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DISC REVIEW

S

センターライン / ガール・インザ・スペースルーム / 心音

snooty

センターライン / ガール・インザ・スペースルーム / 心音

snootyの今を切り取り、3つの夏サウンドに乗せた3ヶ月連続シングルが到着。その第1弾にしてバンド第2章の幕開けを飾る「センターライン」は、爽やかな日差しを受けて走り出すような清々しいギター・ロックに、深原ぽた(Gt/Vo)がユトリミサ(Ba)、しおり(Dr)と肩を組んで進もうとする想いも織り交ぜた、強くなりたいすべての人の背中を押す応援歌だ。一転、「ガール・インザ・スペースルーム」では初のヒップホップ/R&B調に挑戦。蒸し暑い午後に部屋の中で悶々とした気持ちを巡らせる場面をリアルに浮かばせる。そして、それらを締めくくる「心音」は、夜更けの町でかけがえのない仲間と過ごした時間を思い起こすノスタルジックなナンバー。snooty印のひずんだギターが感情をかき立て、じんわりと沁みる。(稲垣 遥)

たゆたう

snooty

たゆたう

結成からの4年間で経験してきた揺れ動く感情を込めた1stフル・アルバム。初全国流通盤にして自らバンド第1章のベスト盤と位置づける本作だが、リード曲「一閃」を筆頭にここから前進していく意志が表れた新曲たちを、ピュアに、アグレッシヴに奏でる。その前のめりな想いが先行したような泥臭いサウンドにも彼女たちの意志が感じられた。地元福岡で名を広めるきっかけとなった切実なナンバー「会いたい」、ライヴでのキラーチューンでもある「哀」、深原ぽた(Gt/Vo)のライヴハウス愛を詰め込んだ「マイライフ」、温かい風景がありありと浮かぶポップな「吉祥寺とオレンジ」、snooty流シューゲイズ「青と足跡」など3人が挑戦し、葛藤し、生きてきた軌跡が等身大で凝縮された1枚はリスナーにも寄り添ってくれるはず。(稲垣 遥)

空白 / 世界が終わるまで / 線香花火

snooty

空白 / 世界が終わるまで / 線香花火

日常を切り取った描写を得意とするsnootyが、今まで以上に強い想いを乗せた新曲を3ヶ月連続発表。第1弾「空白」は、言葉によって深く傷ついた人間の悲痛な気持ちを歌うダウナーなロック・チューンだ。恨みを攻撃的に叫んだり、ヒステリックに嘆いたりするのではなく、深手を負った心の内をぽつぽつと吐露するまっすぐな詞と歌唱は新機軸で、だからこそ、"死"をも過ぎる差し迫った情感を帯びている。そして、「世界が終わるまで」では"あなたと生きていたい"と歌い作品の連続性を窺わせ、深みも与える。そんな2曲に続く「線香花火」はシンプル且つ美しいメロディで、火が消えてしまいそうな恋心を、疾走感をもって歌うナンバー。磨かれた感性が表れた3曲は、手放しに明るくはいられない今でも、挫けず生きる強さをくれる。(稲垣 遥)

こぼれた

snooty

こぼれた

福岡を拠点に活動する3ピース・バンド snootyの1stミニ・アルバム。去っていった"君"を想う感情を繊細に歌い上げたり、猫になって自由に生きたい気持ちを率直な言葉で綴るかわいらしい楽曲もあったりと、その世界観はバリエーション豊か。楽曲によってコロコロと表情を変えるサウンドも相まって、引き出しの多さに胸を掴まれる。しかし、どの曲を聴いてもすんなりと感情の中に染み込んでくる気がするのは、深原ぽたの透明感と切なさの隣り合った歌声と、日常の中からこぼれたやるせなさや脱力感を見て見ぬふりせずに優しく拾い上げる素朴なまなざしが、楽曲たちの真ん中を常に貫いているからだろう。現時点の代表曲「友達になろう」も収録された、snootyからの挨拶状のような全5曲。(五十嵐 文章)

Wildness

SNOW PATROL

Wildness

もはやUKロックの正統派と言える英グラスゴーの5人組が『Greatest Hits』(2013年)を挟んで、前作『Fallen Empires』から約6年半ぶりにリリースした7thアルバム。大きな聴きどころはふたつ。まずは、ほぼ全曲で力強いリズムとともにアコースティック・ギターを軽やかに鳴らしたバンド・アンサンブル。シンセやストリングスといった装飾も使いながら、結果、バンドが持つ骨っぽさをアピールしている。そして、もうひとつはピアノ・バラードの「What If This Is All The Love You Ever Get?」に顕著なR&Bの影響だ。中でも、モダンなR&Bをバンド・サウンドで表現したような「A Youth Written In Fire」は、そんなアプローチの大きな成果と言ってもいい。結成から25年目で、バンドはまだまだ前進し続けている。(山口 智男)

