Japanese
WHITE ASH
Skream! マガジン 2015年05月号掲載
2015.04.17 @新木場STUDIO COAST
Writer 石角 友香
およそロック・バンド然としていないキャラクター・イメージをひっくり返す"ギャップ萌え"バンド=WHITE ASHという形容が遠い昔のことに思える、佇まいも演奏も進化したWHITE ASHがいた。そんな、ニュー・アルバム『THE DARK BLACK GROOVE』リリース・ツア--のファイナル公演だった。
定刻を少し過ぎた会場が暗転すると、紗幕の向こうにすでにメンバーのシルエットが。同時に地を踏み鳴らすバスドラとシーケンスが響き渡り、のっけから力強く艶のあるのび太(Vo/Gt)のヴォーカルが興奮に火をつける......アルバム同様、高らかに「Orpheus」でライヴはスタート。山さん(Gt)のソリッドなリフで紗幕が剥ぎ取られ、オーディエンスの歓声はいきなり沸点に。全員が黒のモードな衣装で堂々と立っているのも実にクールだ。立て続けに剛(Dr)のシュアなドラミングが冴える「Just Give Me The Rock 'N' Roll Music」と、まさに"俺たちはただかっこいいロックンロールをやるだけだ"と言わんばかりの宣誓をクールにブチかます。幾何学的でダークめのライティングやアルバム『THE DARK BLACK GROOVE』のジャケットを思わせるステージ後方のシャープなセットもハマっている。これまでもそのニュアンスはあったが、バンドのR&B、ヒップホップ寄りのセンスを実感させる「King With The Bass」では、彩(Ba/Cho)の太くエフェクティヴなベース、効果的なコーラスの上でハンドマイクののび太が自由にシャープな動きを見せる、その所作や堂々とした態度も、すでに普通過ぎるルックスの青年が歌い踊ると別人!みたいな驚きではなく、完全に彼のエンタテイメントとして確立された印象を持った。そう、ただがむしゃらに押すハード・チューンじゃなく、隙間が多く、音とフレーズを研ぎ澄ました最新の楽曲が自然とこのライヴのスタイルに導いているのだろう。そして当然。バンドが目指しているのもそこだろう。
中盤ではラウド系のテイストもある「Zero」や一気にフロアが沸くアッパーな「Thunderous」まで、ビートやギター・フレーズで繋いでノンストップで4曲続けて聴かせるなど、まったく空気が弛緩する暇がない。そしてフロアの盛り上がりは決してジャンプや拳が上がるだけじゃない。若いオーディエンスが多いライヴには珍しく、思いっきり横乗りで踊る人もいれば、ただただ曲に聴き入る人、そして小さなサークルができていたりと、思い思いのスタイルで"DARK BLACK GROOVE"に身を任せているのも、WHITE ASHの音楽そのものの浸透ぶりを伺わせた。そして彼らが00年代以降のUK/USインディを自分たちなりの手法で解釈〜消化していることを思い知る、ジャングリーなビートの「Quandata」では、イントロ部分で山さんもフロアタムを叩いてどこかジャングルに迷い込んだようなイメージに引き込む。全員の進化が著しいのだが、特に剛の根底にソウルやファンクのリズム感を保つドラムは手数が多いものもシンプルなものも、一様に楽曲がスタイリッシュに機能することを下支えしている。そこに山さん、のび太のどちらもコードを弾き過ぎることなく、絶妙なセンスで作るフレーズの抜き差しが重なると、プレイの緊張感が途切れることがないのだ。エンディングの一音まで研ぎ澄ました演奏にフロアも集中する。
とは言え、のび太が"はい!ありがとうございます"と、何か番組の司会調の挨拶をすると途端に素が見えるのは相変わらずなのだが、そこは無理せず自然体なのはいかにもWHITE ASHらしい。曲や演奏はスタイリッシュだが、別に話すときまでかっこつける必要はない......そんなありのままももうギャップではなくこのバンドのスタンダードになった印象なのだ。この日は山さんが会場にちなんだ熱いMCをしたのだが、その内容といえば"初めてライヴハウスというものに来たのが、ここ新木場STUDIO COASTのARCTIC MONKEYSで。ガタイのいい外人が暴れてて怖かったけど,どうしようもなく楽しくて前方に突入したら、肩が顔面に入って奥歯が欠けた"事件をメンバーの前で初めて告白。"え?そんなことになってたの?"と、共にライヴを見たというのび太たちの驚きが笑いになってしまったのも、山さんには申し訳ないが可笑しかった。まったく記念すべき日に最高のエピソードを持ってる"持ってる男"だ。
