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INTERVIEW

Japanese

ラックライフ

2017年03月号掲載

ラックライフ

Member:PON(Vo/Gt)

Interviewer:秦 理絵

"人生は美しい"。そうタイトルに掲げたラックライフのメジャー1stアルバム『Life is beautiful』は、ソングライティングを手掛けるPON(Vo/Gt)の人生を詰め込んだ作品だ。誰だって生きていれば、もちろんつらいことも悲しいこともある。能天気に"人生は美しい"なんて言えない出来事が多いことは百も承知。それでも上手に幸せを見つけて"人生は美しい"と言い切るのが、今作でラックライフが見せた勇気であり、自分たちだけの闘い方なのだ。アルバムのリリース日は9年前にラックライフをスタートさせた3月15日。そんな巡り合わせにも運命的なものを感じながら作り上げたという今作について、PONに訊いた。

-実は『初めの一歩』(2016年7月リリースの2ndシングル)で取材をしたときに、アルバムは去年の11月ぐらいに出せるといいなって言ってたんですよね。

めちゃめちゃズレましたね(笑)。本当はそのつもりやったんですけど、「風が吹く街」(2016年11月リリースの3rdシングル表題曲)のタイアップの話をいただいて!

-そのときに、原稿にはしなかったんですけど、"アルバムのタイトルは『Life is beautiful』とか"って言ってたんですよ。覚えてます?

覚えてます、覚えてます。

-歌いたいことはずっと変わらないから、アルバム・タイトルを決めるのが難しいっていう流れで。結構軽いノリで言ってましたけど。

そうですね。あのときはノリで言ったんですけど。今回のアルバム・タイトルについて考えてみたときに、"なんて深い言葉なんや"と思ったんです。で、アルバムの曲が出揃って、改めて全部通して聴いたときに、すごくドラマチックに聞こえたというか。自分が生きてきたすべてが反映されてたんですよね。"あぁ、バンドとして9年間ちゃんと生きてきたんやな"って。ノリでバンドを始めて、毎日が全力投球じゃなかったかもしれないし、ダメな日もあったりするけど、それでも思ったよりちゃんと生きてきたわ、みたいな。そう思ったときに、どれもこれも自分に必要なことだったし、いまの自分に繋がってると思ったら、すごく愛おしくて、なんて美しいんだろうって思ったんです。

-1日1日は決して素晴らしい日ばかりじゃなかったとしても?

そう。9年かかっても売れてへんし、思ってたような結果は出てないし、人から見たら全然、順風満帆な人生ではないけれど、それでも、自分自身を振り返ったときに"あぁ、俺、幸せな人生やわな"って思えたんです。

-それってなかなか言える言葉じゃないですよね。

そうなんですよね。でも、ラックライフには似合う感じがするんですよ。この生きてる感じというか。


「サニーデイ」はSkream!のインタビューがなければできなかった曲 "みんなが幸せになってほしい"なんて小学生みたいな歌だから


-いま、PONさんは"俺、幸せ"って言ってましたけど、私は今回のアルバムって"幸せって何だろう?"っていうことを問い掛けてる感じがしたんです。

あぁ、そうなんですよね。あの......今回のアルバムは、前にSkream!のインタビューで喋ったことがすごく入ってるんですよ。

-やっぱり? 実は私もそれが気になってました。

リード曲の「サニーデイ」(Track.1)なんて、まるまるインタビューで喋ってたことで。

前回のインタビュー(※2016年11月号掲載)でPONさんが"みんなに幸せになってほしい"って言ってて。でも、それは綺麗事に捉えられることもあるんじゃないかって話したんですよね。

そう。実はあのインタビューが終わったあとに悶々としてしまったんです。すごく自問自答したというか。でも、"みんなが幸せになってほしい"って、ほんまに俺は思ってるんですよね。ただ、それを歌うには勇気がいるというか。「サニーデイ」では"みんながみんな幸せになれるように/歌うのさ"って歌ってるんですけど、"みんなを幸せにする"なんて堂々と歌にするって、これ、めっちゃ覚悟がいるフレーズやなと思って。

-わかります。

けど、あのインタビューのあと、そういうのを歌える強さを持ちたいと思ったんです。これを"綺麗事って言われるから歌えへん"とか思ってたら、ほんまに綺麗事やわ、と思って。綺麗事を胸張って歌うことが、ほんまもんになる唯一の方法やと思った。それを胸張ってできるバンドでありたいし、ひとりの人間でありたいんです。だから、あのインタビューがなかったらできなかった曲ですね。

-いま、ちょっと責任の重さを感じてます(笑)。でも、私が聞いたことって、結局もともとPONさんがずっと本気で思ってたことにすぎなかったんですよね。

そう、本気で思ってはいました。でも、歌にする勇気はなかったんです。"みんなが幸せになれるように"みたいな歌詞ってめっちゃアホっぽいじゃないですか。小学生みたいなことを大人になったいま、書くわけだから。

-つまり「サニーデイ」は、ずっとラックライフが歌い続ける意味だとか、根本にある願い、本質みたいなものを改めて歌うことができた曲というか。

それをわざわざ自分から言うのは野暮だしダサいけど、もう"言っちゃった!"って感じですね(笑)。引き出してくれて感謝してます。