Up To Now

SNOW PATROL

Up To Now

98年にデビューし、バンド結成からは15年というキャリアを持つ、UKベルファスト出身の5人組、SNOW PATROLの二枚組ベスト・アルバム。現在までに4枚のオリジナル・アルバムをリリースしており、3rdアルバム『Final Straw』はプラチナ・アルバムを獲得。以後U2 のツアーのオープニング・アクトを務めるなど、確実に地位を確立してきた。このベスト・アルバムには、SNOW PATROLのヒット・シングルはもちろんのこと、JEESPER時代の曲なども含まれている。新曲「Just Say Yes」は、暖かいシンセサイザーの音と、ゆっくりとリズム、低く包み込むような歌声と、女性のバック・コーラスが美しく響いている。憂いを帯びたメロディではあるが、希望に満ち溢れたナンバーだ。果たして彼らの5thアルバムがどういうものになるのかということも、楽しみにしていよう。(杉浦 薫)

Millennials

THE SNUTS

Millennials

今最も勢いのあるUKロック・バンドのひとつ、THE SNUTS。昨年の"サマソニ"での来日公演も好評だった彼らが、再び帰ってくる。この3rdアルバムを引っ提げての単独来日公演は、チケット発売から間もなく東京公演が即ソールド・アウトというのだから、ほんとに強い。本作は、そんなTHE SNUTSの人気を裏づける、彼らの魅力がギュッと凝縮されたようなアルバムだ。ほんのりノスタルジックな響きを持ったポップ・サウンドは、タイトル通りまさに"ミレニアル世代"を象徴する、ローテクとデジタル・ネイティヴの中間を浮遊する絶妙なセンスの良さを見せつけてくれる。そして、これまでよりも青春のキラキラした部分だけを掬い取ったように甘酸っぱく、不可侵な純粋さをリスナーに味わわせてくれる作品となった。(山本 真由)

W.L.

THE SNUTS

W.L.

2015年の結成以来、ライヴ活動やシングル・リリースなどで徐々にファン・ベースを拡大してきたスコットランド出身の4人組、THE SNUTSが待望の1stアルバムを発表。すでにUKチャートでは1位を獲得している本作だが、その注目度の高さにも納得の楽曲がひしめく1枚だ。たおやかなオープニングから始まり、耳に残るフレーズが印象的なTrack.2、エネルギッシュなリフを鳴らすTrack.6、荒々しく弾けるパンク・チューンのTrack.10、壮大なラスト・ナンバーのTrack.13と、インディー・ロックやダンス・ミュージックを俯瞰で解釈したような、踊れるロック・サウンドを展開。デビュー作ながら、今後のUKロックを背負って立つほどの存在となるポテンシャルを感じさせる。(菅谷 透)

SODA POPS

SODA KIT

SODA POPS

"文化祭"というテーマや"SODA POPS"というタイトル、さらにヴィジュアルも含めて、コンセプチュアルに統一された3rdミニ・アルバム。とはいえ曲調はバラエティに富んでいる。はじける片思い(もしくは推し活)ソング「ドキドキサレンダー」、実力派シャッフル・チューン「イデア」、わちゃわちゃ感が眩しい「無礼講サマー」、ヘヴィなラップ・ソング「シニシズム」、一緒に口ずさみたい「思い込みの魔法」。文化祭のいろんな部屋を覗けるような、楽しい一枚だ。5曲全てのインストゥルメンタルや、2ndミニ・アルバム『ロングラン』に収録されていた4曲の、一人一人のソロ・バージョンも聴くことができる。(高橋 美穂)()

ロングラン

SODA KIT

ロングラン

"群像劇"というテーマによって、メンバー全員の個性が炸裂し、さらに新たなる挑戦もちりばめられた2ndミニ・アルバム。メンバーひとりひとりが喜怒哀楽、ひとつひとつの感情を表現した楽曲の主人公となっており、「ナッチャッタ!」はYupsilonが主人公として喜を表現したキャッチーなナンバー。「徒然論怒」はMugeiが主人公として怒を表現した、攻撃的なラップ・ソング。「カゲボウシ」はFigaroが主人公として哀を表現した、切なすぎるラヴ・バラード。「一刀両断」はRasetsuが主人公として楽を表現した、ライヴ映え必至のパーティー・チューン。そして、喜怒哀楽すべての感情を集約させた表題曲「ロングラン」は、FAKE TYPE.が楽曲提供! SODA KITの声の力、グループの可能性が発揮されている。(高橋 美穂)

