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DISC REVIEW

S

All Born Screaming

ST. VINCENT

All Born Screaming

美しさとしなやかな強さを併せ持つ、女性シンガー・ソングライター ST. VINCENTことAnnie Clark。彼女の最新作は、これまでよりももっとダイレクトに自身の自然体な姿に肉薄する作品となった。セルフ・プロデュースで制作されたこともあってか、自由に湧き上がってくるサウンドをそのまま具現化したかのように、カラフルでダイナミックな表現に満ちている。さらに、Dave Grohl(FOO FIGHTERS/ex-NIRVANA)をはじめ、Cate Le BonやJustin Meldal-Johnsenなど、ジャンルを問わず才能豊かなアーティストたちがゲスト参加。激しいロックにもディスコ・ポップにもファンキーにもシアトリカルにもアンビエントにも、変幻自在にメタモルフォーゼするST. VINCENTのサウンドに花を添えている。(山本 真由)

Masseduction

ST. VINCENT

Masseduction

女性を全面に打ち出しながら、同時に強烈過ぎて笑ってしまうし、アートにすら見えるジャケットが示唆しているとおり、この5枚目のアルバムでアヴァンギャルドとポップの境界線を完全に溶かしてしまった。タイトル・チューンは、女の子の声による日本語の"政権の腐敗!"というリフレインから始まり、ストリングスも入ったいわゆるビッグ・ソングと内面的な印象のミニマルなパートを行き来するし、ピアノがSSW的なニュアンスの「New York」、その曲のモチーフの一部でもあるDavid Bowieの面影は、「Pills」でのロック然としたハードさとファンキーさを兼ね備え、今の彼女が示すポップ・スター像へ焦点を結ぶ。価値観が多様化する時代にあってもあらゆるリスナーに新しさを感じさせる稀有な作品。(石角 友香)

St.Vincent

ST. VINCENT

St.Vincent

ブルックリンを拠点に活動し、2012年にはTALKING HEADSのDavid Byrneとのコラボレーション作品もリリース。USインディー界隈で常に注目を浴び、高い評価を得ているST.VINCENTの4thアルバム。妖艶かつ透明感のある歌声は、甘さと刺々しさがうねるように入り混じり、決して聴き心地が良いだけではない。ポスト・ロック特有のヒリヒリした緊迫感と浮遊感、幾重にも重ねられたエレクトリックなトラック作りは相変わらず情報量が多く、1フレーズひとつをとってもここまでヒネるか!とうならされるのだが、アルバムを通して聴くと、アート性だけではなく、ストレートなロックンロール感があるという不思議な作品。WARPAINTの新作と一緒に手に取っていただきたい。(杉浦 薫)

Strange Mercy

ST. VINCENT

Strange Mercy

余談から始めますが、来年1月に決定した一夜限りの来日公演は何が何でも観に行ったほうがいいですよ!妖艶な歌声もさることながら、超絶的なギター・プレイに度胆を抜かれるはず!手帳を新しく買い換えたら、まずは"ST. VINCENT"とチェックしておきましょう。さて、現在海外メディアで絶賛の嵐となっている新作がついに到着!約2年振りの3rdアルバムである。過去2作によってすでにインディ・ファンから絶大な支持を受けているが、本作はよりメジャーなフィールドに舞い上がる出世作となるに違いない。これまでにないディストーション・ギターに彩られロック色を強めた世界観だが、独創的なメロディ・ラインが才能の裏打ち。それはDIRTY PROJECTORSのDave Longstrethに匹敵するものと確証された。スイーツな歌モノ集とナメたらやられちゃうよ!(伊藤 洋輔)

Finest Hour

SUBMOTION ORCHESTRA

Finest Hour

教会とダブステップ――この2つが結び付くなど誰が想像し得たであろうか。ゴスペルなどソウルフルなサウンドと宗教の結び付きはあったものの、ダブステップとなると話は別だ。しかし、SUBMOTION ORCHESTRAは、“教会での生演奏によるダブステップ”という異色な依頼を受けたことをきっかけに活動をスタートさせた。Nitin Sawhney、Little Dragonらのようにダークでチル・アウトな空気を展開しながらも、より濃厚でアンビエントな空間を作り出す。オーケストラほど飾り過ぎず、ジャズよりも肩の力が抜け、ダンス・ミュージックよりも落ち着いた、実に都会的な色気が満ちているのだ。トランペットを含む7人構成のもと、繊細でありながら、奥が深く厚みのある壮大な、サウンドスケープにまとめ上げられた1作。この幾重にも重なった美しさは、新たなステップへと聴き手を解放してくれるだろう。(山田 美央)

