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INTERVIEW

Japanese

Brian the Sun

2017年01月号掲載

Brian the Sun

Brian the Sun

Member:森 良太(Vo/Gt) 白山 治輝(Ba/Cho) 小川 真司(Gt/Cho) 田中 駿汰(Dr/Cho)

Interviewer:沖 さやこ

Brian the Sunによるメジャー1stフル・アルバム『パトスとエートス』は、結成してからの約10年間を総動員しながらも、バンドとしてさらに深く自分たちの表現を追求したものになった。長く残る音楽、自分たちの表現をもともと大事にしているバンドであるが、そこに向けてすべてをブラッシュ・アップした結果、自らに新しい表情を生み出した。この記事になっているインタビューは『パトスとエートス』の取材としては初だったようで、フロントマンでありソングライターである森 良太の記憶を呼び起こしながら話を訊くという珍しいスタイルに。アルバムで新しいフェーズに入った彼らは、また次のステップへと進んでいるのかもしれない。

-10年間のBrian the Sunの歴史の中で、最も名作と言えるアルバムが生まれたのでは?

森:ありがとうございます。今回がメジャーで初めてのアルバムなんですけど、周りの大人たちが"こういうものが欲しい"と言ったわけでもないし、明確な軸となる曲があったわけでもないし。作っていったらこうなった......というか。

-では、どういう感覚で作っていったのでしょう?

森:いや、それが、めっちゃ困ってるんですよ。

-"困ってる"?

森:んー......。『HEROES』(2016年リリースのメジャー・デビュー・シングル)のリリース・ツアーを結構詰め詰めのスケジュールで回って、その間に楽曲制作期間が被ってて。録り始めたんがいつやったかな?

白山:"SUMMER SONIC"のあとやったから、(2016年)8月20日くらいかな。

森:結構ぎりぎりまで作ってたんやな。

白山:ツアーが終わったあと良太が僕らにデモを渡してくれて、1ヶ月でアレンジを仕上げて、そのままレコーディングに入ったんです。だから結構ずっとばたばたしてた感じはあって。

森:制作期間が超忙しくて、あんま覚えてないんですよ。「パトスとエートス」(Track.3)とか、どうやって書いたんやろな? という感じで。もちろん俺が書いてるんですけど(笑)。

-(笑)さっきおっしゃった"困っている"はそういう理由ですか。

森:「パトスとエートス」はサビの始まりがF#mなんですけど、俺はいままでF#mで始まる曲を作ったことがないんですよ。そういう曲を書くモードが自分にある......というのがようわからんくて。サビも降下するというか、FからEに行って、1音ずつクリシェで下りていく進行で、自分でも"なんでこんなことになったんやろな"と、あんまり覚えてないんです。特殊な気持ちやったんやろな、という感じはしますけど。サビのコード進行がTHE BEATLESの「Free As A Bird」(1995年リリースの2枚組アルバム『The Beatles Anthology 1』収録曲)と同じなのに、「パトスとエートス」の方が断然暗く聴こえるという(笑)。そういうのはめっちゃ面白いと思います。

-たしかに同じコード進行とは思えない。

森:だからほんまにどう作ったか覚えてなくて。......これ、答えになってないですよね(笑)。

-ははは。では一緒に記憶を取り戻していきましょう。「パトスとエートス」やTrack.2「Physalia」は焦燥感のある曲なので、余裕があったときに作ったとは思えないかなと。

森:そうですねぇ、パツパツでしたね。ツアー・スケジュールはがっつりやったし、『HEROES』をリリースする前は"退屈やなぁ"と思って毎日過ごしてたので、どういうふうに音楽を作っていったらいいのか、自分の中にはっきりなかった気がします。でも、結構前から"パトスとエートス"をタイトルにしてアルバムを作りたいと思っていて。

白山:アルバム自体はメジャー・デビューするくらいのタイミングで"2016年中に出したい"という話が出ていたんです。僕が覚えているのは、「Impromptu」(Track.1)を『HEROES』のリリース・ツアーで披露していて、良太からは"この曲をアルバムの1曲目にしたい"という要望が出ていたんですよね。その次に「パトスとエートス」ができたのかな。そこで"パトス"サイドの曲と"エートス"サイドの曲を分けていきたいよね、という案が出てきて。それでバランスを取っていったんです。どうしてもシングル曲の「HEROES」(Track.4)と「Maybe」(Track.6)は入るので、そのバランス感はすごく気にしました。

-先ほど森さんは"作っていったらそうなった"とおっしゃっていましたが、となるとコンセプチュアルな側面もあるんですか?

森:うん......。たぶん。

小川:曲作りの案として、パトス側の曲とエートス側の曲を作っていったというか。

森:ちょっと待ってくださいね......。どういう心境で書いたかいま思い出してるんで(笑)。