Formula

SODA KIT

Formula

SODA KITの発起人であり、作詞作曲者でもあるYupsilonのルーツであるロック色が強い音楽性と、メンバー4人に共通するタフなキャラクターが表れており、1枚目に相応しい宣戦布告を感じさせる作品になっている。4人の個性豊かな声色が生かされた、ひとりでは絶対に成立し得ない世界観からは、SODA KITが生まれた必然性も伝わってくる。特に、YupsilonがRasetsu、Figaro、Mugei の3人の個性を咀嚼し、3人がYupsilonの表現に共鳴したことが明白にわかる歌詞は、歯を食いしばって生きているすべての人に響くに違いない。ヒリヒリしているようで、垣間見えるユーモアや毒からは、メンバー間の楽し気なグルーヴも感じられる。(高橋 美穂)

Florida

Sofia Talvik

Florida

照りつける太陽のような眩しさ、オレンジ、グレープフルーツ...果物のように、どこもかしこもカラフル。そんな鮮やかな色を持つ豊かな南の地へのラブレターが、北欧から届いた。いや、アプローチとでもいおうか。スウェーデン出身の女性アーティストSofia Talvikが本作で描いたのは、温暖気候の観光地"フロリダ"。作中に流れている人肌の温もりを感じるあたたかさ、そしてそのフロリダ譲りの人懐っこさ。それと同時に、美しく、どこか近寄り難い、気品を持ち合わせているのは母国スウェーデン直系のものだろう。そう、彼女は暖色のオーラを放ちながらも、薄暗く深々とした北欧の静けさをも併せ持っている。(島根 希実)

LIVE TOUCHES YOU

SOFT

LIVE TOUCHES YOU

京都のインスト・バンドSOFT。僕はまだSOFTのライヴを観たことはないが、2009年に行ったライヴからメンバー自身がセレクトしたベスト・テイクを収録したこのライヴ盤を聴くと、明らかにいいでしょう。新メンバーの加入後、7 人編成となって昨年リリースしたアルバムでは、それまでの音楽性から、JAZZやファンクのグルーヴを大胆に取り入れた変化をみせたSOFT。ブラック・ミュージックのグルーヴを取り込んだトランシーな演奏が持つ抜群の快楽性は、夏の夜にでも聴けば、バッチリ遠くまでとばしてくれるでしょう。素晴らしい。むさ苦しいだけの汗の匂いではなく、色気のある汗の匂いが鼻腔をくすぐる。そんなファンカデリックな1枚。これはライヴに遊び行かないといけない。(佐々木 健治)

Strapped

THE SOFT PACK

Strapped

逞しく成長した姿に、“これはギークからジョックへの痛快な反撃だ!”なんてキャッチ・コピーを捧げたい。あっ、彼らがギークかどうかわからないけどね……。カリフォルニアのヤンチャなインディー・ロッカー、THE SOFT PACKが約2年振りの新作『Strapped』をリリースする。ヘロヘロっとした脱力ヴォーカルにパンキッシュなギター・メロディの疾走感そのままに、グラム・ロックとアメリカーナの中間を突くような新境地はこれまたクセになる。どちらかというとアーシーな方向性だが、アコギやシンセにホーン・セクションを取り入れたネオアコ風味も交え、ワクワクする自由奔放さが最高なんです。ちなみにレコーディング時はDENIMにLee HazlewoodやGrace Jonesをよく聴いていたとか。マジか?!と疑っちゃうけど、このポップ感覚はそういうことね。(伊藤 洋輔)

The Soft Pack

THE SOFT PACK

The Soft Pack

これがデビュー・アルバムなのにこんなに変わるってどういうことだ!?ローファイなガレージ・ロックンロールでEPの時点で注目を集めていたサンディエゴ出身のTHE SOFT PACK。どうやら、大きな思い違いをしていたようだ。初期パンク、ガレージの雰囲気は残しつつも、その音は一気にソリッドでクリアに。とは言っても、変なプロデュース感が出たという意味ではない。本当にやりたいことができる環境が整ったのだろう。THE STROKESがTHE VELVET UNDERGROUNDだとすれば、このバンドはTHE MODERN LOVERS。キレのあるギターと洒脱なアレンジ、楽曲をうねらせる骨のあるベース。サイケもパンクも呑み込んだ、最新型ガレージ・ロックンロール。ギター・ロックにまた希望が灯った。(佐々木 健治)

