Japanese
indigo la End
2015年09月号掲載
ライター:沖 さやこ
3曲すべてが、溢れだす涙を止められないままでいるようだ。indigo la Endにはセンチメンタルな楽曲は多いが、これまでは常にそれを慰めるようなポップ感やきらめき、力があったように思う。涙を目にためながらなんとか零れないように堪えたり、零れた涙をすぐに拭っていたり、泣きながらもなんとか笑顔を浮かべていたのがこれまでのindigo la Endだとしたら、初の両A面シングルである『雫に恋して/忘れて花束』に収録された3曲はすべて、その涙に抗うことなく、さめざめと泣いている。ゆえにこれまでのindigo la Endより、鮮やかさという点では少々控えめかもしれない。だが、そのただただ静かに泣く姿にも、今の彼らなら奥行きを表現することができる。その涙の向こう側にある背景を描くことができるのだ。
新メンバーとしてドラムスの佐藤栄太郎加入後初のシングル『悲しくなる前に』、そのリリース・ツアー"ナツヨのマジック"を経ての今作。『悲しくなる前に』は佐藤のプレイが影響して、彼ら史上最大に感情的なサウンドが印象的だった。それはバンドにとって新たな大きな輝きである。楽曲も広がりを見せ、新体制の勢いやバンドの可能性を十分に示すものだった。そして今回のシングルでindigo la Endが行っているのは、"培う"という行為だ。7月に開催されたホール・ツアー"ナツヨのマジック"のファイナル、渋谷公会堂公演もまた、4人が丁寧にバンドを耕しているように見えた。彼らは今を見ながら、常に先のことを考えているバンドだ。この先もバンドが続いていくために、今バンドはどうするべきなのか――遠回りにも見えるが、確実に未来への血肉になることである。このシングルのソングライティングや音作りには、そんな彼らの意志も見える気がした。
Track.1「雫に恋して」は、雨の夜に涙を流し続けるひとりの女性の姿と、回想に耽る中で生まれる心情を描いた楽曲。この曲を筆頭に、3曲すべてに言える素晴らしいところは、歌詞で綴られている情景と心情が、見事に音でも表現されているところだ。例えば「雫に恋して」ならば、イントロのギターのアルペジオは涙や雨の雫に、やわらかいコード弾きはメランコリックな心情に重なる。すると歌い出しが"雨ざらしの古いバス停で/行き交うモノクロ街を眺めてる"――冒頭の時点で言葉でも音でも聴く人間を「雫に恋して」の世界へと引き込むのだ。サビのコーラスや川谷絵音と長田カーティスがそれぞれ奏でるギターは、主人公の感傷に寄り添うようでありながら単体としても美しさを放ち、あたりに降り注ぐ雨を思わせる。軽やかな楽曲ではあるのだが、常に一定の湿度が宿る、そのイメージは悲しく微笑むような川谷絵音のヴォーカルとも重なる。
「雫に恋して」がギターが前に出て大きく情景を描く曲に対し、Track.2「忘れて花束」はリズム隊の役割が大きい。後鳥亮介のベースと佐藤のドラムスは穏やかな楽曲の中に歌詞同様の緊迫感を作り、Aメロのベースは"あなたは瞬きが多くって"という一節から汲み取れる"焦り"を如実に表現している。間奏の情感豊かな佐藤のドラムスはメロディのような存在感だ。後鳥は歌うベース、佐藤は表情のあるドラムス。このふたりのリズム隊によって、indigo la Endはさらに"感情"を表現することに長けたバンドになった。それをより丁寧に磨き、描いたのがこの3曲だろう。Track.3「夢のあとから」はマイナー・キーを用いたキーボードとアコースティック・ギターの音色が溶けあう都会的なミディアム・ナンバー。indigo la End流のシンプルと言うべきか、とても近い、パーソナルな空気感が心地よくも圧倒的に物悲しい。"夢"や"絵の具で描いた夜明けの海"という非現実と"眠る"という現実が交差する感覚が、そのまま音楽になっている。
「雫に恋して」と「忘れて花束」と「夢のあとから」は、どこか三つ子のようだ。真相は知りえないが、とても密接な、だけどそれぞれが別世界のような、不思議な関係の3曲である。もしかしたらどの物語も、同じ夜に起こったことなのかもしれない。そんな想像が巡らせられる、深い深い3つのお話。夏の名残を残す秋の夜長に味わうと、なおのこと沁みる。
indigo la End
4thシングル
『 雫に恋して/忘れて花束』
[unBORDE]
2015.09.16 ON SALE
WPCL-12230 ¥1,200(税別)
amazon | TOWER RECORDS | HMV
1. 雫に恋して
2. 忘れて花束
3. 夢のあとから
- 1
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