Money And Celebrity

THE SUBWAYS

Money And Celebrity

05年のシングル「Rock & Roll Queen」で華々しくロック・シーンに登場したTHE SUBWAYSの3年振り、3枚目に当たる作品。オープニング・ナンバーである「It's A Party」が象徴する様に1stアルバムを思わせるストレートでポップなサウンドが見事に復活している。更には08年リリースの2ndアルバムを彷彿とさせるラウドなギター・サウンドも健在。もちろんTHE SUBWAYSを語る上で外せない魅力の一つであるBillyとCharlotteのコーラス・ワークにも磨きがかけられている。そう!彼らの魅力をすべて詰め込んだ理想的な3rdアルバムとなっている。この素晴らしいアルバムが現在の寂しいUKロック・シーンの起爆剤になることを期待したい。 (遠藤 孝行)

THE ASHTRAY

Suchmos

THE ASHTRAY

NHKサッカー・テーマ曲「VOLT-AGE」の図太いファンク/ロックに90年代マンチェやあの時代のタフなハイブリッド感を想起し、Suchmosの戦い方の自由度に大いに勇気づけられた。さらに本作はTHE BEATLESから初期UKパンク、時にBob Marleyに至るレベル・ミュージックのメンタリティを軸に持つYONCE(Vo)と、ジャズ、ファンク、ロックのエレメントを高いスキルで各々アレンジして演奏できるメンバーの本領が全曲主役級の楽曲で証明された印象だ。普遍性と現代性を突き詰めたソングライティングが今作では特に際立つ。AORとレゲエ、新世代ジャズを取り合うような「FRUITS」、愛しさが溢れるラヴ・ソング「FUNNY GOLD」、孤独感に背筋が伸びる「ONE DAY IN AVENUE」など、リアル且つドラマチック。(石角 友香)

THE KIDS

Suchmos

THE KIDS

2015年7月リリースの『THE BAY』以来1年6ヶ月ぶりにリリースされるフル・アルバムには、その間にリリースされたEP盤収録曲の他、新曲もパッケージ。シティ・ポップ隆盛の流れから台頭したバンドのひとつではあるが、このバンドはもうその遥か先を見ている。そういうことがよく伝わってくる作品だ。特に、Track.1「A.G.I.T.」の冒頭は、渋いギターの旋律とともに悠々と伸びるヴォーカルを聴いただけで、アリーナ級の広いステージの上でスポットライトを浴びるYONCE(Vo)の姿が目に浮かぶほど。バンドとして小さく留まるつもりはないことを常々公言してきた彼らだが、より自由になったサウンドに、いよいよその意志が鮮やかに反映されてきたところだ。(蜂須賀 ちなみ)

MINT CONDITION

Suchmos

MINT CONDITION

湘南界隈のストリート文化を纏いながら、アシッド・ジャズ、ヒップホップ、シティ・ポップなどを折衷したサウンドで登場した彼ら。"FUJI ROCK FESTIVAL '16"のWHITE STAGE出演決定、リーバイス®とのコラボなど最近の動きはまるで"今ここが日本のロックの一番熱い場所だ"と宣言するような快進撃だ。その勢いは本作3rd EPでも強く感じる。「MINT」は、有機的な音作りでファンクに振られたグルーヴとYONCE(Vo)の色気に磨きがかかった声も相まって、初期からの重要曲「Life Easy」の空気感を引き継ぎつつビルドアップさせたメロウネスが光る。スタジアム級の会場も見据えた仕上がりだ。「DUMBO」では"アマチュアもプロも変わんないね"と自信を携えたキラー・フレーズも飛び出し、全体を通して一段ステージが上がったことを確信させる。(峯 大貴)

