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INTERVIEW

Japanese

indigo la End

2016年06月号掲載

indigo la End

Member:川谷 絵音(Vo/Gt) 長田 カーティス(Gt) 後鳥 亮介(Ba) 佐藤 栄太郎(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-様々な影響を取り入れつつ、そこから自分たちの楽曲をどうしたらさらに映えるのかを吟味する、ということですね。『藍色ミュージック』は、前作で言う「実験前」のようなアグレッシヴな曲が入っていないところも潔いなと思いました。その代わり「愛の逆流」のような曲で、「実験前」に匹敵するバンドのダイナミズムが出せていますね。

川谷:でも、最初は「実験前」みたいな激しい曲を入れようと思ってたんですよ。仮タイトルが"MUSE"っていう......(笑)。

佐藤:あ~、作ってた作ってた。ヘヴィな曲を作ってたね。『心雨』のカップリングの「24時、繰り返す」も、仮タイトルは"ヘイレン(※VAN HALEN)"でした(笑)。

長田:"これできるの?"って言いながらやってたんですけど、時間がなくて完成できなくて。でも入れなくて良かったよね(笑)。とっ散らかっちゃいそう。

-いろんなタイプの曲がありながら、シックにまとまってるアルバムだと思います。ところで、絵音さんは以前"「風詠む季節」で初めて幸せな恋愛の曲を書いた"とおっしゃっていました。今回もTrack.1「藍色好きさ」を筆頭に幸せな曲が多いですが、その理由は?

川谷:失恋ソングを書き飽きたから(笑)。結構、自分の作った音楽が具体化したり、自分に返ってきたりするんですよ。だから、自分のためにも幸せな曲を書いておこうという感じはありますね。Mr.Childrenの桜井和寿さんも「HERO」(2002年リリースの24thシングル表題曲)の歌詞を書いたあとに小脳梗塞になったそうで、曲の内容と同じ気持ち(※父親が子供に対し、たったひとりのヒーローでありたいと思う気持ち)に実際なったとか。どうやら宇多田ヒカルさんも自分に返ってくるタイプの人らしくて、その話を知って"あ、俺もそうだな"と思ったんです。だから幸せな曲を書けば幸せになれるかなって。

-ああ、そういうものはありそうですね。「藍色好きさ」は、歌詞も絵音さんが普段書かれるものと比べてもわかりやすい表現が多いですし、ラヴ・レターのようにも感じましたが、ここにある"藍色になる"とは?

川谷:比喩表現なので、聴く人がそれぞれ想像してくれたらいいなと思います。"藍色"は"色"としてではなく、それぞれの受け取り方ができると思うので、余白にしてあります。

-絵音さん自身の"藍色"のイメージは?

川谷:純粋な感じというか。ふわっとしたイメージですね。そこに"藍色"という言葉を当てている。具体的にどういうものだ、というのがないからこそ美しいのかなって。「ココロネ」や「インディゴラブストーリー」(Track.14)に出てくる"赤"は、"藍色"とは正反対のイメージで書いています。

-「藍色好きさ」はインディーズ時代のindigo la Endを思わせるギター・フレーズでした。

長田:"リード曲にするかも"という話が出ていたので、昔のイメージにちょっと寄せたところはありますね。わかりやすい方がいいかな、今までのindigo la Endっぽさを残しておいた方が聴いてもらいやすいかな、とか考えたりして。でも、絵音君がアコギを使っていたり、シンセが入っていたり、今までやっていないことがだいぶ増えてるので、indigo la Endが進化した印象を感じてもらえる曲だと思いますね。

-「藍色好きさ」はストレートなラヴ・ソングで、最終的にいろんな愛を歌った深い「インディゴラブストーリー」に辿り着くという流れも、どんどん色が濃くなっていくイメージがありました。

川谷:「インディゴラブストーリー」は俺が実際に見た夢なんですよ。誰かはわからないんですけど、銃で殺されてしまって、そのあと俺も死んだんです。それで命を取り替えた――そのイメージだけ鮮烈に残っていて。恋愛の歌詞を書きすぎていて、"それ以外に自分に書きたいものはないのかな"と思ってたときに、Nabowaの(景山)奏さんのソロ・プロジェクト THE BED ROOM TAPEの「命の火」(2015年リリースのEP『YARN』収録)で、初めて"命"をテーマにした曲を書いて。それが自分の声にもメロディにも合っているなと思ったし、"命"というテーマはすごく身近にあるものだから書くべきなんじゃないかなと思ったんです。

-「ダンスが続けば」もテーマは"人生や命"ですものね。

川谷:いろいろ経験して恋愛がどうのこうのよりも、もっと深いところに自分の目線を合わせてみようと。ちょっと大人になったというか、少し自分も成長した。人間として、音楽として、向き合わなければいけないところが別にあるなと思いましたね。

-音楽性が広がるだけでなく、それと同時に歌うテーマも変わってきたと。

川谷:ずっと同じことをやっていると飽きますからね。飽きるし、どんどん違うことをやっていきたいと無意識に思うから。音楽性を変えたいというよりは、自然とそうなる。作りたいから作る。......だから今回のアルバムを作ったのも、今音楽をやっているのも、本当に原始的な理由でしかないんです。生活をするために音楽をやるのではなく、音楽をやりたいから音楽をやる。そういう土壌があるし環境も整っているからやるしかない、ということでしかない。

-今まではどうでしたか?

川谷:一度、バンド・シーンに入ろうとしたとき――そのときのメンバーは俺と長田君しかいないけど、あのときは"どうやったら売れるのか"をすごく考えてた。『あの街レコード』(2014年リリースの3rdミニ・アルバム)を出したときとか。

長田:苦悩の時期だったよね。

川谷:でも、『瞳に映らない』(2014年リリースのメジャー1stシングル)からだんだん自分たちのスタイルが固まってきて、『幸せが溢れたら』を作って――今はまたあのときとは全然違うしね。だから今は、"どうやって売れよう"とは考えてないです。ミジンコが何言ってんだって思われるかもしれないけど......。