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INTERVIEW

Japanese

Brian the Sun

2019年12月号掲載

Brian the Sun

Brian the Sun

Member:森 良太(Vo/Gt) 白山 治輝(Ba/Cho) 小川 真司(Gt/Cho) 田中 駿汰(Dr/Cho)

Interviewer:石角 友香

Brian the Sunというバンドの心臓部をすべての曲で鳴らしきったアルバム『MEME』をリリース後、アルバム・ツアーや海外でのイベント出演などを経験してきた4人。2019年も残り1ヶ月余りというタイミングで、シングル『パラダイムシフト』をリリースする。本取材は、『MEME』で改めてバンドの初心に向き合えたという彼らの今の前向きなフラットさ、バンドを続けていくうえでの不変のヴィジョンなどが感じられるインタビューになったと思う。奇しくも取材の翌々日には、初のメキシコでのライヴでフライトするというタイミングだった4人。そのフィードバックも楽しみにしたい。


海外でライヴをして、久々に"音を感じるっていう感覚、大事!"って思いました


-前作『MEME』(2019年3月リリース)は、剥き出しの初心とロック・バンドのロマンが溢れてるアルバムだと思ったんです。そのアルバムをリリースし、ツアーや海外でのライヴもあって、そこからのフィードバックはどういうものでしたか?

森:確実に自分たちのマインドは、"音楽やる"っていうところにフォーカスできた気がしますね。あれ(『MEME』)ができたからこその、そのあとのいろんな出来事やったので、あれがなかったら、もしかしたらバンドが止まってたかもわからないなと。なので、あのアルバムには助けられたし、俺は今もめっちゃアルバムを聴いてるんで、聴くたびに"あ、頑張ろ"って思います。

白山:去年からの流れになるんですけど、バンドの気持ちが"頑張りましょう"ってなって、4人で向き合って作った作品ができて。去年の段階から"海外に行きたい"って話もしてました。そこから様々なことがどんどんうまくハマっていって、それが2019年の今も続いていってる感じはありますね。あんまり先のことを見すぎずに、"これができたから、次これしよう"みたいに目の前の課題を解決していっています。作品としても初心に返るって感じでしたけど、バンド活動としても結構初心に返ってるというか。もちろんサポートをしてくれてるスタッフのみなさんもいてるんですけど、俺と森がバンドを始めた頃の"次のライヴどうしよう"、"次の作品どうしよう"って話してたときみたいなテンション感で今また話ができてるのが、バンドにとってはいいことなんかなぁと思いますね。

-ほんとにやりたいことをやったがゆえのリアクションを得ていますか?

白山:そうですね。だから、なおさら責任を感じるというか。"自分たちがやりたい、かっこいいと思う音楽をやります!"っていうのは、じゃあ結果出さなくてもいいんですか? って話でもないと思うし、評価されるほうがよりいっそう嬉しいし、俺たちは聴いてくれた人にも"かっこ良かったでしょ?"って言いたいから――数字のことばっかりにこだわったらダメですけど、たくさんの人に聴いてもらいたいという気持ちはより強くなった気がします。

小川:『MEME』ができてから、バンドがよりバンドらしくなったというイメージはあって。みんな言ってますけど、初心ってどんどん薄れてくるというか、慣れてくるんです。でも、『MEME』は自信を持って作ったものをツアーとかで披露して"あぁ、やっぱりバンドっていいな"と思える作品やったと思うし、あの作品があったからこそ今のバンドの活動があるんだと感じます。

-リスナーの反応という意味ではどうでしたか?