LOVE&VICE

Suchmos

LOVE&VICE

初のフル・アルバム『THE BAY』が話題を呼んだSuchmosが約半年ぶりにEPをリリース。タイトルの"LOVE&VICE"を曲名に冠したいわゆる表題曲がないことからも、EP1枚でひとつの流れとして聴いて欲しいというメッセージが読み取れるが、全4曲に共通するテーマは大きく言うと"愛"。とはいえ、彼らにかかればスウィートなラヴ・ソング集に収まることはなく、むしろそこに絡まる欲望と毒がメインだ。それこそ『THE BAY』を聴いたときから感じていたが、洗練されたサウンドの下に隠れた本性がやはり気になる。ポーカーフェイスのようでいて様々な感情が複雑に絡みついているような、計算高さと泥臭さとが危ういバランスで共存しているようなこの感じに、何だか引き寄せられてしまうのだ。(蜂須賀 ちなみ)

Antidepressants

SUEDE

Antidepressants

世界的にブリットポップのピュアな魅力が再評価されつつあるなかで、ブリットポップのオリジンとも言えるバンド SUEDEが記念すべき10作目となるアルバム『Antidepressants』をリリース。前作『Autofiction』(2022年)でも錆びない魅力を発揮し、ヒットを飛ばした彼等だが、今回はその前作のプリミティヴなアプローチから、さらに一歩踏み込んだような味わい深い作品となっている。SUEDE流の純粋なギター・ロックと進化した壮大で没入感のあるサウンドは、世相の暗さを反映しつつも、包容力のある温かな音楽で希望を与えてくれる。「Broken Music For Broken People(壊れた人々のための壊れた音楽)」なんて、今まさに人々が必要としているものだろう。(山本 真由)

Bloodsports

SUEDE

Bloodsports

90年代、UKブリット・ポップを彩った輝きは現在も色褪せず。Brett Anderson率いるSUEDE、実に11年振りの新作である。まさにSUEDE節としか形容できないゴージャス&アップリフティングに美しいギター・メロディ、ドラマティックなスケール、そしてアンセミックなヴォーカルに身を委ねると、あの狂乱の時代が甦ってくるようだ。それもそのはず、プロデューサーはバンドの初期3作を手掛けたEd Buller。このSUEDE節に大きく貢献した人物であり、新作は原点回帰の意味合いもあるという。まるで彼らの時間が止まっていたかのような瑞々しさを痛感するが、Brettの容姿も当時とあまり変わっていないことにも驚く。"UKロックLive Forever"な存在だ。(伊藤 洋輔)

Bagatelle

SUEMITSU & THE SUEMITH

Bagatelle

SUEMITSU & THE SUEMITH名義では、細美武士を迎えた「Appassionata feat. 細美武士」(本作にも収録)で活動再開して以降、約8年ぶりとなるフル・アルバム。とはいえ、やはり末光 篤の作品と言えば木村カエラの「Butterfly」のイメージが強いはず。この新作でもクラシックと90'sのJ-POPなどが彼らしいピアノ・ロックのマナーで交差するのが一番の醍醐味になっている。自身のヴォーカル曲の変わらぬ瑞々しさはもちろん、大橋トリオや橋本絵莉子(チャットモンチー)ら、ゲストが末光の作詞作曲で歌う曲も魅力的。シンガー・ソングライターとして直系の先輩にあたる大江千里が歌詞を書き、プログラムとアレンジをtofubeatsが手掛けたナンバーはまさに"今"。柏倉隆史とミトの参加もポップの更新にひと役買っている。(石角 友香)

The Age Of Adz

Sufjan Stevens

The Age Of Adz

アメリカ合衆国の全50州をテーマに50枚のアルバムを作るぞ宣言をしたりするユーモア精神、最高ですよね!そんな遊び心とともに、他の誰にも真似できない音世界を表現する才人の、“歌もの”アルバムとしては5年ぶりの新作。ギターのアルペジオと鍵盤がリフレインしたかと思えばノイジーに急転、打ち込みのビートの上でやわらかなメロディが響き、交響楽風のサウンドが勇ましくアンサンブル、etc……。この多種多様な音楽のスタイルをきっちりジャンル分け出来るという人がいたら、ぜひともお目にかかってみたいたい(笑)。その中でも、波間を漂う泡の粒のごとく響く、「Bad Communication」の浮遊感たっぷりな音色は個人的には特にたまらない!この夢見心地なムードにいつまでも酔っていたい……。(道明 利友)