憧れのバンドを観た思い出のステージに立った喜びが存分に伝わってきたあとは、エヴァーグリーンな輝きを持つ「Hello, Afternoon」などを披露し、のび太のソングライティングの奥行きを感じる場面も。ウェルメイドな60sのポップ・ミュージックのような味わいも様々な音楽を吸収している彼らならでは。そしてそれはワンマン・ライヴならではの贅沢なひとときでもあった。後半は「Crowds」「Kiddie」「Paranoia」とライヴのキラー・チューンを立て続けに放ち、フロアを揺らし、ソリッドに展開する流れのピークにシンプルなのに凄まじく血が騒ぐあの太いギターのイントロが鳴り響くとこの日1番の歓声が上がる......今回のアルバムの発端にもなったシングル「Hopes Bright」だ。まだ少ない全編日本語詞のこのナンバーだが、やはりサビへの突破力は言葉を共有できる分だけ強い。闇の中から手を伸ばし、何かを希求するようなこの歌に似合う、静かな青い炎のようなライティングもクールだ。またしてもエンディングまで高いテンションで決めた4人は、曲の聴かせ方、見せ方に相当、拘ったはずだ。その盛り上がりのまま本編を終了しても十分完結する満足感があったが、今回の彼らはアルバムのストーリーを重視したのか、ラストにじっくり聴かせる「Gifted」をセット。しかもこの日だけのスペシャルな編成ということでヴァイオリニストを招き入れ、荘厳でちょっと畏怖の念さえ感じさせるオープニングにライヴ・アレンジし、徐々にコーラスも重なるドラマティックな構成の強度を増していく。そしてなんといってもこの曲の最高に粋な部分である、ラストのコードのみメジャー・キーで光が見える、あの絶妙なエンディングをナマでも効果的にしっかり届けてくれたことは白眉。
大人になったとか安易な言葉は使いたくないが、もともと曲に力があるWHITE ASHが、さらに必要な音を研ぎ澄まして作ったアルバムが『THE DARK BLACK GROOVE』。五感すべてを使って自らのロックを表現した結果がこのスタイリッシュでトータリティのあるライヴに結実したのだ。それにしてもこれだけ削ぎ落としたセンス溢れるアレンジで曲そのものが成立するのは、やはりのび太のヴォーカリストとしてのスター性だろう。あらゆる音楽が並列して入手できる時代性と彼個人の才能の出会いは、まだまだこれからバンドを大きくするはずだ。
- 1
LIVE INFO
- 2025.10.06
-
kiki vivi lily
PEDRO
LiSA
ガガガSP×バッテリィズ
THE ORAL CIGARETTES
- 2025.10.07
-
LONGMAN
緑黄色社会 × Aqua Timez
古墳シスターズ
FOO FIGHTERS
- 2025.10.08
-
THE ORAL CIGARETTES
TOKYOてふてふ
FOO FIGHTERS
Re:name × Enfants
JON SPENCER
MONO NO AWARE
ORCALAND × Gum-9
- 2025.10.09
-
キュウソネコカミ
Rei
OKAMOTO'S
終活クラブ
JON SPENCER
DOES
アイナ・ジ・エンド
感覚ピエロ
Hedigan's
Plastic Tree
羊文学
Kroi
- 2025.10.10
-
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
暴動クラブ × 大江慎也
Rei
SUPER BEAVER
ザ・シスターズハイ
KING BROTHERS
PEDRO
YOASOBI
moon drop
オレンジスパイニクラブ
OKAMOTO'S
the cabs
WHISPER OUT LOUD
FRONTIER BACKYARD
LEGO BIG MORL
JON SPENCER
NOMELON NOLEMON
a flood of circle
DOES
水曜日のカンパネラ
FOO FIGHTERS
キタニタツヤ
たかはしほのか(リーガルリリー)
ExWHYZ
MONOEYES
藤森元生(SAKANAMON)
大塚紗英
感覚ピエロ
ZAZEN BOYS×サニーデイ・サービス
East Of Eden
アーバンギャルド
JYOCHO
羊文学
小林私
THE SPELLBOUND
- 2025.10.11
-
終活クラブ
キュウソネコカミ
トンボコープ
Appare!
cinema staff
秋山黄色
YOASOBI
moon drop
コレサワ
OKAMOTO'S
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
KNOCK OUT MONKEY
INORAN
WtB
阿部真央
I Don't Like Mondays.
"京都音楽博覧会2025 in 梅小路公園"
KANA-BOON
ExWHYZ
FRONTIER BACKYARD
androp
カミナリグモ
brainchild's
フレデリック
envy × world's end girlfriend × bacho
"JUNE ROCK FESTIVAL 2025"
East Of Eden
Official髭男dism
藤沢アユミ
豆柴の大群
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.12
-
a flood of circle
キュウソネコカミ
SUPER BEAVER
WtB
キタニタツヤ
セックスマシーン!!
