Japanese
indigo la End
2021年02月号掲載
Writer 高橋 美穂
日本の音楽のこれまでとこれからをつなぐ
indigo la Endがメジャー6枚目となるフル・アルバム『夜行秘密』を、2月17日にリリースする。当初は、昨年1月31日に開催された"indigo la End ONEMAN HALL TOUR 2019-2020「心実」"のツアー・ファイナル、中野サンプラザ公演の終演後に"涼しくなる頃に"リリースされると発表されていた。アナウンスから1年越しの、待望のリリースとなる。
アルバムとしては、『濡れゆく私小説』から1年4ヶ月ぶり。とは言え、その間に彼らは、たくさんの楽曲を配信リリースしてきた。昨年中に配信された「チューリップ」、「夜漁り」、「夜風とハヤブサ」、「フラれてみたんだよ」、そして年が明けてから配信された「左恋」、「夜光虫」、「夜の恋は」と、今作に収録されている全14曲中7曲が、今作のリリース前に世に放たれている(なお、今作には収録されていないが、『紫苑 / アバケアネ』も昨年11月にファンクラブ限定シングルとしてリリースされている)。その創作ペースも凄まじいし(言わずもがなだが、川谷絵音(Vo/Gt)は他の音楽活動でも多忙を極めている)、これだけ配信リリースされているにもかかわらず、今作の半分が未知の領域であることも驚きである。
かねてから"夜行秘密"というタイトルが発表されていたところからわかるように、これは今作を通してのテーマだったのだろう。曲名にも"夜"が数多く散りばめられている。これまでも――それこそ数年の時を超えてTikTokで広まった「夏夜のマジック」を筆頭に――"夜"が匂う楽曲を生み出してきた彼らのイメージが、さらに濃いものとなった。そして、今作のジャケットは、まるで映画のポスターみたいだ。統一されたトーンと、ジャケットの印象も加わり、映画を観ているような気持ちになる。今作は、結成から10年を経て自分たちを確立し、盤石の体制で表現できている今だからこそ導き出せた、"indigo la Endとはなんぞや?"という問いに対する、これ以上ないほど潔い回答だと思う。また、人一倍キャラクターが強いようでいて、バンドや立ち位置によって変幻自在の音楽を生み出し、幅広い役割を果たす川谷絵音の"ど真ん中"は、音楽家としての原点であるindigo la Endで発揮されているわけで――つまり今作は(おそらくたくさんいると思われる)"川谷絵音とはなんぞや?"という問いを持つ人にも聴いてほしいものになっている。
1曲目は「夜行」。力強いビートと小気味よいギターという歯切れのいい演奏が、しなやかに変化していく。そして歌詞は"ぐるぐると混み合っていく"、"わかるけど わかるけどさ"と、惑う心を表現。"雪"や"春"といった、季節感のある言葉も臨場感があって、一気に彼らの世界観に引き込まれる。そして2曲目の「夜風とハヤブサ」へ。"ロンリー"、"オンリー"と口ずさみたくなるリズミカルな言葉が心地いい。"にわか事の馬鹿野郎"など、独自の表現も炸裂している。3曲目の「華にブルー」では、ギターをはじめとした繊細な音像と、歌詞の芯を貫く"チョコでも食べて目を閉じる"の儚さがシンクロした、音楽ならではの表現を見ることができる。4曲目の「チューリップ」は、"染まりきった私/今更変えられない色"からはじまり、"赤かった2人は今日で終わって/雪に混じり合った/あなたの望む色になった/ああ、寒いな"と結ばれる歌詞が、狂おしいほど切なく、美しい。柔らかい曲調に救われる。5曲目の「左恋」は、一転してハードでクール。"君とはナイトクラブで終わりにしようと思ってた"という歌詞も含めて、セクシーなナンバーだ。
6曲目の「たまゆら」は、色彩や空気感、時間の流れを描く歌詞の中で"消しても消しても消えない/背負う程でもない罪/決められた尺度で生きてく/それが僕"という一節が際立つ。7曲目の「フラれてみたんだよ」は、"フラれてみたんだよ/試しに/解かれてみたんだよ/魔法から"――意地っ張りにも見えるこの歌詞を、とことん美しく歌う川谷絵音。ストリングスも流麗に彩る。聴いているうちに、失恋が浄化していくような感覚になる人は、少なくないはずだ。8曲目の「夜漁り」は、まず曲名が秀逸。"夜を漁る"ように、夜に深く悩む感覚って、多くの人が味わったことがあるものだと思う。"会えない"、"燃えない"、"超えない"......そんな、ないない尽くしの切ない夜に今作は寄り添ってくれることを、顕著に表した楽曲だ。
