯瞰で見てるようなところがあるし。
谷口:ああ、はい。そうですね。やっぱり"Origin"っていう言葉を見つけてからは「スタンドバイミー」とは、別の視点でもう一度見直さないといけないっていう気持ちがあって。「オープンワールド」の1番は過去の自分が見てた世界で、2番は成功した自分が憂いている感覚というか。なんかそういう......対極感というか、時間経過みたいなものをちゃんと書きたかったっていうのはあります。
-今のお話を踏まえたうえで音楽的にはすごく楽しいアルバムですね。
谷口:それはすごい感じてます。
-新機軸としてはハードなTrack.5「anger in the mind」やTrack.6「インディファレンス」とかは演奏してて楽しかったんじゃないですか?
古賀:今回、その話し合いをして、自分らしさを大事にするとか、楽しくやるとかってことを意識してギター録りをしたんですけど、その話し合いをした甲斐があったなと。「anger in the mind」も、とりあえずワーミーだけでギター・ソロを弾ききるってのを勝手に自分で掲げてて、それをそのままやって。なんというか、ニーズに応えようって気持ちをゼロにした録り方をしたので気持ち良かったですね。
-みなさんの演奏がどんどんこれまでの枠をはみ出していく印象を受けました。
古賀:聴いてもらう側としては不安なんですよ。お客さんのニーズのこと考えてないんで、実際聴いてもらうとどうなんだろう?って。でもそれは全然、ポジティヴにとらえてプラスの面だなと思ってて。今はむしろ楽しみですね、みんなの反応が。
-「インディファレンス」の谷口さんのサビのファルセットは、MUSEのMatthew Bellamy(Vo/Key/Gt)みたいだと思ってしまいました。
谷口:あ、嬉しいです。ズバリや......。そこらへんのパワーのある曲に関しては、ようやくこういう力強さを出せるようになってきたと思うし。そこは1番嬉しい成長ですね。アルバムを作るうえでテーマはなかったにしろ、音のコンセプトはあって――ちゃんとしたギター・ロックの音というか、ボトムがしっかり鳴ってる重心の低いアルバムにしたいっていう意識があったので、そこはひとまずは達成できたところですね。
-最近バンドがみんなファンキーな方向に向かってる中で、なかなかゴリゴリな曲が多くて。
谷口:やっぱ自分たちにとってまっすぐなものというか、それをより極めたいっていう気持ちはすごく生まれましたね。
-って、言いながらもシティ・ポップ調のTrack.8「グッドバイ」みたいな曲もある(笑)。
谷口:はい、"こういう曲もやるんかい"っていう(笑)。これはわりと早めのタイミングでできて、「talking」(Track.7/2015年リリースのシナリオアートとのスプリット・シングル表題曲)のカップリングにどうか?って、そのときにはできていた曲で。まぁでも曲調的にはそういうノリの曲をやりたかったテンションやったんやと思うんですけど。
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