The Muslims

THE SOFT PACK

The Muslims

既にTHE LAST SHADOW PUPPETS、FRANZ FERDINANDなどのサポート・アクトを務めるなど、話題をかっさらっているTHE SOFT PACKの10曲入りデビューEP。BLACK LIPS、VIVIAN GIRLS、THE DRUMSといったバンドと同じ流れにあるローファイ・ガレージパンクを繰り広げる彼等。初期パンク、パブ・ロックの影響を感じさせるメロディ・ラインに、軋みながら突き進むギターと少し籠もったドラムが心地よい浮遊感を漂わせる。初めて聴いた時は、最近こういうバンドが多いなという程度の感想だったのだが、流行云々なんてものを頭から抜かして聴いた時に、このシンプルなパンク・ソングが持つ中毒性にやられてしまった。刻み付ける為に鳴らされる音に、流行や理屈は関係ない。(佐々木 健治)

Inner Voice

S.O.H.B

Inner Voice

名古屋市在住のNatsumi Nishiiを中心としたクリエイティヴ・ユニット S.O.H.Bが、『2021』以来となるアルバムをリリース。今作は、前回のEP『美しいあなた -EP』(2022年)でも描き、また多くの人にとって普遍的テーマと言える孤独と、自立がテーマとなったという。S.O.H.Bが紡ぐ孤独は、寂しさや悲しみから生じる感覚でなく、日々のなかで、人との関わりのなかで芽生える喜怒哀楽をひとり味わうような時間だ。自身の内に芽生えた小さな引っかかりや声、気持ちに点を打ちながら、心の景色や人生の地図を描いていく曲たちは、混沌を手探りで進む人の琴線にも触れるのではと思う。ゴスペルの多声感やソウルフルなエレクトロ、またピアノに乗せ語り掛ける平熱の歌声も心地よい。(吉羽 さおり)

美しいあなた

S.O.H.B

美しいあなた

ベールに包まれた音楽ユニット、S.O.H.B(シーズンズオブハーベッドルーム)。透き通った特徴的な歌声が、リラックスしたムードを醸しながらも芯の強さを持ち、透明感漂うサウンドと美しい旋律に乗って心に刺さる。そんなS.O.H.Bによる初のEP『美しいあなた』には、"大切な人"をテーマにした4曲が収録された。忘れられない人への想いを綴った夕暮れ時に聴きたい1曲「オレンジ」、切なさが滲むまっすぐな片思いソング「夜明け前」、音数を絞ったデジタル・サウンドと英語詞が本作の中で異彩を放つ「Warm Night」、冬の白い吐息のような冷たさと浮遊感を纏い"孤独"や"命"を歌う「きらめき」。その季節、時間帯の空気感を閉じ込めた、情景が浮かぶサウンドと歌声が美しい、心の琴線に触れる1枚。(中尾 佳奈)

LOST IN TOKYO

SOIL&"PIMP"SESSIONS

LOST IN TOKYO

ワールドワイドに活動するSOIL&"PIMP"SESSIONSの約2年半ぶりとなるオリジナル作品は、彼らを育んできた土壌でもある"東京"をテーマにしたコンセプト・アルバム。バンドにとって思い入れのある街の地名などをもじったタイトルのもとに展開されるインスト楽曲は、その地に足を踏み入れた者なら誰もが目に浮かぶであろう景色を想起させる説得力に満ちている。ゲストVoを迎えた楽曲も秀逸で、大都会の様々な表情を捉えたSKY-HIのリリックが刺さるTrack.3や、狂騒的なビートの上で向井秀徳(NUMBER GIRL/ZAZEN BOYS)が大仰に歌い上げるTrack.8と、強烈な存在感を放っている。今ではどこか縁遠いものになってしまった、喧騒も恋しくなるような作品だ。(菅谷 透)

6

SOIL&"PIMP"SESSIONS

6

東京のクラブ・イベントで出会った6人のメンバーから構成される爆音ジャズ・バンド。自らを" DEATH JAZZ "と称し、独創性豊かな音楽性と抜群のポップ・センスで、従来敷居の高いイメージだったジャズという音楽を大衆レベルのポップ・フィールドに持ち込んだ。世界のロックフェス、ジャズフェスからクラブ・イベントまで、幅広いフィールドで活躍中。6枚目となる今作も、趣向を凝らした高度な演奏と、聴いているだけでメンバーの汗が自分にかかってくるかのような、パワフルなエネルギーが炸裂している。椎名林檎が参加した「My Foolish Heart~Crazy On Earth~」も、アルバムの中ではあくまで1アクセントとなっていることも逆に好印象だ。ジャズという言葉だけで敬遠するのは、勿体無過ぎ!!(杉浦 薫)