Sunshine Kids

SUGAR CRISIS

Sunshine Kids

“男女ポップ・デュオ”というと、THE TING TINGSの姿が真っ先に浮かぶのだが「We Are Here To Save You」でデビューしたSUGAR CRISISは、よりポジティヴなサウンドが跳ねまわる。SKYE SWEETNAMらガールズ・パンクやHILARY DUFFのような甘いポップスを連想させつつ、エレクトロを基軸にした爽快なダンス・ミュージックに持ちこんだ。耳をくすぐるようなヴォーカルが心地よく、遊び心に溢れる。アニメなど現代的カルチャーの影響を受けているようで、電子音が随所に散りばめられた、非常にキャッチーで足取り軽くステップを踏むサウンドは、まさに“SUGAR CRISIS”。とびきりカラフルな情景を見せてくれるのだ。おまけに、MY CHEMICAL ROMANCEの「Welcome To The Black Parade」をキュートにカヴァーしてしまう奔放さはダンス・フロアが甘く爽やかになるはずだ。(山田 美央)

Greatest Hits

SUGAR RAY

Greatest Hits

00年代前半にロック・シーン最前線で活躍したSUGAR RAYの数々の楽曲の中から14曲を厳選。レイドバックしたサーフ・ロックというイメージが強い彼らだが、音楽性はハードコアからパワー・ポップ、そしてJoe Jacksonのカバーまで、ミクスチャー・バンドの呼び名に恥じない多彩さを誇る。そんな振り幅の広さをポップに打ち出したところが彼らの真骨頂。レア・トラックは収録されていないものの、彼らの代表曲を知るには便利な1枚だ。フロントマンのMark McGrath(Vo/Gt)がテレビの司会業も楽しみながらマイペースな活動を続けている彼らだが、10-FEETのTAKUMA(Vo/Gt)との共演を含む『Music For Cougars ~復活の常夏番長~』(2010年)以来となる新作をそろそろ聴きたい。(山口 智男)

ママゴト

Sugar's Campaign

ママゴト

両耳からスッと入り込んでは体内に違和感を注ぎ込み、チグハグ混じりの音楽をいつしかあなたにとってのスタンダードに変えてしまう。Sugar's Campaignはそういうポップ・ソングばかり生み出してきたユニットだが、1年半ぶりの新作でも魔力は健在。Track.1「ポテサラ」からして超確信犯なのだが、90年代サウンドを謳歌するTrack.2「ママゴト」にそのままなだれ込めばあとはなすがまま。全11曲、抗いようのないビートとメロの快楽に呑まれるだけだ。ゲスト・ヴォーカルを招くスタイルや時代も国籍もクロスさせるサウンドも相まって、"家族"がテーマの本作はまるでオムニバス・ドラマのよう。捕らわれたら最後、なかなか飽きさせてくれないのでご注意を。(蜂須賀 ちなみ)

Reverse

SUIREN

Reverse

TVアニメ"キングダム"第4シリーズOPテーマに「黎-ray-」を書き下ろし、脚光を浴びたSUIRENがメジャー1st EPを完成。モダン・ヘヴィ・ロックやマスロック的な構築美で聴かせつつ、このユニットの本質はSuiの歌とRenのピアノで成立するメロディと骨格の強さにあることを思い知る。ゲーム"STAR OCEAN THE SECOND STORY R"メイン・テーマでもある代表曲「stella」の高音ロング・トーンで際立つSuiのジェンダーレスなヴォーカルが虚無や宇宙を感じる空間をギター、ピアノ、ストリングスの洪水のようなアンサンブルの中でも鮮明に聴こえるカタルシス。インストの「白雨」からラストの「Squalling」に接続する物語性も聴き応え十分。ひとりで物事を真剣に考えるときの脳内を映すような言葉と音像も見事だ。(石角 友香)

夢中病 (feat. Lezel)

SUIREN

夢中病 (feat. Lezel)

歌い出しから"滅茶無茶苦茶に夢中して"という、LezelとSuiの歌声が響き渡る――それがまた、"めっちゃくちゃにチューして"と空耳で聴こえるものだから、さらにドキッとしてしまう。また、夢中というある種爽やかなワードと"病"というネガティヴなワードを掛け合わせ、夢遊病をもじって名付けた"夢中病"というタイトルも秀逸。そのあたりを鑑みるに、確信犯的なクレバーさも感じるけれど、楽曲そのものは人間臭いパッションに溢れている。サビは歌いながら踊れるぐらいキャッチーで、攻撃性を増すラップあり、じっくり聴かせるパートあり、多彩な振り幅を3分半に収める手腕も見事。お互いの可能性の扉を開いた、見事なコラボレーションだ。(高橋 美穂)

