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INTERVIEW

Japanese

ラックライフ

2017年03月号掲載

ラックライフ

Member:PON(Vo/Gt)

Interviewer:秦 理絵

-リード候補だった「赤い糸」についても聞かせてください。この曲では、ラックライフが誰のために音楽を鳴らすのかを歌っていますね。

これはメジャー・デビューしてからのことを歌ったんです。俺らの目の届かないところで応援してくれる人が増えたことに気づいたきっかけがあって。北海道で3ヶ月間ラジオ番組をやらせてもらったんですけど、北海道には縁もゆかりもなかったんですよ。5年前ぐらいに1回ライヴをしに行っただけで、そこから全然行けてなくて。だから最初、"この新人バンドの関西弁の喋りを誰が聞くねん!"ってめっちゃ不安だったんです。

-そうですよね(笑)。

でも、やっていくうちに、メッセージがたくさん届いたりとか、そのラジオの連動企画で、北海道で弾き語りのインストア・ライヴをひとりでやらせてもらったときに、すごいたくさんの人が集まってくれて。改めて、聴いてくれてる人が目の前に見えたときに"すげぇな、これ"って感動したんです。心のどこかでライヴがすべてやと思ってたというか。

-やっぱりライヴハウスっていう場所をすごく大切にしてるから。

そう。ライヴに勝るものはない......それはそうなんですけど。それだけじゃなくて、電波に乗せて発信することで"ほんまに届くんや"みたいなものが見えたとき、"これは自分のためだけに歌われへんわ、俺"と思ったんです。嫌でも、あなたのことを思ってしまう。好きって言われたら、もう、あなたしかダメですみたいな、めちゃめちゃダメ男な感じです(笑)。最初は、自分が救われたいがために歌ってたけど、気づいたらもう(誰かのために歌う)理由でガチガチに固められてたんですよね。

-で、"宛先は君へ"というフレーズなんですね。

そうなんです。"北海道、好き!"と思って。北海道宛てですね(笑)。

-ちなみに音的なこだわりとして、今作でもギター、ドラム、ベースっていうバンドのベーシックな部分を大切にしてて。そこへのこだわりは強いんですか?

ないんですよね。かっこいいのが一番やから、かっこいいと思えるやつやったら、何でもいいと思ってます。だから、今回は1曲目の「サニーデイ」でホーンが入ってるんですけど、最初それが入るのを"メンバーは嫌がるんちゃうか?"と思ってたんです。でも、"めっちゃいいよ"って言ってて。「初めの一歩」(Track.2)でもライヴで再現できないようなキラキラした音を入れてますけど――俺はめっちゃハードルが低い方だと思ってたんですけど、それ以上にメンバーのハードルが低かった、意外! みたいな感じでしたね。

-となると、もっと新しい表現も入れていきたいと思いましたか?

表現したいと思ってるものに近づけるのであれば、ゴーゴーですね。自分で進んでやりたいタイプではないんですけど。「サニーデイ」に関しても、"ホーンを入れようか"って言われたときは不安だったんです。こんなにガチガチに曲を作っちゃったし、入る隙間があるんかな?って。でも、"その作戦知らへんわ!"みたいなことを出してくれると面白いし、"もうちょっとこうできますか?"って言うと、やってくれて。そういう波長が合う人と一緒に何かを作るのはいいですね。

-話を聞いてると、PONさんはソングライターとして、言葉とかメロディの方にはこだわりが強いのかな? と思いました。

それもないんですよ。こだわってるのは"いいと思うか"だけで、人が書いた歌でも、"これ、めっちゃ気持ちわかる"って思ったら歌います。

-いまはたまたま全部自分で書いてるけど?

そう、たまたまなんです。書く人が俺しかおらへんから書いてるだけで。たまに"こだわりがありそうですね"って言われたりするんですけど、なんでもいいんです。自分がいいと思えるかの一点だけで。

-と言うと、入り口は広そうだけど、その入り口が見つけにくい気がします。

たぶん誰にもわからないですよね、そのハードルは低いんですけど、俺自身にしかわからないハードルだから。人からしたら"あ、これ、あかんのや"みたいなこともあるやろうし、"これいけるんや!?"みたいなこともあるやろうし。

-そういう意味で、今作で"これ、いけるんだ"と思ったのは、「ラブリープリティーミュージック」(Track.9)。ダンサブルなロック・ナンバーですよね。

歌詞を読むと、"踊らんのかい!?"って。でも、"最後は踊るんかい!"みたいな曲ですね。最近は踊らせるバンドが多すぎるから、もうええやろと思いながら歌詞を書いてたんです。踊り方はわからんけど、楽しかったら別にええかなと思って。

-"柄じゃないけど踊るのも悪くない"って、これぐらいがラックライフらしい。

うん、"踊ろうぜー!"とは絶対に言わん。けど、別に踊るなら、踊ってもええよね、ぐらいの感じですね。だから作りながら、これで合ってるのかな? 果たして踊れるのかな? って試行錯誤しながら作りました。(メンバーも)みんな楽しそうでしたよ。"ルーラ"の部分はみんなで歌ってよ、とかやったし。ドラクエですね(笑)。

-「ラブリープリティーミュージック」の前には、「素晴らしい世界」(Track.8)があって、ここの流れは完全にライヴハウスな2曲なんですよね。

"突き抜けるねぇ、君たち"っていうところですね(笑)。

-笑ってても、泣いてても、"どうでもいいから/そこで見ていて"って強い言葉です。

気にする人がいるんですよ。ライヴを観て"泣いちゃうんです、ごめんなさい"みたいな。そんなん言わんといて、と思って。それをひとりひとりに言うのは難しいから、曲書かなしゃあないわと。俺らはそこにおってくれたら、それでいいんです。泣いてようが笑ってようが、どうでもいいから、とりあえず、そこにおれ! それだけで、俺らは救われてるし、それだけがやる意味だから、みたいな。

-それはライヴ中にも言ったりしますよね。

泣いてこうなってたら(下を向いてたら)もったいないじゃないですか。歌ってるんだから、ちゃんと見ろよって。泣いててもええから、前を見ろって言いますね。