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INTERVIEW

Japanese

アルカラ

2016年11月号掲載

アルカラ

Member:稲村 太佑(Vo/Gt) 田原 和憲(Gt) 下上 貴弘(Ba) 疋田 武史(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

-アニメの制作サイドも、今回の曲を面白がってくれたわけですよね。歌詞についても、前回と同様のフレーズを用いているところもありますが、その他についてはどうですか。

稲村:今回は、小学生でも高学年を目指しているというテーマがあって。男の子やけど、大人への架け橋になるような感じに、ということやったので。大人っぽいって、どこらへんなんやろってちょっとわからなくなったんです。前作からちょっと年齢を上げて、小学6年生くらいまでの雰囲気に引き上げた感じですね。そしたら、アニメの制作サイドから"ほんまわかってはるわ~"ってきはったから(笑)。俺からしたら、ちょっと置きにいってんけど。

-アルカラとしては、真正面からやらないタイプの歌詞ですしね。

稲村:これもそういうラインですね。まだ歌詞が乗ってない段階で、マネージャーが"めっちゃかっこいい曲できましたね"って言ってたけど、歌詞を乗せたら"めっちゃ子供っぽい曲になりましたね"って言われて。宇多田ヒカルさんが、"私は「あなた」っていうところで、お母さんをイメージして書いたけど、書いてるときからこれはみんなの曲なんだ"みたいなこと言ってはって。サウナに入りながらそれを聞いてたので、熱すぎていいように自分に置き換えてんけど。"聴いてくれる人のドラマも巻き込んでいく"みたいなことを言うてはったから、そういえば俺も「怪盗ミラクル少年ボーイ2」のときは、小学6年生の子が見てることを想像して書いたなぁと思って。宇多田ヒカルさんに通じるものがあるっていうことを感じ取ってもらえたら(笑)。

-なるほど(笑)。続いてTrack.3「LET・IT・DIE」は、PlayStation®4用ゲーム"LET IT DIE"の公式参加曲ですね。ゲームの内容をどこまで意識して書いたんですか。

稲村:これはもともと、ゲームのことは考えず自分らの曲でやってくださいっていう話があったんです。僕はゲームの中の音楽なら、あまり歌はいらんなと思っていて、最初に話をもらったときはインストを作ろうと思っていたんです。でもそうじゃあかんと。世界でリリースされるゲームで、そこで日本のアーティストの曲がオムニバス形式で100曲あって、その中から好きな曲をゲームのプレーヤーが選んでプレイ・ミュージックにしたり、聴けたりするスタイルなんだそうで。そう言われたら、逆に何のイメージも湧かなくなってしまったんです。いきなり、"スポーツやりましょう"みたいな感じ。"え、何の?"っていう。野球かな? サッカーかな? って。

-漠然としすぎてわからないような。

稲村:そんなにいろんなアーティストが参加するんやったら、何かに寄せる必要はないなと思ったし。じゃあアルカラであまりやってないテンポの曲にしようっていうのがあって。ゲームしながらだとあまり速いテンポの曲はしんどいなと思ったから、最初はゆっくりとした曲をと考えていたけど、途中でもっと速くしようとなって。どのあたりのテンポがちょうどいいか考えるのがしんどかったので、ゆっくりなところと、速いところがあったらええやんみたいになったんですよね。昔からそういう曲はやっていたし、かっこええだけやとせこいな、アルカラらしくないなと思うので。

-歌詞についてはどうですか。

稲村:歌詞はほとんど仮やったんですよ。もともと、この"LET・IT・DIE"という曲名は決まっていたんです。同じタイトルで、それぞれのアーティストの曲が100曲あるという感じで。"Let it die"の意味としては、消えてくれとか、死んでくれとか、マイナスなイメージが多いんです。それだったら、自分の中の汚れているものを断捨離する感じの内容にしようと。汚れたものに向き合って背負うことも大事ですけど、捨てることも大事だということも思いながら、適当にメロディに合わせて歌っていた歌詞が、こんな感じやったんです。ちょっと意味のわからないところがありますよね。"壊れかけのWEEKEND"ってなんやろ~とかね。この人は独りになって自暴自棄になってるのかなって思ったり、ただメロディに当てた音で出てきた歌詞ちゃうかって思ったり。そういう想像ができると面白いと思うんです。僕は、これ何の歌なんやろなって、パッとわからない歌詞が好きで。揶揄しすぎて、1周回って何のことかわからないような、そういう芸術にできるのが、音楽の魅力やなと思う。喋り言葉やったら伝わらないけど、音楽と音程に乗せるとそれがかっこよく聞こえたりする。そこから、意味とかに繋げていけたらいいんですよね。

-本当に3曲3様ですね。このシングルをリリースして、年内には"こ・れ・で・も・か!!TOUR2016-東名阪-"があります。また来年は結成15周年を迎えるそうですが、そこに向けて何かプランはあるんですか。

稲村:いろいろと考えてますね。年末のツアーでは東名阪しか回らないので、それ以外のところにも行けたらいいなとか。あとは15周年に向けて、アルバムを作ろうかなとも思っています。まだ何も見えてないんですけど、これまでの流通盤には収録されていなくて、ライヴだけでやってる15年前の曲などもあるので。そういう過去の曲を今のスキルで掘り起こしてみたものも交ぜながら、15周年というバンドの歴史を意識したものを収録するとか。昔の曲だけじゃなく、今の新鮮な曲も交えた作品を作ろうかなと思ったり、そんなんできるかなぁと思ったりもしてます(笑)。イベントもいろいろ考えてますね。自分らが主催する"ネコフェス"も来年ちょうど5周年になるので、そのタイミングで普段やらないようなこともやれたらなとは思ってますね。