Japanese
WHITE ASH
Skream! マガジン 2016年08月号掲載
2016.07.10 @赤坂BLITZ
Writer 石角 友香
そこがどんな場所でも、演奏で一瞬にしてWHITE ASHの世界を作る。シンプルな音像=簡単な演奏じゃない。むしろ楽器による音の配置と音像に高度なセンスとスキルが必要だ。そしてそれが見事に合致したアンサンブルが醸成されたとき、オリジナルのかっこよさ、"これぞロック・バンド!"と快哉を叫びたくなるようなライヴが実現する。加えて、そこには圧倒的な肉体性が必要だ。WHITE ASHは、今回のツアーで自らのオリジナリティを再確認したうえで、さらに前へ進めたニュー・アルバム『SPADE 3』を作ったモチベーションと、その先の景色を見せてくれた。
登場するやいなや、のび太(Vo/Gt)と山さん(Gt)がステージの両ウィングに散り、ツイン・ギターのL-Rのダイナミズムを鳴り響かせる「Spade Three」でライヴがスタート。全楽器の音が最高にいい。のび太は歌で牽引できる力量のあるヴォーカリストだが、隙間の多い「Number Ninety Nine」ではそのことがさらに際立つ。彩(Ba)と剛(Dr)らリズム隊も引き締まった音で、変な話、音の良さでご飯をおかわりできるぐらい"おいしい音"を叩き出す。変な味つけが施されていない肉のように、素材自体が美味なのだ。しかも曲の構成も必要最低限で、エンディングも潔く終わる。一気に6曲演奏したが、あっという間すぎた。"この最高にうまいロックをもっと食べさせてくれ"、そんな感じだ。
ソリッドで深い演奏を展開しつつも、フロアから"のび太~!"と声が掛かると、"はい!"と普通に返事をする、あのいつもの感じは変わらない。初めてWHITE ASHのライヴに来た人はそれを見て驚いたかもしれないが、"こういうバンドなんで心配しないで"とのび太が笑わせる。
ニュー・アルバム制作のひとつの発端にもなった「GR101」は、まさにイントロがNIRVANAの「Smells Like Teen Spirit」の如き不穏と迫力を忍ばせ、山さんのオーセンティックなギター・ソロのサウンドもなかなか重い。T-REXばりのグラム・ロックをイメージさせる「Emperor」では、のび太のギターを弾くアクションもオーバー気味で曲のイメージを拡張する。しかもグラム風であって、演奏はジャスト。そのバランス感覚にいちいち感嘆の声を上げてしまう。剛のジャズやヒップホップを想起させる短いドラム・ソロというか、イントロダクションを挟んでの「Gamble」の抜き差しのセンスにも息を呑む。そしてライヴでどうアレンジするのか? と楽しみだったのび太のエレキ弾き語りによる「Snow Falls In Lavender Fields」は、音源と変わらず歌の輪郭のクリアさ、季節感や景色が一気に北風に変わるようなコード感、途中から入ってくるチェロのシーケンス。バンド・アレンジに変更せず、シンプルに表現したこの演奏に、のび太の演者としての芯の太さを見た。
BPM遅めの重いビートが1音1音の説得力を発揮した「The Phantom Pain」、ヘヴィだがドライなリフやビートでWHITE ASHの"ザ・ギター・ロック・バンド"っぷりを刻み込んだ「Dumbass」と、彼らのアンサンブルと音に対するスタンスがこれでもかというほど体現されていく。そういえば今日はのび太がずっとギター・ヴォーカルだ。それもアンサンブルの妙を実感させる要因かもしれない。中盤にはファイナルならではの趣向で、ルーツであるARCTIC MONKEYSの「Brianstorm」の、自身いわく"カバーですらない、コピー"を楽しそうに熱演。ファンもこの曲の披露にヒート・アップする人が多く、そこここで自由に踊り、拳が上がっていたのが個人的には嬉しかった。WHITE ASHの曲は難しいところはないけれど、決まったノリが生まれるような構成を持った曲は少ない。そのうえ、さらにオルタナティヴなビートと展開を持ったARCTIC MONKEYSのナンバーを楽しむフロアは頼もしい。"かっこいい"の物差しがWHITE ASHのライヴで独自に上昇している印象を持ったぐらいだ。
