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INTERVIEW

Japanese

ラックライフ

2014年10月号掲載

ラックライフ

Member:PON (Vo/Gt)

Interviewer:奥村 小雪

-すごく優しい歌ですね。

リード・トラック「plain」では"誰かと言葉を交わす度 僕は新しい僕に変わるよ""誰かに貰った 大事な僕なら"というフレーズが出てきますが、これはアルバム・タイトルの『正しい僕の作り方。』にも通じる部分があるように思います。この曲を書き出したときに"父ちゃんと母ちゃんに向けて、感謝の曲にしよう"と思ってたんです。だから"誰かに貰った 大事な僕なら"っていう歌詞は、もともと"あなたに貰った 大事な僕なら"だったんですよ。でも書いてるうちに、自分を作ってるのは、父ちゃんと母ちゃんだけじゃないなって思うようになって。生まれた時点では"自分らしさ"っていうものはなくて、いろんな人と巡り会いながら、いろんな人の欠片をちょっとずつもらって今の自分の考えかたや感じかたとかが構築されてきた気がして。そうやって、好きな人たちから欠片をもらって"自分"ができたのなら、自分自身もちょっと好きになれるかなっていうことに気づいたんです。そう思ってから他の曲をパッとみたら、誰かとの曲、誰かに向けての曲とか、"誰か"がいてこその歌ばっかりやったんで、そうやって自分はここまできたんやなっていう気持ちをこめて、アルバムのタイトルを『正しい僕の作り方。』に決めたんです。

-「plain」という言葉には"飾りやごまかしのない""気取らない"などの意味がありますよね。

最初、あだ名として"プレーン"って呼んでたんです。それで、曲のタイトルをどうしようかって考えたときに、「plain」いいなって思って。いろいろな人から欠片をもらってきて、それが"そのまま"自分だよっていう意味を込めて「plain」というタイトルに決めました。

-なるほど。この曲はミュージック・ビデオも公開予定とのことですが、どんな映像になってるんでしょう?

リリック・ビデオですね。やっぱり言葉を目にしてもらいたいので。

-公開が楽しみですね。「ハートイズ」には"あなた"というフレーズが何度も出てきますよね。この"あなた"というのはリスナーに向けて?

そうなんです。"トイ・ストーリー"を観て書いた曲なんですけど、おもちゃとバンドって存在的に似てるなと思って。誰かを楽しませるためにいるし、誰かの寂しさを紛らわすためにいるし、すごく近くに寄り添ってくれるような存在で。だから「ハートイズ」="おもちゃの心"(heart+toys)です。

-「僕と月の話」は、誰にも言えない、でも誰かにさらけ出したい----―そんな自分の弱さを歌ってるのかなと感じました。

上手くいくことばっかりじゃないんで、自分の中でつまづくことが多すぎて。かといって、しょっちゅう弱音も吐かれへんし。もやもやして整理したいなって思ったときに、近所の川で空を見上げながらボーッとしてるときに作った曲なんです。すごく弱くて情けない話なんですけど、"みんなもこういうことあるんかなー"って。

-自分の弱さを曲にするのってすごく勇気がいることだと思うんですけど、この曲で新たに一歩踏み込んだなと思いました。"愛してほしいと叫んだ 声にもならずに胸の中へ"って歌詞がすごく好きで。

そうですね。ドロドロした部分を淡々と歌ったというか、虚しさみたいな。それが1番好きなんです、僕。好きやと言ってほしくても、やっぱ情けなくて言えないじゃないですか。

-このフレーズには胸がギューッと締め付けられました。その後の"一人佇んでこぼした 弱さはまるでアイのようだ"というところの、"アイ"がカタカナなのには理由が?

何が愛なのかあんまり分からへんなと思ったのと、"自分=I"って意味もあるんです。"弱さが愛みたいならいいな"、"弱さはまるで自分みたいやな"って。

-アレンジもか細くて、仄かな月明かりを思い浮かべました。

声を大にして叫ぶとかじゃなく、どうしてもぼそぼそ言いたくて。できるだけ抑えて、できるだけ目立つことはせず......っていう意識で削ぎ落としながら作りました。でも僕ら、今までライヴとかでもアホみたいにぶぁーっと激しくやってきたんで、音を抑えるのとか苦手で。慣れてないんですけど、これだけはそういうふうに表現したいなと思ってアレンジしましたね。

-「ローグ」は前回のインタビューでもお伺いした通り、昔からバンドの節目に歌ってきた大切な曲なんですよね。いただいた資料に"始まりと終わりの歌です。"と書いてありますが、この"終わり"というのは?

地元のライヴハウスに向けて書いた歌なので、そこで始まっていろんなところに行って、自分らが終わるってなったらそのライヴハウスで終わりたいなっていう意味ですね。あと漫画の"ONE PIECE"に"ローグタウン"っていう町が出てくるんですけど、それが"始まりと終わりの町"なんですよ。「ローグ」はそこから取ったんです。

-そうだったんですね。Track.7「パラボラ」の"その強さは消えてしまった"というのは、大人になるにつれて臆病になってしまったということですか?

昔は誰に何を言われても、間違ってることであろうと自信満々に"うるさい、これはこうやから"って言えてたんですけど、今は自分が"こうや"と思ってても外からヤーヤー言われると、"あれ......これってそうやったっけ?"みたいな。失敗を恐れるようになるし、守りたいものができるとなかなか踏み込めなくなるっていうか。"俺が俺が"って言えてたのが、"あーじゃあ先どうぞ"って、他人を気遣っているようで自分を守るようになったっていう。それに気づいたとき、"俺こんなんじゃなかったのにな"ってすごくショックで。なんかすごく情けないんですけど、それでもやっぱり手にしたいものがあるから"行くぜ俺は!"って。