Japanese
amazarashi
Skream! マガジン 2023年01月号掲載
2022.11.24 @東京ガーデンシアター
Writer : 蜂須賀 ちなみ Photographer:Victor Nomoto
"道に迷うすべての子どもたちと、かつて子どもだった人たちへ、歌いに来ました。amazarashiです"
秋田ひろむ(Vo/Gt)が少年時代を思い出しながら書いた曲で、"人と違うような気がして よく鏡を見てた/宇宙人や化け物じゃ なくてよかった/でも言葉や思考を映す 鏡なんてないから/安心できない 安心できない"と歌う「ロストボーイズ」。デビュー当時のことを書いた「戸山団地のレインボー」。地元の青森のライヴハウスの景色が浮かぶ「アオモリオルタナティブ」。それらを収録した6thフル・アルバム『七号線ロストボーイズ』は、amazarashiがどこから来たのか、なぜ今このような音楽を鳴らしていて、この先どこへ向かっていくのかを省みる作品だった。そして同作を引っ提げたツアー"amazarashi Live Tour 2022 「ロストボーイズ」"では、アルバム収録曲をおおよそ曲順通りに配置しつつ、既存曲を織り交ぜたセットリストを披露。"人生という旅の道標は我に在り"と豊かなディスコグラフィをもって語るライヴとなった。
秋田、豊川真奈美(Key/Cho)、バンド・メンバーが鳴らす疾走感に満ちたロック・サウンドは、ある種原点回帰的なアプローチという印象。同時に、その分厚い音像はもはやハード・ロックといった様相で、バンドの成熟が感じられる。そしてそのサウンドは、かつてなく生々しく鮮明。しかも今回のライヴは、セットリストの3分の1程度はステージと客席の間の紗幕を取っ払った状態で演奏されたからなおさらだ。生のバンドの息遣い、各プレイヤーの手捌き、エフェクターを踏む足の動き、伝う汗......そういったものが何も介さず飛び込んでくる。特に印象的だったのは「僕が死のうと思ったのは」で、揺れる松明の炎が命の灯に見えてならない。
「感情道路七号線」、「火種」、「境界線」、という冒頭3曲で繰り返される"己"というワード。アグレッシヴな演奏から立ち上がってくるのは闘争のイメージで、武器をモチーフとすることも多いamazarashiの音楽とは、私という人間の尊厳を殺ぐあらゆる物事と戦うための音楽であり、その根底にあるのは"やらなければやられる"というぎらつきだ。そんななか、MCでは秋田が、自身の体調不良によりツアーの4公演が延期になり、自分の気持ちが迷子になったことに言及しながら、"ツアーの練習をしながら、結局過去から言ってることはそんなに変わらないし、それってわい自身に必要なものだったんだなと思いました"という気づきを言葉にするひと幕も(それこそ、"開戦前夜、黒煙の向こうに微かに見える過去。あれは僕らの引き金、きっかけ、火種"という「火種」を連想させる言葉を告げたあと、初期曲「爆弾の作り方」を演奏してもライヴが成立するのは"変わらなかった"からこそだろう)。
そしてamazarashiの場合、その原点、出自を照らす明かりとなるのは、他者と馴染めない感覚やコンプレックス、不幸、呪いといった薄暗いものであるのが厄介な話だ。不安定な世の中で、自分の身体を貫く杭が唯一あるのだとしたらそれなのだから、誰かに明け渡すわけにはいかない。どこまで進めど"純粋でいることの代償は つまり居場所が無いって事だ"(「爆弾の作り方」)に行き着くが、それによる絶望よりも、"まぁ、自分はこういう人間だから"という雑な理解と消費で済ませてしまうことのほうが恐ろしい。だから"年々スピードは増して、始まりは遠ざかって、嬉しかったことも、悲しかったことも、出会いと別れすら一瞬で通り過ぎていく。僕らはあと何回再会できるのか。僕らはあと何回笑い合えるのか"(秋田)という刹那と寂寞の中でも、amazarashiは己を見つめ続け、歌い続けるのだろう。それこそが、人間が人間として生きるということだ。
そういった営みが今、目の前で、リアルタイムで、2時間ぶっ通しで行われている。その凄みは名状しがたいもので、ひとつ確かに言えるのは、2018年の日本武道館公演演"amazarashi Live at 日本武道館 supported by uP!!!"に匹敵するほどの凄みだったということだ。点と点を線で結び、星座を構成するとともに意味づけるライヴに必然的になっていった今回のツアー、ハイライトは「1.0」だろう。紗幕に映る『0.6』(2010年にリリースされた初の全国流通盤)以降の楽曲の歌詞が、今歌われている「1.0」の歌詞に上書きされていく演出も相まって、現時点での集大成的な空気感があった。しかしそのあとに続いたのは、「スターライト」、「空白の車窓から」であり、バンドは力強くビートを刻みながら、未来へと疾走していく。秋田の言葉を借りれば、"この先どこに行くとしたって自分の成り立ちを知ってこそ"。amazarashiの、そして私たちひとりひとりの人生という名の旅は、ここからまた始まっていくのだ。
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