森:正直、届けたいところまで完全に届いたかというと満足はしてないです。もっと行けるんじゃないかなと思ってますね。

田中:聴かれる機会がシンプルに少ない気がしますね。聴いてみたら"いいな"と思う人はもっといるんじゃないかな。

森:世の中の音楽好きの中では、自分たちの名前はある程度認知されてるけど、そこが入れ替わる時期でもないというか。4年周期ぐらいで旬みたいなものって入れ替わっていくという感覚があるんですけど、自分たちにそのタイミングでの鮮度はもうないと思ってるんです。その時期に『MEME』みたいな作品をパン! と出すというのはたぶん世の中的に普通なんですよね。今まで聴いてて知ってる人は"そうそう、こういうの"と思ってるし、新しく聴いてくれる人にとってはちょっと渋すぎるかもしれない。すごく表面上の話ですけど、そういう自己分析はしてますね。作品の中身で言うともっと伝えたいことはあるんです。でも、世の中の人が最初に触るのは表面なんですよね。『MEME』は自分ら的にはすごくいいタイミングで救ってくれたアルバムですけど、世の中的にフィットしてる感じはしてないんですよ。だから、もっと聴かれるべきやし、めっちゃいい作品やと思ってるんで、ちゃんとライヴとかでもやっていきたいですね。

-時間をかけて聴かれて然るべきアルバムだと思います。ところで、今回のシングルの特典であるドキュメント映像の話を先にしたいんですが、実際ダラスでライヴをやってみていかがでしたか?

森:言葉じゃなくて、音を気持ちいいってみんな思ってはるんやろなと感じました。自分的には邦楽を聴いていると、言葉と音が一致する美しさばっかり考えてたんです。でも、"音を感じる"っていう感覚を久々にしっかり考えなあかんなというか、感じないかんなと思いました。自分が日本で人のライヴを観にいくとき、音を感じるというより、一個一個の音を聴いてるんですけど、(ダラスのライヴでは)脳みそをスルーしてる感じが自分もあったんです。音楽がそのまま気持ちいいっていう。日本にいると考えながら観ちゃうことが結構多いんで、改めて音を感じるっていう感覚、めっちゃ大事! と思いました。

田中:PAさんが出してる音が違うもんな(笑)。

森:めちゃくちゃナチュラルというか(笑)、取って出しというか。でも、楽しかったですね。あんな朝はよから入ったのに、リハなんやったんやろ? っていうぐらいモニターの音が違ってて(笑)。振り切れてやれたので、"あ~ん?"って誰もならへんかったし。

小川:"あ~ん?"ってなっても言われへんしな(笑)。

-そして、「パラダイムシフト」の話をようやくするんですが、この曲はアニメ"真・中華一番!"のエンディング主題歌ってお題ありきなんですか?

森:そうです。書き下ろしで。

-中国料理界を舞台にしつつ、冒険物語であるという設定が面白すぎますよね。

森:不思議なアニメで、ギャグ漫画っぽいし、ヒューマン・ドラマっぽさもあるし、たしかに面白い。"真"って付いてるのは、昔アニメでやってて、そっちは俺らよりちょっと上の世代の人が"あ、知ってる"ってなるようなものなんです。で、今回ちょっと今っぽさが欲しいってことを言われたので、それを解釈した結果ちょっとファンクっぽいAメロになりましたね(笑)。

-なるほど。まず、驚いたのはミックスによる音像。すごく臨場感があって。

森:今回も『MEME』のときと同じく南石(聡巳)さんです。

小川:めちゃくちゃいいもんな。それぞれの楽器がちゃんと際立ってて、それで成り立ってる曲なんで、エンジニアの方もそれを表現してきたっていうのが嬉しいところですね。

森:サウンド・ディレクターが江口(亮)さんで。江口さんと南石さんはもう長いこと仕事をやってきてて、Brian the Sunと江口さんも何曲も一緒にやってきてるから、江口さんが各々の音の癖を把握してて、機材のセレクトや、録音のときもどのマイクで録るとかセレクトしてくれたんです。なので、今回は録り音の状態ですごくいい音で、それを南石さんがさらに良くしてくれるっていう、チーム・プレイの連携が良かったような気がすごくしますね。

-建物がバーン! と存在しているような仕上がりだと思いました。

森:そうですね。たぶんこういう音になるんだろうなってことも、みんな経験してきて想像しながらやってるとこもあるんで、演奏も自ずと無駄は省いてやりたいことはやる、そういう棲み分けもできてるのかなと思います。