前略トリコロール

Somari

前略トリコロール

いわゆる歌モノのギター・ロックを奏でながら、ツイン・ヴォーカルで他のバンドに差をつける3ピース・ロック・バンド、Somariによる初の全国流通盤となる1st EP。"頑張ろうぜってリスナーに勇気を与える音楽を届けたい"という言葉通り、ラヴ・ソングである「アイソワライ」以外の3曲は、目の前にいるお客さんに送ることを前提に作ったエールと言えるが、そこに若干のメランコリーが入り混じるところにリアリティを感じる。結成3年目ということで、歌を邪魔しないことを第一に考えたシンプルなバンド・サウンドはまだまだ進化していきそうだが、結成したときすでにやりたいことがはっきりしていた3人だ。奏でる音楽と同じようにこのまままっすぐ成長していくに違いない。バラードの「星降る夜に」にシンガロングを加えたのは、ライヴでお客さんと一緒に歌いたいからだ。そんなところにもバンドの姿勢がはっきりと表れている。(山口 智男)

When Youth Fades Away

SOMEBODY’S CHILD

When Youth Fades Away

現代ロック・シーンに旋風を巻き起こすFONTAINES D.C.やINHALER、NEWDAD等と同郷 アイルランド発の新世代バンド、SOMEBODY'S CHILDの2ndアルバムが到着。シンプルなビートを採用し、終盤にかけてダイナミクスを増幅させていく曲展開に加え、アルバム全体の楽曲構成は一見普遍的だが、それらを凌駕するオーセンティックなメロディがこれ程繰り返される作品は類まれない。「The Kid」や「Wall Street」を筆頭に、野心に満ちたヴォーカルとドリーミーなギターが絡み合う、多幸感溢れるコーラスは限りなく希望的。一貫したサウンド・アプローチの選択は、"青春の終わり"と対峙してきた彼等にとって必然だったのだろう。時の流れを受容し、新たな旅路へと前進する人たちの背中を押してくれる1枚がここに誕生した。(山本 剛久之)

Poo

Some Life

Poo

名古屋出身の若き4人組 Some Lifeが、10代限定のイベント"未確認フェスティバル"での準グランプリ獲得を経て全国デビュー。そのタイトル"Poo"は幼児語で"うんち"を意味する。なるほど、汚物でありながら子供たちのスーパー・キャッチーなアイコンでもあるそれを、成人を迎えても言い合って笑える。そんなメンバーの仲の良さが伝わってくる「サムライフのテーマ」に始まり、オルタナティヴ・ロックにパンクにレゲエなど、様々な音楽的影響を、ユーモアたっぷりに掛け合わせ思いっきり出した全6曲。それらを引っ提げて、彼らがステージ上で無邪気に暴れ回る姿を観てみたい。Some Lifeの前では、誰もが童心に返れるのかもしれない。行こう、ライヴハウスへ。(TAISHI IWAMI)

Let It Sway

SOMEONE STILL LOVES YOU BORIS YELTSIN

Let It Sway

バンド名がやたら長いし、何のこっちゃ分からんな。でも、こんなバンド名を付けておきながら、エリツィン元大統領に特に興味があるわけでもなく、政治的意味もないらしい。そういうノリ一発みたいな感覚は素敵。バンド名から、悪ふざけにも似たひねくれインディ・ポップかと思っていたら、そんなことはない。驚くほどのメロディ・センスとシンプルかつ気の利いたアレンジの妙が合わさった、極上のポップ・ソングの数々がこのアルバムには詰まっている。これぞポップ・ソングと膝を打ちたくなる、煌くようなこのアルバムは、THE BEATLESからLA'S、PHONEIXなどにも繋がると同時に、PAVEMENTが引き合いに出されるのも納得の1枚。ポップ・ソングを愛する人は、絶対に見逃してはいけない。(佐々木 健治)

Something A La Mode

SOMETHING A LA MODE

Something A La Mode

DAFT PUNKやJUSTICEを生んだフランスから新たなエレクトロの刺客が登場。エレクトロといっても、彼らは元々チェリスト、バイオリニストとして活動していて、このユニットは自ら体験したクラブ・カルチャーとクラシックを融合しようと始まったもの。ストリングス×エレクトロというとDAFT PUNKが担当した映画『TRON』が思い浮かぶが、それをもっとフロア仕様に、よりファッショナブルにした感触。艶やかなアンサンブルと切れのあるダンス・ビートの組み合わせは新鮮だし、楽曲によってはフランスのアーティストらしい哀愁あるメロディがあるところも良い。ソウル・シンガーAdam Josephを迎えた「Little Bit Of Feel God」はホント鳥肌もの。(遠藤 孝行)