SuiseiNoboAz

SuiseiNoboAz

SuiseiNoboAz

ライヴ・シーンでは、その圧倒的なライヴ・パフォーマンスと楽曲の完成度の高さでその名を轟かせていたSuiseiNoboAzが遂にアルバムをリリース。しかも、プロデューサーは向井秀徳である。オルタナティヴ・ロックにサイケデリックなファンクネスを注入したようなサウンドは、轟音とともに腰を直撃してくる。散文詩的な歌詞の文学性、楽曲の質、プレイヤビリティ、あらゆる要素がアルバム・デビューとなる新人のレベルではない。向井秀徳らしさもしっかり感じられるのだが、それも向井色に染め上げられたというよりも、互いの音楽性が当たり前のようにシンクロした結果の産物。向井は年末のライヴのMCでひたすらSuiseiNoboAzについて話していたらしいが、それも納得の完成度を誇る作品だ。(佐々木 健治)

Sentimental Young Ones

SULLIVAN's FUN CLUB

Sentimental Young Ones

昨年は10代にして"サマソニ"出演("出れんの!?サマソニ!?"枠)、"未確認フェスティバル"グランプリ獲得、STARCRAWLERの来日公演ゲストへの抜擢と、注目を集める札幌のSULLIVAN's FUN CLUB。今作が初の全国流通盤だが、過去曲ではなく、"今の自分たちの音楽を聴いてほしい"という想いから、最新曲だけで構成したというのが清々しい。現メンバーになって初の曲であり、初期衝動が爆発した「PINK YELLOW BLUEZ」など直球ナンバーに心を震わせていると、「RE CORD NOISE」のメロウで繊細な響きにドキッとさせられたり、8分超えの「MI RA I」ではシューゲイザー的な音像×切ない詩世界に胸が締めつけられたりと、一聴で心を掴んで離さない。(稲垣 遥)

SOUND VILLAGE

sumika

SOUND VILLAGE

sumikaが初の作曲合宿を経て完成させたシングル。彼らが今やりたいことを詰め込んだという今作だが、その音を聴いてみると今回の合宿がどれだけ充実したものだったのか窺える。TeddyLoidが編曲を手掛けた「Babel」は、なんとメンバーは楽器を演奏していないそうで、ダークなMVにも度肝を抜かれる、新機軸と言える楽曲だ。また、音の質感やアレンジで曲が持つ物語を精妙に描いたバラード「アンコール」、まっすぐな想いに鼓舞される「一閃」、"結婚する友人"をテーマに小川貴之(Key/Cho)が作曲した「Marry Dance」と、より自由且つ新しい発想で、今一度4人で突き詰めて作り上げた多彩な楽曲を収録。彼らの音楽に対する情熱とチームのいい空気感もパッケージされた1枚である。(三木 あゆみ)

Shake & Shake / ナイトウォーカー

sumika

Shake & Shake / ナイトウォーカー

リズミカルな言葉遊びを乗せて、ピアノやストリングスが賑やかなアンサンブルを奏でる「Shake & Shake」は、アニメ"美少年探偵団"主題歌。バンドの過去作で言うならば、「Lovers」や「Familia」あたりを彷彿とさせる、一瞬にして周囲を明るく染めるsumikaの真骨頂とも言える楽曲だ。ミュージック・ビデオには"シェケラララ"の響きに合わせて鮭を登場させる遊び心も光りつつ、"超常的縁"で結ばれた4人が作り上げる"超弩級のパレード"=ライヴへと誘う歌詞は、この時期だからこそ熱い。両A面のもう1曲には、小川貴之(Key/Cho)が作曲を手掛けた大人のスイートな恋物語「ナイトウォーカー」を収録。初回生産限定盤に付くライヴ音源も含めて、バンドの多面的な魅力が浮き彫りになる1枚。(秦 理絵)

