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INTERVIEW

Japanese

ASIAN KUNG-FU GENERATION

2009年07月号掲載

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ASIAN KUNG-FU GENERATION

Official Site

メンバー:後藤 正文(Vo/Gt) 山田 貴洋(B/Vo) 伊地知 潔(Dr) 喜多 建介(Gt/Vo)

インタビュアー:佐々木 健治


-だけど、それでも、「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ」みたいなことを言う人もまだいて。全てではないですけど、大抵の場合、本当に言いたいことあるの?って思うんですよ。で、そういう中でも、何を歌っていけばいいんだろうとか、音楽で何をどういう風に伝えていけばいいんだろうとか、そういう部分に重きを置いているのかな、と思ったんですが。メッセージ性という意味ですけど。

後藤:世代的には、僕らが今30台前半ですけど、音楽を始めた時には、言葉に対して完全に白けていて。ムード的に。日本語で歌って、一体何が伝わるの?みたいな。思いを伝えるって一体どういうこと?っていうか。僕、始めた時は英語だったんですけど、自分の思っていることなんか、そんなに人に伝えたいとも思わないし、ましてや人前で歌うなんて恥ずかしくてとてもできないよって思っていたんですよ。分かってほしいとも思ってないし、みたいな。

-はい(笑)。

後藤:でも、やっているうちに、言葉の大切さが分かってきたというか。時代も変わってきたと思うんだけど。歌である以上、言葉を僕達は扱っているわけで。まあ、音楽だけでもいいんだけどね。でも、だったらインストでやればいいじゃんって時代でもあると思うんですよ。そういうバンドもたくさんいるわけだし。

-そうですね。

後藤:自分達の持っている楽曲に歌詞をつける以上は、それがどういう役割をするかっていうのは、全力で考えなきゃいけないんじゃないのっていう気分はあるというか。常々そうだったかは分からないけれど、時代時代で言葉で表現して、闘っているバンドはいたわけで。例えば、パンクバンドなんかはそうだったかもしれないし、RAGE AGAINST THE MACHINEとかはバリバリそうだし。BEASTIE BOYS然り。そういう意味では、日本の音楽も、やっとサウンド的には凄く面白いものがたくさん出てきていると思うので。洋楽と一緒に聴いていても、むしろこっちの方が面白いっていうバンドはたくさんいるなと思っていて。その上で、まだ・・・そういうバンドのことをとやかく言うんじゃないんだけど、自分とかはそうだと思うんだけど、言葉に対する取り組み方っていうのが、まだまだできるんじゃないかなっていうのは常にあるし。もっといい歌詞を書かなきゃなっていうのは常々考えるし。言葉っていう発明をもってして、どうやって作用させていくかっていうのは、こういう表現を選んだ以上は逃れられない。だけど、割とないがしろにされていることが多い気がするよね。

-言葉で何ができるかっていうことが。

後藤:「まあ、言葉は」とか、「音楽だし、僕、歌詞はどうでもいいんですよ」みたいな人は多いけど。そういうミュージシャンもこれからもいるでしょうけど、これを使って何をするかっていうことに意識的であった方がいいんじゃないか、表現としては。わざと訳の分からないことを書いている風にしてやっていくこともできるし。

-それは、音楽性とメッセージ性の両立の手段として。

後藤:メッセージ性がないことが、メッセージであることもあると思うんですよ。

-確かに、そうですね。

後藤:だから、何かを伝えたいとは思わないけど、表現だからどっかの誰かの何かに作用したいんだ。だったら、それは何なのかっていうのをちゃんと考えようっていう気持ちはある。大人になったからかもしれないんだけど。世代的には、ロストジェネレーションって言われていて、(大学を)卒業した頃も就職が全然ない時期だったし、白けた世代だけど、今になって熱くなってきているのかなっていう。

-何かが伝わればいいという思いが強くなっている。

後藤:何かエネルギーを生みたいっていうのはありますよね。いまだに、「何かを伝えたいですか?」って言われたら、「何かを伝えたいです」とまでは言い切れないんですよ。「こういうことがこうでこうなんだ」ってことを皆に言いたいみたいな、そこまで自分が正しい人間だと思っていないというか。そこまでの正論を持っていないし。でも、自分が選ぶ言葉や音楽によって、何て言うんだろうね・・・美しいエネルギーを生み出せるんじゃないかと。ライヴ会場でもフェス会場でもいいんだけど、終った時の「ウワーッ」っていう言葉にはできないけど、これは持って帰って確実に明日からの何かになるっていうものを生み出したい。でも、それって漠然とは生めなくて、具体的な言葉だったり音だったりを積み上げて、やっと最後に訳の分からんもんが手に入るみたいな、そういうものだと思っていて。一番難しいんでしょうけど、その何かを手に入れる為にやっていて、その何かを言い当てないといけないんだけど、毎回言い当たらないから何曲も書いて歌詞を書くんだろうし。そういうことの繰り返しの気がするんですけどね。

-「凍えきった君を乗せて/ベッドルームから一歩/別世界へ連れ出したいから」っていうのは、まさにそういう気分を歌っている。

後藤:そう。僕は言葉でもって何かよく分からんけど、皆を別世界へ連れて行くんだっていう気分はあります。

-ありがとうございました。