WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.13
2016年11月号掲載
朝方にもかかわらず渋谷は相変わらずの人の混み様である。
不夜城はそれが売りでもあるが、久々の徹夜明けにまみれた自分は、濁り酒のような気分を風に揺らしながら帰路を急いでいた。
地下鉄へと続く階段に差し掛かった時、
ふと目の前で身の丈程はあろうかという大量の商品をカートに乗せ、立ち尽くしている業者の姿が目に入った。
駅地下へ商品を送り届ける毎朝の業務とはいえ、はたから見たら誰もが心配になりそうな程のそれを一体どうやって持って下りるというのか。
心配だし、声をかけてあげようか。
しかしあいにく今は酔っているし、手伝ってあげて迷惑をかけてしまったら逆に申し訳ないよなと躊躇していたら、ひとりの男性が、
『手伝いましょうか?』と声をかけ、
自らの思いの丈をそのまま堂々とやってのけた。
ドバーンである。
最初は大丈夫ですと対応していた業者であったが、既に男性は階段側へ回り、カートの前に手を掛けていた。
『あ、後ろ向きでないと下りられないので逆向きになっても構いませんか?』
と業者。
『あ、すみません!』
と男性。
そこまでは聞こえていた。
男性よ無事を祈ると後を託した後、遠くの背の方でチャド・スミスがチャイナシンバルを叩く音がした。
それからは何を思おうと妄想でしかないのだが、
少なくとも朝方の渋谷でチャドはチャイナを叩かない。
轟音が耳を裂き、もはやその影響によって濁っているのか澄んでいるのか何とも言えない気持ちになっていた。
人間社会の難しさに頭を突っ込みながらも、
これこそ人間らしいと思ってもみたり、
嬉しいのか悲しいのか、
頼んで良かったのか頼まなければ良かったのか、
いつでもそんな狭間で人は動いてる。
音楽に置き換えてみると、いいフレーズが思いついたよというメンバーと、フレーズはこういう方向性にしたいんだよなという作曲者のやり取りにも似てる。
人の手に渡る商品を汚す事は出来ないというルールと、
困ってる人を助けたいというルール。
何処にでもある風景を最近見なくなったなと、
ふと形にしたあのふたりを何だかずっと忘れられずにいたのだ。
自分は第三者でしかなく結末の行方、本当の心のうちはわからない。
ただ手伝いましょうかといって行動した男性の言葉は前向きさで輝いていたし、最初は断りながらも一緒に運んでた姿は見ていてとても気持ちが良かった。
感謝を受け止めた上で断る事が本当の愛情の答えだったのかもしれない。
結果的に頼まなければ良かった、言わなきゃ良かったとお互い思ってしまったのかもしれないが、
これはバッドエンドではない。
何を大事にするのかは人それぞれであるが故にきっと正解はひとつではない。
社会において生きてゆくのは、正論と正論との中で見出だした互いの納得した答え、第三のルールを探す事なのかもしれないなと、道徳の授業のような僕の妄想は続いていた。
Jump da fucking rules!
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