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INTERVIEW

Japanese

ASIAN KUNG-FU GENERATION

2016年01月号掲載

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ASIAN KUNG-FU GENERATION

Official Site

Member:後藤 正文(Vo/Gt) 喜多 建介(Gt/Vo) 山田 貴洋(Ba/Vo) 伊地知 潔(Dr)

Interviewer:石角 友香

-寄せるんじゃなくても、それはそれで面白いと思いますけど。

後藤:でも俺たちは違うことをやってるけど、彼らとは深い部分で繋がりがあると思ってるから、それでいいんじゃないかな。まぁこういうのは運だって大槻ケンヂさんは言ってたけどね。ハンカチ落としみたいなのをやってるって。

-アジカンにもハンカチが落とされた時期もあったわけですからね。

後藤:そうですね、2004年ぐらいに。でももう一度ぐらい落として欲しい(笑)。ねぇ? キャーキャー言われたいわけじゃないけど。「リライト」とか「ソラニン」(2010年リリースの14thシングル表題曲)みたいな受け入れられ方って、たぶん幸せなことだと思うから。ああいう曲が、まだ5~6曲書けるなら書きたいと思いますね。この前、山下達郎さんのライヴを観たんですけど、どの曲も大体知ってるんですよ。すげえなっていう気持ちはありましたね。

-たしかに。それにしても今回"Right Now"ってすごいタイトルですよね。

後藤:そうなんです。"さぁ今~"って歌っちゃったから仕方ないと思って。"さぁ今"なんてタイトルはダサいから"Right Now"かなと。

-今回は"行けるさ"って歌ってますもんね。

後藤:それは映画の力も借りましたけどね。あんまり目的もないこと言ってもしょうがないですけど、「Right Now」に関してはアルバムっていう着地点を考えてないので、自分たちを自由に表現できたと感じますし。アルバムってやっぱりひとつの作品だと思っちゃうから、まとめようっていう気持ちが働いて。特に『Wonder Future』は白一色みたいな、ある種の枠の中に向けて曲を作ってるような作業だったんで。今はそれとは真逆の、何をやってもいいと思える時期でもある。次のアルバムのことはほんと、考えてないですね。

-こういうロックじゃないと起こらない気持ちを若いリスナーに伝えられると思いますし。

後藤:そうですね。もうひとつ確立したいところが、欲が出てきましたね。アジカンは、スピッツとかMr.Childrenみたいになりたい。ある意味では"正しい日本のロック・バンド"じゃないけど、そういうところに名を連ねたいよね。

-ミスチルとの対バンはいかがでした?

後藤:良かったですよ。桜井(和寿)さんの存在感はすごいですね。出てきただけでキマっちゃう感じがね。あの佇まいっていうか。なんか俺らは俺らの立ち方をバシッとしたいなと思いますけどね。もうちょっと褒められたいのかもしれない(笑)。

-まぁ彼らは90年代にめちゃくちゃCDが売れてた時代だったし。

後藤:そうなんですよね。でも、俺は聴かれ足りないと思う。今やセールスの指標が10万枚の時代になったのはちょっとな。10万枚程度で聴いてるって言えるのかよ?って。別に売れたらいいのか?って話でもないんですけど。やっぱり1番は、ライヴの現場で盛り上がる曲になって欲しいっていうところかな。そっちの方が遥かに嬉しい。イントロで"待ってました!"って感じでフロアが沸く――曲が売れた/売れないよりも、そういうところというかね。「リライト」とか「君の街まで」(2004年リリースの6thシングル表題曲)とか、要はステージで鳴らした瞬間のリアクションでわかるんですよ。売上どうこうじゃなくて、いかに待ち焦がれてくれてるのか?ってことが。今はライヴ会場でみんなが歌ってるとか、そういうことの方が実感としては嬉しいですね。そっちの方が実感的にも手応えとして回収できるから。ずっと好きなバンドが"またこれか"って思う曲をライヴでやるのはいいことだと思いますけどね。(山下)達郎さんも"僕は「クリスマス・イブ」は毎回やります"って言ってて。初めて来る、一期一会の人もいるわけだし、そうであれば聴きたいだろうってことでそれに応える。それも潔いし、かっこいいなと。俺たちも「リライト」なんて、ライヴでほとんど外したことないですしね。

-そしてカップリングのライヴ・テイクにこの3曲を選んだ理由は?

喜多:最初、『Wonder Future』の曲だけで行った方がいいんじゃないかっていう話もあったんですけど、まぁ「深呼吸」(2008年リリースの2ndミニ・アルバム『未だ見ぬ明日に』収録)とか、ツアーで評判良かったし、昔から応援してくれてるファンも喜んでくれていたんで、せっかくだから入れようと。カップリングを作ろうって話もあったんですけど、さすがにそれはそれでスケジュール的に無理があって、"ライヴ・テイクでええやん、てかライヴ・テイクがええやん"みたいな話になってね(笑)。

-あとは「Right Now」のMVのフル尺を早く観たいです。

後藤:映画観てからの方がいいと思います。先にミュージック・ビデオ観ちゃうと、映画のタネ明かしにもなっちゃうから。僕は映画を観て欲しいなと思いますね。

-すごく両方のチームでしっかりしたコラボレーションをした仕事なんですね。

後藤:そうですね、こういう仕事、ほんとに幸せだなと思います。ずっといい映画にしかあってないからね。ラッキーボーイたちだよね? 俺たち。