とにかく好きなことをやってる楽しさが横溢してるステージなのだが、それはメンバー個々のスキルとフィジカルの強さに起因している。「Blaze」での彩のベースの図太さはピーク時のTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTにおけるウエノコウジをなぜか彷彿とさせたし、ハイスクール・バンド的な無敵感を湛えた「Pretty Killer Tune」などロックンロールの枠の中で広い音楽的なレンジを実感させてくれるのもいい。ジャンルでバンドの振り幅を示すタイプもいるけれど、WHITE ASHはどこまでもロック・バンドの型をいい意味で崩さない。
ラスト・ナンバーを前に、今回完遂したキャリア最長のツアーへの感謝を述べながら、各地のエピソード・トークも。中でも彩が京都公演の前に日本酒の利き酒をして、陽気にリハへ戻ってきたという話が頼もしくもあり、真面目にロックを追求する男性メンバーと、もちろん真面目だが貫禄十分の紅一点との対比もまた、WHITE ASHのナイス・バランスだ。気張らず続いていくのは、こういうバンドなのかもしれない。
ラストはロックンロール・バンドの歴史を止めない、そんな気概のこもった「Don't Stop The Clocks」がおおらかにフロアを包み込み、自然と会場がユナイトするようなあたたかな空気が満ちていった。
アホみたいな感想だが、1曲終わるごとに"かっけー!"しか出てこなかったのは、WHITE ASHのライヴでも初めてかもしれない。それぐらい4人がリフやビートを突き詰めたのだと思う。程なくしてアンコールで再登場した4人は惜しげもなく新曲「Yellow」を披露、どことなくTHE WHOの「My Generation」っぽい理屈抜きにテンションが上がるナンバーだ。さらにダブル・アンコールではニュー・ミニ・アルバム『Quest』から「Monster」と「Strike」を披露。8ビートの疾走感がWHITE ASHにしては珍しく、しかもそれが新鮮な2曲を届け、大いなる次への予感も匂わせてバンドの芯を見せつける今回のツアーを締めくくって見せたのだった。
- 1
LIVE INFO
- 2025.01.22
-
ASIAN DUB FOUNDATION
WurtS
ずっと真夜中でいいのに。
シノダ(ヒトリエ)
SVEN(fox capture plan)
go!go!vanillas × NEE
RAY
アイナ・ジ・エンド
BRADIO
米津玄師
- 2025.01.23
-
終活クラブ
ずっと真夜中でいいのに。
a flood of circle
小山田壮平 / kanekoayano
ヤバイTシャツ屋さん
ASIAN DUB FOUNDATION
米津玄師
暴動クラブ / 板歯目 / M.J.Q(山本久土+クハラカズユキ)
- 2025.01.24
-
片平里菜
東京初期衝動
ザ・シスターズハイ
終活クラブ
Homecomings
夜の本気ダンス
ego apartment
LEGO BIG MORL
神聖かまってちゃん
かりんちょ落書き
ハシリコミーズ
MONO NO AWARE
くるり
Ivy to Fraudulent Game
THE YELLOW MONKEY
RAY
Wez Atlas
- 2025.01.25
-
片平里菜
ブランデー戦記
女王蜂
BLUE ENCOUNT / UNISON SQUARE GARDEN / ヤバイTシャツ屋さん / フレデリック ほか
Helsinki Lambda Club
SpecialThanks
ストレイテナー
上白石萌音
the paddles
bokula.