AMUSIC

sumika

AMUSIC

約2年ぶり、3枚目のフル・アルバムは超充実の1枚に。"森永製菓 受験に inゼリー2021 CMソング"の「祝祭」、ドラマ"おっさんずラブ-in the sky-"主題歌「願い」など、すでにお馴染みのタイアップ曲から、以前よりsumikaを聴いていた人たちがイントロを聴くなり思わず"えぇっ!?"と驚くであろう、これまでの彼らにはなかった新たな側面を見せる楽曲、さらには胸がじんと温かくなる彼らの醍醐味とも言えるようなナンバーまで全16曲。遊び心も、信念も、音楽を愛する変わらない純粋な想いも――今のsumikaをダイレクトに感じることができる作品となった。一曲一曲が際立っているのはもちろんだが、1枚通して聴くと、そのドラマチックな展開と作品のスケールの大きさに心を震わせられるはず。(三木 あゆみ)

本音 / Late Show

sumika

本音 / Late Show

「本音」は、"第99回全国高校サッカー選手権大会"の応援歌として書き下ろされた曲。"走れ"の繰り返しはたしかにスポーツを彷彿とさせるが、1段ずつ下るそのメロディは落ち着いているほか、Aメロも逡巡しているよう。孤独やプレッシャーに寄り添うバラードとなった。人と人が繫がるためには面倒でも曝し合うことが大事、そうして生まれた関係性は一生の宝になる、とは大人から見た部活の美点で、その哲学はこれまでもsumikaが歌ってきたもの。対して「Late Show」は、後悔し、ひとりジタバタする様を歌った曲。主に3字の動詞で人生を描ききる1番Aメロ、"応急かし"と二字熟語を動詞化して造語を生み出す手法、滲み出る皮肉など、作詞家としての片岡健太(Vo/Gt)の面白さが満載だ。(蜂須賀 ちなみ)

Harmonize e.p

sumika

Harmonize e.p

数々のタイアップを手掛けるsumikaが、次にハートを射止めたのは子供たち。ただ今テレビで続々とオンエアされている"進研ゼミ2020"CMソングとなった「センス・オブ・ワンダー」を手掛けたのだ。[1000行分もノートに書き込んだ/"やりたい"の先で"なりたい"自分]という、子供の日常的な言葉を文学に昇華した歌詞が、すぐに暗記できそうな軽快なメロディに乗る。彼ら自身も子供の頃の気持ちを忘れていないからこそ書けた楽曲なのだと思う。それでいて、この楽曲が収録されている4曲入りEPである今作には、レゲエ・テイストの「ライラ」や、大人の恋の匂いがする「No.5」など、今の等身大の彼ら自身の姿も惜しみなく投影。大人になっても成長を止めないことを体現している。(高橋 美穂)

Chime

sumika

Chime

2018年に初の日本武道館公演を成功させ、映画やアニメのタイアップが話題を呼ぶなど、勢いの止まらない彼らの2ndフル・アルバム。タイアップ曲を多数含む今作には、幅広い層のリスナーから支持を集めるポップ・サウンドや、正統派ロックが詰め込まれているのも魅力だが、その他のバラエティ豊かな新曲たちにも終始驚かされる。優しい歌声の中に大人の色気をちらつかせるTrack.4や、間奏をたっぷり設けたジャジーなTrack.6、ディズニー音楽にありそうな軽快なインストのTrack.9など、これまでにない新たな側面を見せている。また、ゲストVoとして吉澤嘉代子を迎えたTrack.12では、前半/後半で同じメロディをまったく違うアレンジで聴かせ、男女対照の心情を表現。彼らの音楽性溢れる快作だ。(三木 あゆみ)

ファンファーレ / 春夏秋冬

sumika

ファンファーレ / 春夏秋冬

sumikaが、劇場アニメ"君の膵臓をたべたい"のOPテーマ、主題歌を収録した両A面シングルをリリースした。映画の楽曲を手掛けるのは彼らにとって初のことで、制作は映画の監督 牛嶋新一郎とイメージを共有しながら進めたという。OPテーマである「ファンファーレ」は、疾走感溢れる爽快なロック・チューン。自分自身を奮い立たせるような前向きなメッセージを歌詞に込め、片岡健太(Vo/Gt)が力強く歌い上げる。主題歌の「春夏秋冬」は、季節を巡りながら大切な人を想う切ないバラード。両曲ともに映画の世界をより鮮やかにする真心のこもった楽曲だ。常に"縁"を大切にしてきたsumikaは、作品に携われた喜びをSNSなどで何度も語っていた。本作は、そんな彼らだからこそ生み出すことができた傑作と言えるだろう。(三木 あゆみ)

Vital Apartment.

sumika

Vital Apartment.

