Japanese
ASIAN KUNG-FU GENERATION
2010年05月号掲載
ライター:佐々木 健治
ASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)が昨年リリースしたシングル「『新世紀のラブソング」において、エレクトロニカ、ブレイクビーツを取り入れたサウンド・プロダクションと同時に印象的なのは、“生活”が続いていく中で感じた葛藤を包み隠さず表出させ、過去と決別するような歌詞だった。
後藤正文は、この新機軸と言える曲で、“言い当てる言葉が見当たらない”まま、“不確かな思いを愛と呼んだ”ことがあることを自分で暴き出す。
それは、後藤が自身のメッセージに対して、これまで以上の責任と自覚を表明した瞬間と言えるだろうし、安易なメッセージと言葉で取り繕って終るようなポップ・ソングに対して、葛藤を葛藤のまま示すことで、アジカンが進もうとする方向性を示そうとする意思表示だと僕は思っている。
それゆえにまだ言葉が見当たらないまま、“息を吸って/生命を食べて/排泄するだけの猿じゃないと言えるか”と言う、あまりにも根源的で素朴な疑問を最後に投げかけながら、新たな時代に向かおうとする「新世紀のラブソング」には、強固な意志と葛藤があった。
そして、この「迷子犬と雨のビート」である。サウンド・アレンジは、ホーン隊を導入し、シャッフル・ビートを取り入れた、これまでのアジカンにはなかったものであり、もちろん「新世紀のラブソング」とも全く異なる。
ただ、後藤はその上でも、あっけらかんと、屈託ない明るさで歌うことをしていない。言葉の乗せ方や歌い方、楽曲のムードは、実は「新世紀のラブソング」と共通しているところがあって、今の後藤が挑んでいる方向性と嗜好性がはっきりと出ていると言えるだろう。
そして、歌詞的な部分では、「新世紀のラブソング」の延長線上にある。繰り返される生活という、刹那的な(ある意味で、ロック的な)感覚とはまさに正反対の方向に、後藤の問題意識が向かっていることは間違いない。
OASISの初期シングルのB面に入っていそうなサウンドの楽曲を聴いてまず思い浮かんだのは、くるりとユーミン「シャツを洗えば」である。
「迷子犬と雨のビート」と同じビートを取り入れたこの素晴らしいポップ・ソングの、日常の一場面を軽やかに切り取ってみせるその清清しさには、驚嘆させられた。
ただ、どちらも日常を切り取りながらも「シャツを洗えば」の突き抜けた清清しさとは全く異なる葛藤が溢れているし、それでも掴み取ろうとする希望がこのシングル「迷子犬と雨のビート」には感じられる。
「新世紀のラブソング」で葛藤も何も曝け出しながら、新たな場所へ行くと表明したその延長線上で生まれたのが「迷子犬と雨のビート」で、実際この楽曲には「新世紀のラブソング」と同じ、力強さに満ちている。
公式サイト上の後藤の日記に、こんな即興詩が載っていた。この即興詩は「迷子犬と雨のビート」「新世紀のラブソング」へのガイドとしては、最適だと思うので、引用させていただく。
此処が深い闇の中だとしたら / 私は何をしよう / 何になろう / 願わくは、その闇に薄らと浮かび上がる / 小さな星になろう /何時しか、同じ願いの人々が集って / 闇が満天の星空になることを祈ろう / ならば其処は、闇ではなく夜で / 夜の終わりには必ず朝が来るのだから (闇)
「新世紀のラブソング」「ソラニン」「迷子犬と雨のビート」と続くシングル・リリースだけをとってみても、どれだけのものを背負っているんだろうと思わずにはいられないバンド、それがアジカンである。
というか、今、並べてみて思ったけれど、この3枚のシングルには、アジカンというバンドの特異性がはっきりと浮かび上がっていると思う。
「迷子犬と雨のビート」は、ホーン隊の導入やそのアレンジゆえに、アジカン特有の塊としてのバンド・サウンドとはまた違うムードの楽曲になっている。歌詞もあってか、後藤の存在がいつも以上に、きっと自覚的にバンドよりも前に出ているように感じられる。
新たなタームに突入したアジカンの問題意識と音楽的挑戦が6月にリリースされるアルバム『マジック・ディスク』でどういう作品として結実しているのか。楽しみに待ちたい。
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