Yonder

SOMETREE

Yonder

1997年から13年に渡りドイツ、エモーショナル・ロック・シーンのトップに君臨し続けるベルリンの4人組 SOMETREE。ヨーロッパでのライヴではPOP UNKNOWN、AT THE DRIVE-IN、EDITORS、RADIO4、THE APPLESEED CAST、THE PROMISE RING、SOULWAX、SNOW PATROLなど多数のバンドと共演し、エモ、ポストロック界の一流バンドと肩を並べる存在に。そして遂に5 枚目となる『Yonder』で日本デビューとなった。ポストロック× クラシックの要素に、静寂と激しさが絡み合う美しいサウンドと儚くも繊細なヴォーカルが胸に響いた。聴いていて音に浸食されていくようだ。(成田 早那)

AUGURIES

The Songbards

AUGURIES

3部作の第2章となる本作は、かき鳴らされるギター・サウンドが印象的な「Engineered Karma」や、ブリティッシュ・ロックを思わせる「ブルー・ドット」など全5曲を収録。特にラストを飾るミディアム・バラード「夕景」では、エモーショナルな世界観を引き立たせる神秘的なコーラス・ワークに惚れ惚れとさせられる。各曲の文学的な歌詞とも相まって、全曲聴き終わったあとは、まるでひとつの小説を読み終わったような感覚を覚えた。今作のテーマである"人はなぜ生きているのか"とは、正解のない哲学的な話だが、歌詞にも多く使われている"愛"が彼らの導き出した答えではないだろうか。第1章で存在の肯定をし、第2章で生きる意味について探求した彼らが最終章で何を表現するのか、今から楽しみだ。(伊藤 美咲)

SOLITUDE

The Songbards

SOLITUDE

アメリカの詩人、エラ・ウィーラー・ウィルコックスの"貴方が笑えば、世界は貴方と共に笑う。貴方が泣くとき、貴方は一人で泣く。"("Solitude"より)から着想を得た今作は、これから始まる3部作の第1弾。"SOLITUDE=孤独"がテーマだが、このアルバムで歌われているのは決して絶望や悲嘆ではなく、誰もが心の片隅にそっと忍ばせている分量の寂しさや心細さと、その隣に静かに寄り添い、世界へ微笑みかけられるよう導いてくれる光だ。シンプルなグッド・メロディと、彼らが敬愛するTHE BEATLESを想起させる美しいコーラス・ワークも、まさに"隔てる心を優しく解かす"(「窓に射す光のように」)。まだベールに包まれた3部作プロジェクトの続きが待ち遠しくなる1枚。(岡部 瑞希)

CHOOSE LIFE

The Songbards

CHOOSE LIFE

THE BEATLESを敬愛し、ブリットポップやOASISなどUKロック、そしてVAMPIRE WEEKENDらも並列して吸収する今の20代ならではのサウンド。ただ卓越しているのはその音楽が正面切って美しいところだ。英文和訳的な青春文学風の歌詞もしかり。初のフル・アルバムは、60年代UK的なコーラス・ワークとリフが印象的な「ストリートアレイ」から始まり、グルーヴ感においてOASISを想起させる「悪魔のささやき」、少しひねくれたメロディ・センスがユニークでソウル・フレーバーもある「Othello」、いなたさがむしろ堂々とした印象を与える「青の旅」など、どこを切ってもフレッシュ且つロックのルーツがある。例えば、DYGL好きもandymori好きもハマれそうな特別な個性。(石角 友香)

The Places

The Songbards

The Places

2017年3月から本格的に活動を開始した神戸発4ピース The Songbardsが、チャットモンチーやGotchらを手掛けてきたエンジニア 古賀健一など、豪華制作陣を迎えた2ndミニ・アルバムをリリース。敬愛するTHE BEATLESをはじめとした90年代ブリットポップなどのルーツを、The Songbardsとして奏でたいロックへ見事に昇華している。伸びやかで澄んだ上野皓平の歌声と力強い松原有志の歌声が交わるツイン・ヴォーカルや、息ぴったりの4人のコーラス・ワークがシンプルなグッド・メロディに重なり、美しくポエティックな歌詞の魅力を増幅する。英リバプールで開催された世界最大のTHE BEATLESの祭典"International Beatleweek"への出演など、海外公演を経験した彼らが本作をどう演奏するのかも楽しみだ。(渋江 典子)

