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LIVE REPORT

Japanese

Brian the Sun

Skream! マガジン 2021年01月号掲載

2020.12.18 @新宿 LOFT

Writer 吉羽 さおり Photo by ヤマダマサヒロ

今年9月に、2020年12月末をもって活動休止をする発表をし、10月に"LIVE PARADE -autumn-"、12月には"LIVE PARADE -winter-"と題して活休前最後のワンマン・ツアーを行っているBrian the Sun。ここでは、"LIVE PARADE -winter-"4本目、12月18日に行われた新宿LOFT公演をレポートするが、鉄壁と言えるバンド・アンサンブルで本編だけで全22曲(プラス、アンコールで5曲)プレイし、脱線を繰り返しつつ1ミリも憂いを交えることないMCで盛り上げと、音もトークも最高のグルーヴを放っていた4人の様子からも、このツアーの充実ぶりが窺えた。ライヴを観ている間にも、正直なぜここで休止なのかという思いが何度も湧いてきたが、一方で活動休止発表時のコメントでギターの小川真司が記していた、"Brian the Sunを仕事からライフワークへ移行するそんな気持ち"という言葉の意味合いが、ストンと腹に落ちるような感覚も、ステージ上のバンドの呼吸感から伝わってくる。新型コロナウイルスの感染防止対策でフロアには椅子が並び、観客数も限られた状態だったが、会場のムードが和やかなのも印象的だ。

12月2日にはベスト・アルバム『BEST PARADE』がリリースされたが、このライヴもベスト・アルバム収録曲を中心に、初期の曲から新しい曲までがセットリストに並んだ。一気にエンジンをかけていく「HEROES」でスタートしのっけから観客の手を上げさせると、「Sister」、「アレカラ」と続け、ワイルドでバンド感が冴えるロックンロール「Noro」で躍らせる。「シュレディンガーの猫」など、初期から長く愛されている、感情も思考もこねくり回していくシニカルなロック・チューンで、前半から飛ばしていく。"今日はわりと、集中力高いんちゃう?"と言う森 良太(Vo/Gt)に、白山治輝(Ba/Cho)は"LOFTやからちゃう? バンド力が試される場所やから"とMCをする。中盤のMCでも、この新宿LOFTというライヴハウスや、目をかけてくれたブッカーについて、その関わりや思い出を語った4人。最初はブッキングでの出演でボロクソだったと言うが、掛け値なしに、いいライヴをすることで認めてもらえる場所だと語り、そのあとはライヴハウスとの共同企画も行うなど、活動と共にあった場所だと思いを告げる。春に出演する予定だったLOFT公演("SHINJUKU LOFT KABUKI-CHO 20TH ANNIVERSARYロフト三つ巴ライブスペシャル")が、コロナ禍で中止になってしまった経緯もあり、今回のツアーでこのLOFTでライヴができることは嬉しいと言う。

コロナ禍での緊急事態宣言下、ライヴができなくなり、ライヴハウスもクローズせざるを得ない状況になった2020年春。Brian the SunはYouTubeで、リモートでレコーディングした「春風」という曲を発表した(のちにベスト・アルバムにリアレンジして収録)。ライヴハウスで演奏してこそのこの曲を、このツアーで披露できたことは大きい。エモーショナルなこの「春風」から始まった中盤は、重厚で深みを帯びた演奏で「Impromptu」、そして「グリーンアルバム」、「死」、「Maybe」へと奥行きのあるアンサンブルで、どっぷりとそのギター・サウンドに観客を浸らせる。そこから一転して、後半へと向かっていく折り返し地点で、森いわく"死ぬほど青かったときに作った曲"「Suitability」で始まり、田中駿汰(Dr/Cho)の軽快なビートから「早鐘」や、「彼女はゼロフィリア」などで、バンドはぐっとスピード感を増して観客の手拍子を起こし、腕を突き上げさせた。白熱しすぎたのか、森の足がつるという事態に陥るも、治るまでの間3人がトークで観客を沸かせながら、"ベスト・アルバムをリリースすることができて。活動の中でたくさんの曲ができたのは宝物です"と小川がぐっとくるような発言をするなど、見事な連携プレイも見せてくれた。

無事ステージへと戻った森は、"ここからのセクションは、身体で聴いてください"と呼び掛け、「神曲」からノンストップでアクセルを踏み込んでアグレッシヴに突き進んでいく。白山、小川はステージからせり出すようにしてプレイし、田中は迫力のあるドラミングで音の温度を上昇させた。「ロックンロールポップギャング」での森のヴォーカルは、高らかに響きわたる。そして、ラストへと向かう前に森は改めて、いったんバンドを止めることについて話をした。10数年、4人でひとつの船に乗って旅をしてきたこと、どこへ向かえばいいのか手探りだったが、ここが探していた場所なのかという島に上陸して、そこから4人それぞれ何か持ち帰ってくるものを見つけにいくことにしたこと。でも、Brian the Sunという船は港に停泊していて、戻る場所としてずっとあるんだと言って、集まったファンを安心させてもくれた。そして、最後に贈ったのが、ベスト・アルバムに収録された新曲「Love and Hate」だ。"最後にできたのが、シンプルな愛の歌だった"と森は語り、"愛は不滅なので、それを戻ってくるときの目印にするのがいいなと思った"と、晴れやかな歌と演奏で締めくくった。ちなみに、どの曲がどのタイミングで出るかメンバーすらもわからない、スリリングなアンコールではラストに「まじでうるせえ」を持ってきたBrian the Sun。これもまた愛の歌ではあるが、痛烈なカウンター・パンチのようなパンキッシュな曲でけりをつけるというのも、また彼ららしいところだろう。そして"また、どっかで!"(森)と最後まで明るく、軽やかに、そのステージを終えた。

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