新メンバー加入後初のリリース。生命の集合体という意の『Vital Apartment.』と名づけられたミニ・アルバムで描かれるのは、日常の中に転がる冒険心。音楽家以外にも様々なクリエイターと創作活動を行い、人と人との繋がりを大切にする彼らだからこそ、オモチャ箱をひっくり返したような楽しさと、他愛もない日常に寄り添うあたたかさとを共存させることができるのだろう。そして1度聴いたら覚えられそうな歌メロと、ギター・ロック王道ど真ん中のサウンドも格段にブラッシュアップ。"キャッチーな音楽"の行き着く先が"ありきたり"で終わるか、J-ROCKの棚に閉じ込めておけないほどの可能性を光らせるか、の2択ならば、この作品は紛れもなく後者だと断言したい。(蜂須賀 ちなみ)

I co Y

sumika

I co Y

2013年結成の3ピース、sumikaの初の全国流通となるミニ・アルバム。タイトルの読みは"イコイ"。ライヴでは、音楽家だけでなくさまざまな芸術家やクリエイターとコラボレートするという。そんなふうに仲間が自由に集い、刺激的な空間や物事を生みだし、さらに新たな仲間が加わって......と、このバンドを基地に広がる楽しいことを音に封じ込めた作品だ。アップ・テンポの弾むビートに、グッド・メロディと陽性コーラスのハーモニーに心躍る「ソーダ」にはじまり、キャッチーな歌と掛け声にハンド・クラップしてしまうダンス・チューン「ふっかつのじゅもん」。また、アーバンなR&B的な要素も感じる曲から、牧歌的なサウンドで歌をじっくりと伝える曲まで。誰かと過ごしたり、誰かに会いたくなったりする、温かさを呼ぶ曲が揃った。(吉羽 さおり)

10th Anniversary Best Album「りんご盤」

SUMMER SOLSTICE

10th Anniversary Best Album「りんご盤」

10周年を彩るベスト・アルバムにして、SUMMER SOLSTICEにとって初の全国流通作品。透明感のある伸びやかな歌、第2のヴォーカルのように歌いまくるギター、バンドの感情を支えながらも焚きつけていくリズム隊。その演奏は、平熱ながらも誰にも消せない炎を内側で燃やすかのような、絶妙な温度感で聴き手の胸に迫る。そしてそれが、内に秘めた信念を大切にしながら歩み続けてきた4人自体にどこか似ていたりするから面白い。ラストを飾るのは1stシングルにも収録されていた「apple of the eye」。当時バンドの始まりを照らした"まだ見えぬ世界へ連れて行くよ"というフレーズは、今、11年目以降の未来を同じように照らしているはずだ。(蜂須賀 ちなみ)

私を動かしてるもの

SUNDAYS

私を動かしてるもの

前作『僕らを動かしてるものは何?』を制作した時点ですでに2枚リリースを考えていたという本作は、英語詞2曲を含んだパンキッシュで疾走感溢れる縦ノリ作品となっていた前作とは一転、メロディもサウンドも1曲ごとに輪郭のハッキリした、よりキャッチーな作品となっている。Track.1「ずるいよ!」、Track.5「GIRL'S SECRET」などで聴けるコーラス・ワークの多用もそうした印象に繋がっており、すべての曲が言葉も演奏もしっかりと耳に残る。Track.4「抱きしめれば宇宙」のダンサブルな演奏のループ感と憂いある旋律、冬実(Vo)が描く"宇宙"のマッチングが面白い。前作も併せて聴くことで今作との違いが明確にわかって楽しめると共に、現在のバンドの充実ぶりを知ることができるはず。(岡本 貴之)

普通の人間

SUNDAYS

普通の人間

2013年1月にTOWER RECORDS限定のミニ・アルバム『終わらない旅』でデビューを果たしたSUNDAYSがとうとうメジャーにフィールドを移す。"普通の人間"という言葉は一見シニカルかもしれないが、彼らは自信を持って時代に左右されない自分たちのスタンダードを貫く。だがそれは容易なことではない。そのために悲しい想いをすることも少なくないだろう。それでも彼らはハートを殺すことなく、ひとつひとつの音に血を通わせるように音を鳴らす。ひたすらに人間くさい熱いロックンロールをぶっ放すその姿を"普通"と言う、その心意気に感服だ。精力的なライヴ活動で、更に各楽器のアプローチも情感たっぷりに広がり、紅一点ヴォーカルふーちゃんの歌声も聴き手を包み込むような優しさに溢れる。(沖 さやこ)