Short Hair

SonoSheet

Short Hair

CALENDARSやLucie,Tooといった、オルタナティヴなサウンドとグッド・メロディを届けるバンドたちを輩出した栃木県は宇都宮シーンの中核を成す大本命、SonoSheetが満を持してアルバム・デビュー。オルタナティヴ・ロックやメロディック・パンク、パワー・ポップなど、主に90年代~00年代のインディペンデントなロックの洗礼を受けたサウンドに、日本語に宿る情熱を詰め込んだメロディが光るそのスタイルは、まさにエモーショナルの極み。もしあなたが、日常のしがらみも何もかも忘れて、感情のリミッターを外したいなら、このアルバムを聴けばいい。そしてライヴハウスに行くといい。溢れ出る想いが涙になりダンスになる、至上の快楽がここにある。(TAISHI IWAMI)

deep blue

sora tob sakana

deep blue

6年の旅路がここで終着。開幕の「信号」で新境地を魅せたのは、最後まで今いいものを作ろうとする姿勢の表れ。再録された曲たちは、時に生楽器を入れ、時にアレンジが変わり、何より6年間の活動の中で培った歌唱技術と、少女から大人へと成長していく過程を経た声そのものの変化で、さらなる高みへと至っている。最後は「ribbon」から連なる「untie」の鍵盤が響いたあとに残る心象風景を、ただただ感じてほしい。ラスト・アルバムとして、ベスト盤として、そして新たな作品として、いずれの性質も内包する深度の高い創作物が生まれた。この作品は、彼女たちが青春時代を生きてきた証。そして彼女たちが作り、遺してくれたsora tob sakanaという名の世界だ。(宮﨑 大樹)

振り返って

澤田空海理(Sori Sawada)

振り返って

約1年半ぶりのミニ・アルバム。ソングライターとしての自身の心情を徹底的に綴った「与太話」に始まり、"そうだ。これは、/手紙であって、私信であって、/謝辞であって、謝罪であって"と歌う「振り返って」で終わる本作では、答えのない内省が繰り返されている。作家としても活動する澤田が、本名名義でアーティスト活動をするのはなぜか。その理由に迫る赤裸々な作品だが、煙草の吸い方を言葉の受け取り方になぞらえた「曖昧に甘い」、カメラロールから読み取れる関係の変遷を歌った「カメラシャイ」など着眼の鋭利さも健在。この恋を聴き手が自分事として捉えられる余白も設けられている。リリースから約3年を経て當山みれいがカバーした「またねがあれば」の再録版も収録。(蜂須賀 ちなみ)

昼日中

澤田空海理(Sori Sawada)

昼日中

risou名義でボカロPとしても活動する作編曲家/シンガー・ソングライター Sori Sawadaによる、初の完全全国流通作品。ヴォーカルを務めるのは本人と、歌い手"38番"としても知られている女性シンガーのsaya。近くにいるものの心はすれ違ってばかりでいる男女の心象を二声が表現している。本作のテーマは日常と別れ。人肌恋しい季節から始まりの春へ向かうにつれて、このような経験をしたことのある人も多いのではないだろうか。起承転結を描く全7曲を聴いたあとの感触は小説を読み終えたあとのそれに近く、ストリングスやピアノを取り入れた透明感のあるバンド・アレンジも聴き手の胸を締めつけるようなものだ。初回限定盤には作品の世界観を視覚で表現した大判ブックレットが付属されている。(蜂須賀 ちなみ)

Solution

Sou

Solution

ネット・シーンで存在感を放つSouによる3rdアルバムが到着。今作も豪華な作家陣による楽曲が並ぶが、ボカロPはもちろん和ぬか、川谷絵音といった多方面からの提供曲で新たな一面を見せる。「ワンダーライフ」でパワフルに駆け抜けたかと思えば、「トマドイリズム」では揺れるリズムに乗せ軽やかに歌い上げ、緻密なサウンドに鋭い高音が突き刺さる「スパークバグ」、純粋無垢な声色とユニークな音使いが"子供"っぽさを演出する「大人になった」、甘い歌声が浮遊感あるサウンドと溶け合う「ぎみぎみ」と、楽曲に合わせ歌声も変幻自在に表情を変えていく。ラストを飾る川谷絵音提供曲「常夜灯」では、自身の持ち味を最大限生かしつつ、節々にリスペクトを感じる歌い回しが見事だ。今後もさらなる化学反応に期待したい。(中尾 佳奈)

No One Sings Like You Anymore

SOUNDGARDEN

No One Sings Like You Anymore

2017年にこの世を去ったChris Cornell。彼が生前最後に制作したスタジオ・アルバムは、John LennonやGUNS N' ROSES、ELOなど影響を受けたアーティストの10曲を、プロデューサーとともに演奏し自ら曲順まで決定したというカバー集だ。ソフトで親しみやすいアレンジは、その哀愁漂うしゃがれた歌声を痛烈なほどに際立たせていて、今となっては彼からのメッセージのようにも受け取れるTrack.1から、心揺さぶる絶唱を聴かせるラスト・トラックまで、SOUNDGARDENの楽曲の一節から名付けられたタイトルのとおり、彼がまさに唯一無二のシンガーだったことを再確認させられる。少しでも彼の作品に触れたことがあるなら、ぜひ手にとってほしい1枚だ。(菅谷 透)

