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INTERVIEW

Japanese

アルカラ

2015年10月号掲載

アルカラ

Member:稲村 太佑(Vo/Gt) 田原 和憲(Gt) 下上 貴弘(Ba) 疋田 武史(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

-サウンド的には空虚さがあって、それが90年代オルタナのヒリヒリとした感じであったり、NIRVANAを思わせる雰囲気もあるんですが、サウンド・イメージはあったんですか。

下上:渋い感じはあったんじゃないかな。

田原:骨太な感じが出ればというのはありましたね。

疋田:ドラムもこの曲が1番、ピッチ感をグッと落とした曲で。70年代ロックっぽい感じの音が作れたらいいねってドラムのテックさんと話をしていてたんです。ライドシンバルという大きなシンバルも使わず、モノを減らしてどれだけ表現できるかみたいなところで勝負でした。

稲村:いいよね、昔のドラマーみたいな感じで。

-曲順は前後しますが、Track.2の「やるかやるかやるかだ」は衝動感があって、このアルバムのぶっちぎっていく感じが出た曲で。

稲村:さっきのTrack.1に対してのTrack.2ということで、すごく直球でいいと思う。歌詞も難しくないですし。2005年にリリースした『サビヅメ』という作品に、「屋上ゲリラ」という曲があって、屋上で佇んで"何かしたい何かしたい"っていう少年を歌っているんですけど。そこから10年経った今も、"何かしたい"と歌えたら、時間が経っても変われていない自分に対しての歌にもなるなと。そういう物語の繋がりがあったり、2008年の「チクショー」(1stアルバム『そうきたか』収録)という曲の、"ゴキゲンいかが"というフレーズをそのまま使っていたり。そういうところで、アルカラの今までの曲と繋がりを持たせて歌えたら面白く聴こえるだろうし、このアルバムからアルカラに入る人も作品を遡って、こんなことやったんだっていう発見になればいいなという思いもあったりします。

-歌詞を書くうえで、過去の作品を振り返りながら書き上げることも多いんですか。

稲村:たまにそういうことがありますね。あえて関連性を持たせることで、どちらの歌詞も活きてくるし。THE 虎舞竜の「ロード~第二章」、「ロード~第三章」じゃないですけど(笑)。そんなふうに聴こえるといいなと。なので、これは第2章ということで。

下上:そうなんだ(笑)。

-その第2章として、何かしたい、何をするかでなく"やるかやるかやるかだ"と言い切るところまできていると。

稲村:"やるかやるかやるかだ"って言葉もいいなと思いましたね。日経新聞のCMで、同期がある日、上司に呼ばれていたみたいのがあるんですけど――"知らない方がいいこともある、知りたい情報は日経新聞"という(笑)。周りがすごく頑張っていて、連れがいつのまにかデカいことやっていた、みたいな話ですよね。ここでは特に大したことをしていないと歌っているんですけど、でも"何かしてる"っていうことはすごいことで。周りが変わっていく中で、自分は変わらず同じ場所にいるのはどうなんだろう? って思いを抱える人に向けて、タイトルは"やるかやるかやるかだ"とつけて。腹括るきっかけになってもらえたらなっていう思いはありましたけどね。

-また、インスト曲「迷宮レストラン」(Track.5)も、インストながら歌謡性が高いメロディアスな曲です。哀愁のあるエモーショナルなサウンドで、これも今回のアルバムならではだと思います。インスト曲にも、"思うまま"というものが息づいている?

稲村:そうなりましたね。「パッヘルベルのカノン」のメロディを織り交ぜているんですけど、この曲は自分ひとりのバイオリンだけでオーケストラ感を出したかったんですよね。今までは、インストの曲って速かったりドカドカいけば成り立っていたところがあったんですが、今回はそうならず。どうなるかわからんままで進んでいって(笑)。ベースもアップライトで弾いたりな。

下上:だいぶ厳しく、テイクを録り直させていただきましたね(笑)。バイオリン入れるからシビアにやっていかないと、ということだと思うんですけど、"もう1回いってみようか"っていうのを50回くらい。今回は厳しいなって思いながら(笑)。

稲村:(笑)今までのインストの中では違った感覚になりましたね。曲っぽいというか。普通のアルカラの曲で、歌の部分がバイオリンになったというよりも、インストやからこそ普段の曲でやれへんような音作りをしていて。これこそ戸川純さんの影響かもしれないですけどね。そういうひとつひとつの音に対して、これまでやってないことをやろうっていう思いはあったかもしれないですね。これはいろいろ試しながらやっていたので面白かったですね。

-そして最後のTrack.8「オーケストラは眠る」。もともとゆったりとした曲はいくつかあったという話でしたが、これはそのうちのひとつだったんでしょうか。

稲村:ゆったりした曲やけど、でもそんなに歌いたい曲じゃなかったんですよ。僕が歌うと僕になっちゃったんですけど、ちあきなおみくらいのイメージだったんですよね(笑)。そのくらいの雰囲気で歌おうとしたんですけど、そうはならないですよね。