WESSION FESTIVAL 2025
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
INORAN
"京都音楽博覧会2025 in 梅小路公園"
Omoinotake
Bimi
ART-SCHOOL
Official髭男dism
eastern youth
なきごと
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.13
-
WtB
阿部真央
I Don't Like Mondays.
Awesome City Club
ExWHYZ
Appare!
The Biscats
brainchild's
Rei
OKAMOTO'S
秋山黄色
Age Factory
トンボコープ
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
"WESSION FESTIVAL 2025"
岡崎体育
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
シド
SCANDAL
cinema staff
Cody・Lee(李)
コレサワ
ネクライトーキー×ポップしなないで
リュックと添い寝ごはん
eastern youth
hockrockb
Omoinotake
Kroi
PIGGS
清 竜人25
Plastic Tree
ぜんぶ君のせいだ。
LiSA
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.14
-
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
ドミコ
THE ORAL CIGARETTES
Hump Back
Survive Said The Prophet × NEE
MONOEYES
ぜんぶ君のせいだ。
超☆社会的サンダル
go!go!vanillas
武瑠 × MAQIA
- 2025.10.15
-
ドミコ
LONGMAN
PEDRO
キュウソネコカミ
MONOEYES
打首獄門同好会
アカシック
HY × マカロニえんぴつ
ポルカドットスティングレイ
藤巻亮太
- 2025.10.16
-
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
YOASOBI
PEDRO
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
"Shimokitazawa SOUND CRUISING presents. サウクルラボ vol.1"
SCANDAL
SIX LOUNGE
brainchild's
- 2025.10.17
-
挫・人間
キュウソネコカミ
打首獄門同好会
アイナ・ジ・エンド
YOASOBI
a flood of circle
ズーカラデル
LONGMAN
chilldspot
otsumami feat.mikan
リュックと添い寝ごはん
コレサワ
神聖かまってちゃん
終活クラブ
NOMELON NOLEMON
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
フラワーカンパニーズ
SUPER BEAVER
東京スカパラダイスオーケストラ
BIGMAMA
Bimi
- 2025.10.18
-
TOKYOてふてふ
伊東歌詞太郎
挫・人間
シド
OKAMOTO'S
YONA YONA WEEKENDERS
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
アイナ・ジ・エンド
moon drop
RADWIMPS
キュウソネコカミ
ぜんぶ君のせいだ。
bokula.
the cabs
SWANKY DOGS
amazarashi
INORAN
WtB
osage
"LIVE AZUMA 2025"
カミナリグモ
Cody・Lee(李)
阿部真央
Newspeak
センチミリメンタル
東京スカパラダイスオーケストラ
Keishi Tanaka × 村松 拓
"ASAGIRI JAM'25"
ズーカラデル
I Don't Like Mondays.
Victoria(MÅNESKIN) ※振替公演
ロザリーナ
the paddles
神聖かまってちゃん
LACCO TOWER
星野源
- 2025.10.19
-
DYGL
リュックと添い寝ごはん
OKAMOTO'S
Age Factory
bokula.
ぜんぶ君のせいだ。
moon drop
コレサワ
TOKYOてふてふ
RADWIMPS
SIX LOUNGE
リリカル / みじんこらっく / とにもかくにも / ティプシーズ / 台所きっちん
SUPER BEAVER
Laura day romance
WtB
Omoinotake
"LIVE AZUMA 2025"
Cody・Lee(李)
ビレッジマンズストア
SPRISE
伊東歌詞太郎
浪漫革命
LUCKY TAPES
ハンブレッダーズ / KANA-BOON / キュウソネコカミ / マカロニえんぴつ ほか
ネクライトーキー×ポップしなないで
Keishi Tanaka × 村松 拓
ナナヲアカリ
"ASAGIRI JAM'25"
高岩 遼
Sou
森 翼
SCANDAL
パピプペポは難しい
osage
星野源
PIGGS
- 2025.10.20
-
打首獄門同好会
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
TOKYOてふてふ
TenTwenty
- 2025.10.21
-
The fin.
神聖かまってちゃん
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
RELEASE INFO
- 2025.10.06
- 2025.10.08
- 2025.10.10
- 2025.10.11
- 2025.10.12
- 2025.10.13
- 2025.10.14
- 2025.10.15
- 2025.10.17
- 2025.10.19
- 2025.10.22
- 2025.10.24
- 2025.10.29
- 2025.10.30
- 2025.10.31
- 2025.11.05
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
OASIS
Skream! 2025年09月号