LIFE AS MUSIC

SOUR

LIFE AS MUSIC

ゼロ年代的ハイブリッド・ポップス・3ピース・バンドSOURの3年振り4枚目のオリジナル・アルバム。回転するCDをフェナキストスコープとして使ったMVと、そのCDをアート・ディスクとして限定販売した企画などを行った「Life is Music」、世界的ダンス・カンパニーDAZZLEとの公演用に書き下ろした「寝静まる街」など、垣根を越えた音楽活動にも注目が集まる彼ら。仏生まれ英育ち、独生まれ西育ち、銀座生まれ銀座育ちというメンバー個々の生い立ちの通り、今作も、国の隔たりを感じさせないピュアな極上ポップスが鳴り響く。歌声と楽器は勿論、生活音も立派な音色。あたたかく軽やかでありながら、「この夏の終わり」などで除く毒気も心地よい。その柔軟な姿勢に、凝り固まった思考が解きほぐされていくようだ。(沖 さやこ)

Pitfalls & Corridors

SOUTH CENTRAL

Pitfalls & Corridors

今年3月に2ndアルバムをリリースしたSOUTH CENTRALから早くも新作が到着! 今作は6曲+ボーナス・トラックのミニ・アルバムだ。彼らの持ち味である、エッジというにはあまりにも狂暴なビートと張り詰めた緊張感を放つ生楽器はその熱を更に高めている。特に注目したいのは1曲目に収録されている「Japan」。箏を彷彿させるシンセサイザーと、繊細で流麗な和旋律。それに彼らの作る鋭くロックなエレクトロニカが加わって……このサウンド・メイクが来日時に受けた影響かどうかは定かではないが、和旋律を取り入れるなど今までにないアプローチと、楽曲が叫ぶように聴き手へ訴えかける勢力、空間にそこはかとなく漂う哀愁に圧倒されてしまった。これは否が応でも3rdアルバムに期待してしまいますとも!(沖 さやこ)

Society Of The Spectacle

SOUTH CENTRAL

Society Of The Spectacle

“狂気”と“凶器”の音の万華鏡へようこそ!全身黒のスマートな衣装に身を包む、08年デビューのデジタル・ロック・ユニットSOUTH CENTRALから今春、待望のオリジナル・アルバムがリリースされる。PENDULUMのGareth McGrillen、米NY発のラウド・バンドA PLACE TO BURY STRANGERSのメンバーなど、多彩な人材がゲストとして参加した今作。扇情的で巧妙なアグレッシヴ・ビートと、張り詰めた空気感を内包する生楽器、エレクトロ特有の浮遊感、キャッチーなメロディ、全てが極上の状態でタッグを組んだ。心地良さに加わる縦横無尽の鋭さが四方八方から突き刺さる。激しい脈動を引き起こす熱い鼓動のようである。喜怒哀楽全ての感情を詰め込んだ、血の通った作品だ。(沖 さやこ)

Bist Du Dabei?

SPACE KELLY

Bist Du Dabei?

90年代に活躍したギター・ポップ・バンドの名前をいくつか出せば説明できてしまいそうな、何の変哲もない、しごくまっとうなギター・ポップ・サウンド。というのはイヤミでも何でもなくて、ヒネリのないサウンドだからこそなのか、ただひたすら気持ちいい。キラキラと輝くギター・ポップに乗せて展開される、心の中にスッと滑り込んでくるような素直でまっすぐなメロディが、夏のよく晴れた日の青い空を想起させる。よくありそうな音楽に思えるのだけど、最近ではあまり聴くことのなかった音楽ではないだろうか。日系ドイツ人、Ken Steenによるソロ・ユニット、SPACE KELLYの10年ぶりとなる3作目のフル・アルバムはそんな作品だ。ここには青く瑞々しい世界が広がっている。(小澤 剛)

VERY GIRL

SPANGLE

VERY GIRL

ヴォーカル失踪というバンド存続の危機を乗り越えて、ベースの菱田明裕がヴォーカルを兼任、3ピースで活動してゆくことを決めたSPANGLEの1st EP。すでにライヴで披露されている「Sentimental Very Girl」をはじめ全6曲の音源には、多様化する音楽シーンの流行り廃りなど眼中にないと宣言するような、熱くて泥臭いパンク/ロックだけがパッケージされている。"いつかこの曲を聞いてる/君の人生を変えるような/超良い曲をかくよ/もうちょっと待ってて"(「サンダーとフラッシュ」)というバカ正直なほど嘘のない歌詞には、だからこそこのバンドの描く夢に賭けてみたくなる。BLANKEY JET CITYらの名だたるロックの名盤を手掛けたエンジニア 南石聡巳を迎えたこだわりの音質にも注目。(秦 理絵)