9曲目の「不思議なまんま」は、キュートなメロディやカラフルな音色に"弱くていいし怖くてもいいらしい/意外と厳しくないんだよ"という歌詞が印象的。そこからガラッと変化する10曲目の「晩生」は、今作の中でも際立ってシリアスでヘヴィだ。"僕が叫んでも/白い壁で跳ね返る/嵐は待てば過ぎ去る国/ここで僕はサイレンサー"という、ついこの時世を重ね合わせたくなる歌詞。そして、長いアウトロで叫ぶように歪むギター。痺れずにはいられない。それでいて、11曲目の「さざなみ様」では、サラッと洒落たカッティングのギターと♪タラララタッタという軽やかな歌に戻っているのだから、本当に粋なバンドだ。でも、歌詞に耳を澄ますと"賭けてばっか/負けてばっか/こんな人生/買ってちょうだい"と、結構強烈。もしかして今作、聴き進めると濃くなっていく展開? と思っていると、12曲目の「固まって喜んで」も、"ドゥービードゥービードゥービー"などと歌い、気持ち良さを重視しつつ、"振り撒いた才能で/また何か芽吹いた/喜んだふりした/またちょっと嫌な人"と、深読みしたくなってしまう歌詞も潜んでいる。そして今作は、孤独を描いた13曲目の「夜光虫」でディープを極め、"好きにならずにいたかった/あなたを知らずにいたかった"といつになくストレートに失った恋を歌う14曲目の「夜の恋は」で幕を閉じる。
かつての歌謡曲の作詞家のように、女心を詩的に深く捉えた歌詞は、ますます今の世の中で光るものになっていくに違いない。それだけではなく、老若男女問わず深く捉えられる歌詞も、今作からは聴こえてくる。音楽的には、AORやシティ・ポップを現代のJ-POPとしてアップデートしているところからも、日本の先人の良きところを継承していることがわかる。今、日本の音楽の系譜図を書くとするならば、indigo la Endが必須と言えるかもしれない――そう思える、これまでとこれからをつなぐ重要な作品だ。
▼リリース情報
indigo la End
ニュー・アルバム
『夜行秘密』
NOW ON SALE
[TACO RECORDS]
【初回限定盤A】
(CD+DVD)WPZL-31799~800/¥4,500(税別)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
(CD+Blu-ray)WPZL-31803~4/¥5,000(税別)
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TOWER RECORDS
HMV
【初回限定盤B】
(CD+DVD)WPZL-31801~2/¥4,500(税別)
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TOWER RECORDS
HMV
(CD+Blu-ray)WPZL-31805~6/¥5,000(税別)
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TOWER RECORDS
HMV
【通常盤】(CD)
WPCL-13265/¥3,000(税別)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
[CD] ※通常盤/初回限定盤共通
1. 夜行
2. 夜風とハヤブサ
3. 華にブルー
4. チューリップ
5. 左恋
6. たまゆら
7. フラれてみたんだよ
8. 夜漁り
9. 不思議なまんま
10. 晩生
11. さざなみ様
12. 固まって喜んで
13. 夜光虫
14. 夜の恋は
[DVD/Blu-ray] ※初回限定盤A
"indigo la End ONEMAN HALL TOUR 2019-2020『心実』2020.01.30(Thu) 「朱の音」at 中野サンプラザ"
レナは朝を奪ったみたいだ
秋雨の降り方がいじらしい
魅せ者
愛の逆流
悲しくなる前に
鐘泣く命
小粋なバイバイ
砂に紛れて
想いきり
瞳に映らない
花傘
ラッパーの涙
実験前
秘密の金魚
Unpublished manuscript
[DVD/Blu-ray] ※初回限定盤B
"indigo la End ONEMAN HALL TOUR 2019-2020『心実』2020.01.31(Fri) 「蒼の音」at 中野サンプラザ"
渚にて幻
夏夜のマジック
Midnight indigo love story
忘れて花束
心ふたつ
ほころびごっこ
心の実
見せかけのラブソング
藍色好きさ
アリスは突然に
結び様
蒼糸
通り恋
幸せが溢れたら
Play Back End Roll
【アナログ盤】(2LP)
WPJL-10134~5/¥4,500(税別)
TOWER RECORDS
※2021.03.31 ON SALE
1. 夜行
2. 夜風とハヤブサ
3. 華にブルー
4. チューリップ
5. 左恋
6. たまゆら
7. フラれてみたんだよ
8. 夜漁り
9. 不思議なまんま
10. 晩生
11. さざなみ様
12. 固まって喜んで
13. 夜光虫
14. 夜の恋は
配信はこちら
配信シングル
「フラれてみたんだよ」
NOW ON SALE
配信はこちら
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