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INTERVIEW

Japanese

ASIAN KUNG-FU GENERATION

2018年12月号掲載

ASIAN KUNG-FU GENERATION

Member:後藤 正文(Vo/Gt) 喜多 建介(Gt/Vo) 山田 貴洋(Ba/Vo) 伊地知 潔(Dr)

Interviewer:石角 友香

現行の日本のロック・バンドのサウンドにはない豊かな低音やアンサンブルの聴かせ方に注力したアルバムを目指していることは、後藤正文の試行錯誤から伝わっていた。が、3年半ぶりのアルバムに至るまでに、実は様々なアイディアが浮上してはなくなり、ある部分では今作に繋がり完成したのだった。『ホームタウン』にはWEEZERのRivers Cuomoの楽曲が、そしてEPにはストレイテナーのホリエアツシやFEEDERのGrant Nicholasのほか、意外なところではTHE CHARM PARKも参加。パワー・ポップという軸を持ちつつ、バンド表現を型にはめず取り組んだ、その自由な空気が今のアジカンにはある。


最初はコラボ・アルバムを作ろうと思って。タイトルも"プレイリスト"にしようとしてた


-今回後藤さんは、前作『Wonder Future』(2015年5月リリースの8thアルバム)においてDave Grohl(FOO FIGHTERS/Vo/Gt)のスタジオでできたことが、日本の地で、我々の手でもできるのか? ということを突き詰めていたと。サウンド・プロダクションの話題が先行してはいたんですけど、実際にこのアルバムの出発点はどういうところだったんですか?

後藤:出発点は、単純にいい音で録りたいというか――常々思ってることですけどね。欧米の音楽は悔しいけどやっぱり音が良くて、そういったところに負けないようなものを作りたいなっていうのはあって。そのためにはどうするか? っていう研究をずっとしてたんですよね。一方でアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)では、"アジカンでどういう音楽をやったら一番バンドのパフォーマンスが上がるか?"みたいな考え方をずっと持ってて。だから最初のところっていうのは忘れちゃったんだけど――コラボレーション・アルバムを作ろうと思ってたんですけど、だんだん気が変わったっていう話ですね。

-『Can't Sleep EP』(※初回生産限定盤に付属)にその名残が残ってるってことですか?

後藤:そうですね、はい。

-そういうアイディアはあったけど、明確にコラボレーション・アルバムを作ろうとはしなかった?

後藤:最初はコラボレーションで1枚作ろうと思ってて。俺、1曲も書かないみたいな時期もあったんですよ。人に曲を書いてもらって、それを自分たちで仕上げていくと、バンドとしての機能を再確認できるようなイメージもあって。だから、1枚そのやり方でやってみたいなと思ってたんです。そう思ったのは「荒野を歩け」(2017年リリースの24thシングル表題曲)を作る前だったんですけどね。で、そのコラボ・アルバムを作ったのちにパワー・ポップ・アルバムを作りたいなと思ってたんです。だから「荒野を歩け」はできてたけど、これはパワー・ポップ・アルバムに使いたかったから、そのときはバンドに持っていかなかった。"サーフ ブンガク カマクラ2"(※『サーフ ブンガク カマクラ』は2008年リリースの5thアルバム)みたいなのを作るときに使おうと思って。僕は人知れず次の次のアルバムの構想を練ってたんですよ。そのために新しいアルバムはもうずいぶん曲もバラエティに富んでるし、プレイリストみたいなアルバム作ろうかなと思って。最初は"プレイリスト"ってタイトルのアルバムを作ろうとも思ってたんです。

-(笑)問題提起に取られそうですね。

後藤:そうそう。それがだんだん間に合わなかったり、ベスト(2018年3月リリースの『BEST HIT AKG Official Bootleg "HONE"』、『BEST HIT AKG Official Bootleg "IMO"』、『BEST HIT AKG 2 (2012-2018)』)が出たり、すったもんだしているうちに、次の作品として考えてたパワー・ポップ・アルバムができるということに気づいたんですよね。それをするためにどうしようかって考えたときに、2枚組がいいんじゃないかって思って。

-コラボレーション・アルバムは企画盤ではなくてアジカンのフル・アルバムとして出そうとしてたんですか?

後藤:そうです。

-そういうアイディアに関して、その最中はどういう気持ちで取り組んでいたんですか?

山田:それをミーティングしたのは結構前になるんですけど、大変なことになるんじゃないかな? と思うところもあって。面白いかなとは思ったんですけど、自分もアジカンにいて曲を作るのは難しかったりするから。でも、一度やってみるならそれはそれで楽しみだしというところで、いつのまにか何人か一緒にやる人が決まってたみたいで。それで上がってきた曲は、"あ、なるほど"という感じでしたね。自分もそのひとりのつもりで何曲か持っていって。

後藤:だから山ちゃん(山田)ともコラボしてるんです、俺たち(笑)。

-EP収録の山田さんの曲「イエロー」はそういう意味なんですね(笑)。そういう情報ってめっちゃ管理されてるから出てないじゃないですか。Rivers Cuomo(WEEZER/Vo/Gt)とやってることも全然表に出てなかったし。

後藤:そうそう。俺も野放図にTwitterで呟いてるわけじゃないんだよってね。みんな"あいつ自由奔放だな"と思ってるかもしれないけど、意外とブレーキ踏みまくってるっていう。言ったら怒られるって絶対わかってるから(笑)。