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INTERVIEW

Japanese

amazarashi

2017年12月号掲載

amazarashi

Member:秋田 ひろむ(Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

amazarashiの4thフル・アルバム『地方都市のメメント・モリ』は、過去最高傑作ではなかろうか。『あまざらし 千分の一夜物語 スターライト』『世界収束二一一六』『虚無病』など、物語を主体にしたコンセプト・アルバムを多く作っていた彼らだが、今作はソングライターである秋田ひろむの生活と地続きの楽曲が揃う。コンセプチュアルな作品には、ある種生まれにくいとも言える肩の力が抜けたような躍動感からも、彼の音楽への高揚が感じられると言っていい。青森という地方都市に住み、全国各地で音楽を届ける彼の充実が伝わる今作について、秋田ひろむにメール・インタビューを行った。

-amazarashiはオリジナル・ミニ・アルバム『虚無病』(2016年10月リリース)のリリースと幕張メッセ イベントホールの360°ライヴ(2016年10月15日に開催した"amazarashi LIVE 360°「虚無病」")のあと、ベスト・アルバム(2017年3月リリースの『メッセージボトル』)を1枚、シングルを2枚(2017年2月リリースの3rdシングル『命にふさわしい』、2017年9月リリースの4thシングル『空に歌えば』)リリースしています。今回のアルバムの楽曲制作に取り掛かったのはいつごろだったのでしょうか?

シングル曲を作ってる時点から、いずれこの曲もアルバムに入るかもなと想像してました。今回のアルバム制作はツアーの真っ最中でした。今回のツアーはメンバーの体調不良とかもあって大変だったんですが、でもそのおかげで曲作りのモチベーションが高まった気がします。

前回の『空に歌えば』時のメール・インタビュー(※2017年9月号掲載)で、タイアップ曲に関して"その作品と自分との共通項を探すところから始めている"、"多少制約がある場合が作品によってあるんですけど、それを楽しめるほど器用じゃない"とおっしゃっていましたが、「フィロソフィー」(※"ダイドーブレンド"テレビCM"明日へのTRY"篇、"明日へのTEAM"篇のCMソング)の制作はいかがでしたか。

「フィロソフィー」に関しては楽しんで作れた気がします。僕らの得意なフィールドでやれた感じがあります。最初は漠然と社会人に対する応援歌みたいなものをイメージしてたんですけど、結果的に僕らが今までやってきたことの集大成みたいな、自分哲学みたいなものをそのまま歌にしました。

-"地方都市のメメント・モリ"がタイトル/テーマになった経緯や理由はどういったものだったのでしょうか。また、アルバムの新曲は"地方都市のメメント・モリ"というタイトル/テーマができてからお作りになったものなのでしょうか?

タイトルは曲作りの後半に決めました。曲がだいたい揃ってから、"タイトルどうしよう"みたいな。今回はあまりコンセプチュアルなものというよりは、普段の日記的な曲の集まりみたいなアルバムにしたいなと思ってました。各曲のテーマも曲調も様々あって、それをどう切り取るか、まとめるか、が名付けのポイントだと思って、僕が今住んでる青森で生まれた曲たち、みたいな切り取り方が面白いかなと考えた結果、こういうタイトルになりました。

-"メメント・モリ"はamazarashiとも親和性のあるテーマだと思いますが、このタイミングでテーマに採用した理由などはありますか?

"メメント・モリ"のようなことはわりと昔から歌ってきてることではありますね。終わりがあることを知って初めてわかることも多いんですが、"メメント・モリ"には"どうせ死ぬから刹那的に"っていう感情と"いつか死ぬから今を大切に"っていう感情と、2種類あると思うんですよ。田舎の価値観ってわりと前者かもなぁとか考えながら。ひとくくりにしちゃいけないですけど、でもそういう視点で見ると面白いなと思いました。

-今作は"メメント・モリ"とは逆説的に"どう生きるか"にもスポットが当たっていると思いました。前回のインタビューで"amazarashiと僕の普段の生活が地続きだと実感できた"とおっしゃっていましたが、それは『地方都市のメメント・モリ』にも言えることでしょうか。

はい。生活から生まれた歌たちだと思います。今回のアルバムは最終的に地方の生活者の賛歌になればいいなと思いながら作りました。変に批判とか警鐘を鳴らすとかにならないように。あとは音楽作りをライフワークと考えたときに、こういう日記的な、生活を切り取るみたいなアルバムはいつかやりたいなぁと思ってました。

-秋田さんが思う"地方都市"とはどういう空間でしょうか。

僕の場合完全に青森しかイメージできないんですけど、何か巨大なものにゆっくりと飲み込まれていってる気がします。でも、そこで暮らす人たちは意外と不安もなかったりするんですよね。

-秋田さんの生活を様々な角度から見るような感覚でもありました。タイアップ曲とのバランスを取るために気をつけた点などはありますか?

タイアップ曲はアッパーな曲が多かったので、あとはミドル~バラード的な歌モノを作ればいいかって思ってました。タイアップ曲もシングル曲も、これは必ず入れるっていう曲が先に決まってたので、逆に作りやすかったです。

-「ワードプロセッサー」は「空に歌えば」とは違う描写でamazarashiの遍歴が見える曲でもありました。

この曲は自己紹介的なものを作ろうと思って作りました。今までもそういう曲はいくつかあったんですけど、その時代時代の自己紹介があると面白いかなぁと思って。いつも歌詞はPCで書いてて、なんか曲作りや歌詞作りをずっとしてると"自分ワープロか"みたいな気分になったりするんですけど、そういうところから作りました。