HY
SCOOBIE DO
Umisaya
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
Dear Chambers
sajou no hana
Aimer
あいみょん
め組
IDLES
かすみん(おこさまぷれ〜と。)
神聖かまってちゃん
Czecho No Republic
GOOD BYE APRIL
フラワーカンパニーズ
パピプペポは難しい
Rhythmic Toy World
眉村ちあき
Mega Shinnosuke
サカナクション
Hedigan's
kobore
tacica
9mm Parabellum Bullet
Cloudy
- 2025.01.26
-
マリンブルーデージー
ASP × ExWHYZ
[Alexandros] / キタニタツヤ / マカロニえんぴつ / Creepy Nuts / ヤングスキニー ほか
Helsinki Lambda Club
THE BACK HORN
SpecialThanks
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
the paddles
ストレイテナー
HY
上白石萌音
SCOOBIE DO
SILENT SIREN
夜の本気ダンス
東京初期衝動
Homecomings
アイナ・ジ・エンド
Dear Chambers
Mega Shinnosuke
崎山蒼志
Bye-Bye-Handの方程式
CYNHN
Aimer
あいみょん
I Don't Like Mondays.
フラワーカンパニーズ
tacica
琴音
Lucky Kilimanjaro
ADAM at
LEGO BIG MORL
篠塚将行(それでも世界が続くなら)
サカナクション
阿部真央
Bubble Baby
- 2025.01.27
-
THE ORAL CIGARETTES
WurtS
SUPER BEAVER
Mirror,Mirror
パピプペポは難しい × NUANCE
meiyo × ワタナベタカシ
斉藤和義
IDLES
- 2025.01.28
-
マリンブルーデージー / かたこと
the HIATUS
WurtS
米津玄師
SUPER BEAVER
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
the quiet room / Maki
安藤裕子
- 2025.01.29
-
THE ORAL CIGARETTES
the HIATUS
Saucy Dog
米津玄師
Hakubi
君島大空
Appare!
Helsinki Lambda Club
ポルカドットスティングレイ
ネクライトーキー
- 2025.01.31
-
ビレッジマンズストア
神聖かまってちゃん
LEGO BIG MORL
UNISON SQUARE GARDEN
KNOCK OUT MONKEY
Wez Atlas
くるり
ザ・ダービーズ
インナージャーニー / 板歯目 / Apes ほか
ヤユヨ
WANIMA × MONGOL800
TYCHO
Aooo
AYANE
9mm Parabellum Bullet
小林私 / Redhair Rosy / INF ほか
Halujio
the telephones
Bye-Bye-Handの方程式
- 2025.02.01
-
あいみょん
Hedigan's
ストレイテナー
ASP × GANG PARADE
夜の本気ダンス
I Don't Like Mondays.
ブランデー戦記
女王蜂
WONK
WurtS
the telephones
bokula.
GOOD BYE APRIL
SILENT SIREN
"でらロックフェスティバル 2025"
ADAM at
片平里菜
wacci
kobore
sajou no hana
CYNHN
OKAMOTO'S
Kroi
Aimer
"BAYCAMP 202502"
清 竜人 / 清 竜人25
9mm Parabellum Bullet
- 2025.02.02
-
あいみょん
四星球
bokula.
ExWHYZ × KiSS KiSS
LEGO BIG MORL
Laura day romance / XIIX / レトロリロン
I Don't Like Mondays.
Keishi Tanaka
ブランデー戦記
Panorama Panama Town
ラックライフ
"でらロックフェスティバル 2025"
CYNHN
ひめかのん(おこさまぷれ~と。)
片平里菜
ANABANTFULLS
DIALOGUE+
怒髪天
崎山蒼志
上白石萌音
浪漫革命
- 2025.02.03
-
マカロニえんぴつ
- 2025.02.05
-
マルシィ
ザ・シスターズハイ
the HIATUS
サカナクション
くるり
WurtS
"Road To 革命ロジック2025"
RELEASE INFO
- 2025.01.22
- 2025.01.24
- 2025.01.25
- 2025.01.28
- 2025.01.29
- 2025.01.31
- 2025.02.01
- 2025.02.05
- 2025.02.07
- 2025.02.10
- 2025.02.12
- 2025.02.15
- 2025.02.19
- 2025.02.26
- 2025.02.28
- 2025.03.01
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
ヒトリエ
Skream! 2025年01月号