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INTERVIEW

Japanese

amazarashi

amazarashi

Member:秋田 ひろむ(Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

-特にラストの"金品目的の窃盗犯は 私の書いた詩の一行だって盗めやしない/私はそれを尊厳と呼ぶ"というラインは聴いている立場としても言い切ってくれる気持ち良さがありました。こう書き切れた理由とは?

例えば、いじめられたとか、陰口を言われたとか、そういうことで尊厳が失われるわけではないよ、ということが言いたかったんです。こう言い切れる尊厳が見つかってないからこそ傷つくんだと思いますが、それを自覚するだけでも楽になれたりするので。

-「虚無病」は、これまでの秋田さんと歌詞の書き方が違うと感じました。文章で描くのではなく、詩的というか、いろんな言葉を並べることで1枚の絵にしているような印象がありました。いつもより言葉遊び感も自由度が高いと思います。

そうですね。曲先ではあったんですけど、メロディを作りながら言葉をハメて、ハマらないところはメロディを変えて、みたいにわりと自由に作った曲です。サビで言いたいことを言えてる感じはあったので、その間を連想ゲームで埋めてるみたいな感覚でした。

-特に「明日には大人になる君へ」は"私"というものが強く印象づけられて、「虚無病」は大衆を見ているようにも感じたので、その対比もアクセントになっていました。歌詞にあるような"ミクロ マクロ"というか。

ネットの時代になって、ミクロとマクロがより混沌としている気がします。遠くのニュースが身近になったり、その反面身近な人や物が遠く感じたり。自分と世界とか、パーソナルとマスとか、そういう対比はテーマとしてなんとなくありました。「メーデーメーデー」(Track.5)でもそういうことを歌ってます。

-「虚無病」のようなソングライティングができたのは物語ありきの曲だからなのかな、とも思いましたが、いかがでしょう。

そうですね。曲自体を物語に寄せようと思ってたので、こういう作り方になったというのはあります。

-「メーデーメーデー」は曲の作りが"ポエトリー&サビ"なので"ラップ&バース"のようにヒップホップ的だと思いました。ポエトリーの熱量とサビの平熱の温度感も効果的でしたが、秋田さんはどのようなイメージでこの曲を作ったのでしょうか。

ずっとやってきたポエトリー・リーディングを、リズムに合わせてやってみるという挑戦でした。ここ最近ヒップホップをずっと聴いてたので、その影響は大きいと思います。社会に警鐘を鳴らすじゃないですけど、世間に対しての怒りや不安の曲だと思います。

-"犠牲者"と"自殺者"は、秋田さんにとってイコールですか?

自殺者は犠牲者です。自殺者を犠牲者だと言い切らない社会には、属する理由がないです。

-愛の足りない世界だなと思うことはしょっちゅうですが、愛はちゃんとあるところにはあるからそれが本質だと信じてますし、こんな愛があるならこの世も悪くないなと思います。「メーデーメーデー」は「僕が死のうと思ったのは」とも通ずる世界なのかなとも思いましたが。

「メーデーメーデー」で言ってる愛は、もっと友愛とか利他的なものかなと思います。「僕が死のうと思ったのは」はパーソナルな歌なので。でもどちらも存在するのが世界なので、通じてるのは間違いないと思います。

-"どうか生き残ってくれないか"という言葉を秋田さんから言ってもらえて救われる人はとても多いと思います。どういう想いからこの一節を書いたのでしょうか。

今ある漠然とした未来への不安って、本来守ってくれるはずのものへの信頼が薄れてるということだと思うんです。だからこそ"もはや生存競争"で、自分自身で生きていかなきゃ、という気持ちが僕の中にあります。

-10月にはとうとう360度ライヴでこの作品を体感できるということで楽しみです。言える範囲でどのようなライヴになるか教えていただけますか。

キャパ的にも史上最大規模なんですけど、演出も最大規模になりそうです。バンドとしても今まで培ったものの集大成で挑もうという気持ちです。

-最近の秋田さんは演出効果と一緒にダンスをしているような感じというか、演出とのコラボレーションを楽しんでいるのかな、とも思うことがあるのですが。

記号的であることが正解なのかなと思った時期もあったんですけど、今はシンプルに楽しく歌いたいと思ってます。楽しくて音楽をやってるわけですから。映像、演出に霞まない演奏をするのがライヴ・メンバー全員の勝負だと思ってます。