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INTERVIEW

Japanese

ASIAN KUNG-FU GENERATION

2015年06月号掲載

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ASIAN KUNG-FU GENERATION

Official Site

メンバー:後藤 正文(Vo/Gt) 喜多 建介(Gt/Vo) 山田 貴洋(Ba/Vo) 伊地知 潔(Dr)

インタビュアー:石角 友香

-枝葉じゃなくて、元ががっちりしてないと成り立たないって方向性だったんでしょうね。

後藤:うん。だからバンドとしてもっとガシっとね。建さんが酔っ払って(両手の指と指を絡ませて)"アジカンもっとこうなんなきゃいけない"みたいなこと言っていましたけど、メンタリティとかじゃなくて、音楽的にもガッシリともう1回組み上がんないと、やっぱり太刀打ちできないなっていう思いはありましたね。これだけ世の中に作品があったら忘れられちゃうな、みんな忘れてしまうだろうなって。3週間、レコード屋の店頭に面出ししてもらうだけでも今は必死だよね(笑)?

-いい意味で賛否両論あるアルバムだろうと思うし。

後藤:"良くない"って言われても"知らないよ"って感じだよね、別に(笑)。そんなこと言われても、俺らはいいと思って作ったんだからさ。どこにも目配せしないで作ったから。そういう意味での作為性はないんだよね。まぁ、ダサいもダサくないもねぇだろみたいな。そんなのその人の好きか嫌いか以外では判断できないだろうし。でも作品性に意識をかたむけてもらったら、自分の積んできたキャリアとか経験から見ても、どこにも恥じるところはないと思うので。"どう思うかな"とかあまり気になってなくて、単純に売れろやって言ったら下品だけど(笑)。"売れてくれないかな"って。

-で、だんだんアメリカでレコーディングすることが決まり、どんどん物事が具体的になっていくとバンドの中って活性化していくもんですか?

喜多:アメリカ行きが決まる前に、Dave Grohlが監督した"Sound City"って映画で、NEVEのコンソールにまつわる話を観ていたんで、結構単純にそこで録れるっていうのはものすごくやる気に繋がったというか。ちゃんときっちりアレンジを日本で仕上げて、向こうで気持ちよく録る状態にしようっていうやる気はものすごく起こりましたけど(笑)。

-後藤さんのブログを拝見してると、みなさんでアメリカ行って、食べるものとかが変わってからの感じとかから一体感が伝わってきたんですけど。

後藤:まぁ、みんなで毎日飯食って酒飲んでってやってると、なにかしらの一体感は出てくるよね?

喜多:うん。2週間もそうやって4人で旅に出たりしたのは初めてだったかもしれないですね、同じ場所に。

-1曲1曲、テーマは違うんだと思うんですけど、3.11以降のことを始めとして"おいおい、もう忘れてんのか"みたいな内容が多いなと思いました。

後藤:どの曲にしろテーマはあるんですけど、とにかく視点を自分からだけ、自分から見た風景だけを書かないようにしようと注意しましたね。ある種、俯瞰というか、ほんとに物語を書くように、本人語りではないものを意識しながら書いて。そうしないと伝えるのが難しいかなと思って。感情移入をなるべくされたくないと思って書いたんですね。リスナーが自分の感情に照らし合わせて、"わかるわぁ"みたいなのじゃない方がいいと思ったんですね。

-"わかるわぁ"で、叙情にしちゃうとちょっと......。

後藤:そうなんですよ。それをどうやって引き離していくかっていうのが自分の中ではテーマだったので。うまくいってるところ、それでもやっぱり自分寄りの視点に落ちてきてしまったところとか、まぁ、いろいろありますね。全曲出揃うと、バランスを考えちゃうというか。やりすぎると、どんどんアジカンぽくなくなっていくっていう、そういう難しさもあって。まぁ、サウンドが抒情詩を呼んじゃうとこもあるんですけれど。

-そうですか?

後藤:うん。なんかウェットなコード進行っていうのが僕の中にはあって。意識が内向きになっちゃう曲調とか、これもう一字一句、自分の中からは内向きな言葉は出てこない音像か。例えば、喜多くんの作った「シーサイドスリーピング」って曲とかは、このメロディと音楽にはまったく自分の言いたいことが一文字も乗らないと思った。そうするとやっぱり風景描写をするしかなくなる。そのあたりは、やっぱり言葉とサウンドは分けられないですね。そういうのはより自覚的になっているので、"うわ、この曲調だと今作ろうとしているアルバムに合うような歌詞がたぶん書けないな"とか、そういうことを思ったりしますよ。だから歌詞を書ける書けないって、わりとね、メロディ・ラインも大きいけど、曲調とかコード進行にもすごく影響されるんですね。

-そうやって曲が淘汰されていったと。そして今回はこのサウンド・プロダクションが大事なアルバムだと思うんですが。

後藤:ロスでみんなで盛り上がって変えたところとかありますね。ギターのダビングとか。"ダブルじゃない?"とか途中で話し合って。あまりにもギターの録り音が良かったんで。"これ厚いほうがいいでしょう"みたいな気持ちになって。まったく考えてこなかったけど、ギター・ダビングのプロダクションを考えようみたいな感じで、そのときに、飲みながらみんなで話しましたけど。

-録り音を聴いて歌詞が変わったものとかありますか?

後藤:歌詞自体はね、そこまで持ってかれないですね。"ギターの音いい!歌詞変えよう"とはならない。そこは和音の積みとかコード進行で決まっていて。でもそのギターをダブルにしようと思ったのは、ロスに行ってドラムの音とかを録ってからですよね。この音だったら絶対もっと分厚くギターが鳴ってたほうがいいな、と。ミックス・エンジニアには"もっと重ねて良かったんじゃない?"って言われましたけどね。"トラック少ないね"みたいな。あえて抜いた曲とかもあったので、"いらないと思ったんだよね"みたいな感じで(笑)。