Japanese
amazarashi
Skream! マガジン 2021年10月号掲載
2021.09.14 @東京ガーデンシアター
Writer 蜂須賀 ちなみ Photo by Victor Nomoto
2度の延期を経て開催中のamazarashi初の全国ホール・ツアー。本稿では9月14日の東京ガーデンシアター公演をレポートするが、以下、曲目や演出に関する記述を含むため、まだ内容を知りたくない人はツアー終了後に読んでもらえればと思う。
ツアーは、感染症拡大防止ガイドラインのもとで開催されている。amazarashiに限らず、コロナ禍においてはどのライヴも"マスクをしながら黙って観る"というのがデフォルトになっているが、もともと声も出さず食い入るように観る人が多い(そうさせられるほどステージから放たれるものが壮絶なので)amazarashiのライヴ会場においては、客席の空気は今までとさほど変わらない。しかし1曲目が始まり、バンド・サウンドが鳴らされた瞬間、客席から静かなる熱気が立ち上がったのが確かに感じられた。生の音楽と対面できるこの瞬間を多くの人が心待ちにしていたのだろう。曲が終わり、"青森から来ました、amazarashiです!"と秋田ひろむ(Vo/Gt)が高らかに挨拶すると、大きな拍手が起こる。
セットリストの中核を担うのはアルバム『ボイコット』の収録曲。ビート・ミュージックやヒップホップに接近した曲が増えたアルバムだっただけに、打ち込みを取り入れた「とどめを刺して」の凛とした疾走感、言葉のリズムがレイドバック気味な「アルカホール」など、サウンド、アレンジ面の新しさが目立った。一方で、amazarashiを象徴するギター・ロック・サウンド、その生命力や熱量も対比として浮かび上がってきている。それを感じたのが、例えば、TVアニメ"86―エイティシックス―"第2期OPテーマに決定したリリース前の新曲「境界線」であり、秋田のポエトリーの後ろでバンドがかき鳴らす「水槽」における剥き出しの質感だ。また、豊川真奈美(Key/Cho)のフレーズとともにワルツの円を描く「帰ってこいよ」の温かさは、インディーズ時代からある曲「初雪」に繋げる展開も含めて心に残った。この2曲はともに8分の6拍子であるため、続けて演奏するとよく馴染むほか、秋田の生まれ故郷、青森について唄った曲だという共通項もある。
『ボイコット』は2020年3月リリースのため、収録曲はいずれもコロナ禍以前に制作されている。だからこそ、全員がマスクをしている状況で「マスクチルドレン」を聴く日が来ることも、「独白」の"だが現実の方がよっぽど無慈悲だ"がこんな形で普遍性を持つようになることも、まさか誰も想像していなかっただろう。そんななか、今回のツアーでは、アルバム同様"拒絶"がキーワードになっていた。"受諾と拒絶 拒絶 拒絶/手は組めないぜ ただじゃ死なないぜ/許可されて生きる 命ではないよ ああ私の私"(「抒情死」)とあるように、秋田が唄う"拒絶"とは、自分を苦しめるものにNOを突きつけること――人間が人間らしく尊厳を持って生きることだ。終盤のMCでは"削ぎ落されて、シンプルに自分と向き合っている気がします"、"ひとつずつやれることからやっていきたい。今日もそうです"といった心境が語られたが、このツアーはある意味amazarashiなりの"拒絶"の形かもしれない。なんとなく空気に流されながら曖昧な気持ちで現状を飲み込むのではなく、感染対策を十分に行ったうえで、意思を持って"ライヴをやる"という選択をすること。何を受諾し何を拒絶するか、選択の積み重ねで人生が決まるのならば、あなたは今どうするか。そんなメッセージを携えたツアーは、12月4日、青森にてファイナルを迎える。
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