Human Ceremony

SUNFLOWER BEAN

Human Ceremony

特異な音楽的美意識を持つ街ブルックリンから、新星3ピースによる1stアルバム。フロントに立つJulia Cumming(Vo/Ba)はファッション・ブランド"Saint Laurent"などでモデルも務め、トムボーイな容姿でファッション・アイコンとしても注目されている。ニューヨーク・パンクを基調としたソリッドでシンプルなビートだが、サイケなギター・フレーズと、Juliaのベース・ヴォーカルならではの手グセ感のあるメロディアスなベース・ライン、THE CARDIGANSのNina Perssonを思わせるアンニュイな声の奇妙なバランスによってポップたらしめている。昨年ブレイクしたロンドンのWOLF ALICEと双璧を成して、COCTEAU TWINSやTHE BREEDERS、ELASTICAといったフィメイル・オルタナ・ロックの系譜を引き継いでいる。(峯 大貴)

Light The Fire

Sunrise In My Attache Case

Light The Fire

初期の活動の集大成となった前作アルバム『Sunrise to Sunset』を経て、まっさらな気持ちで制作に向かったミニ・アルバム。4月に先行配信されたシングル「Tell Me Why」は、そのイントロから新鮮で、骨太なギター・フレーズで爽快に道を切り拓き、馬力のあるバンド感で進んでいく曲となった。この曲をはじめ、ライヴでシンガロングし、高揚感のあるメロディで聴き手の背中を押す曲を中心に収録。つい鼻歌でなぞってしまうメロディで、リズムをとってしまう心地よいビートやエアリーなバンド・アンサンブルでと、彼らならではの肩肘張らない空気を生かした伝え方をしており、最高にフレンドリーだ。海で、日常で、スタジアムで、また夜のクラブでも、それぞれに響くロック・ミュージックとなっている。(吉羽 さおり)

Sunrise to Sunset

Sunrise In My Attache Case

Sunrise to Sunset

Red Bull主催のバンド・コンテスト"Red Bull Live on the Road 2016"で優勝したのち、1stシングル『The Wall』をリリースし、サーフ・ロックやルーツ・ロックを飲み込んだ、スケールの大きな瑞々しいサウンドを奏でた4人。今作は、高揚感やアンセム感のあるメロディにさらに磨きがかかっている。このグルーヴに乗ってふと出かけたくなる曲、あるいは自分たちが聴きたい曲といったことが大事にされているのだろう。気張らずに、でもどんなときも寄り添い、想像的な場所へと逃避行させてくれるような曲が並ぶ。爽やかにかき鳴らされるアコースティック・ギターを基調にしつつも、シンガロングやグッとくるハーモニーが効いているのは、メロディックやメタル・バンドの経験もあるメンバーゆえか。(吉羽 さおり)

The Wall

Sunrise In My Attache Case

The Wall

"翼を授ける"のキャッチコピーでお馴染みのエナジー・ドリンク、Red Bullが主催するバンド・コンテスト"Red Bull Live on the Road 2016"でグランプリに輝いた4人組によるニュー・シングルは、アコースティック・サウンドの質感を大事にしながら、それぞれに異なる魅力を持った3曲を収録。全員でシンガロングするコーラスとダンダンダンという力強いリズムがMUMFORD & SONS以降のネオ・フォークを思わせるTrack.1「Higher」、アーバンなセンスも感じさせるTrack.2「Flight」、ピアノの音色をフィーチャーしたバラードのTrack.3「The Wall」という3曲からは、サーフ・ロックを掲げながら、彼らがそのひと言には収まりきらないポップ・ソングの作り手であることが窺える。他の曲も聴いてみたい。(山口 智男)

Nobody's Coming To Save You

THE SUNSHINE UNDERGROUND

Nobody's Coming To Save You

デビュー当時はニュー・レイヴ・バンドの1つとして紹介されていたTHE SUNSHINE UNDERGROUND。実際はそのシーンに括られている他のバンドたちと比較するとより生々しいグルーヴを全面に押し出すバンドであった。そして今回のニュー・アルバム『Nobody' s Coming To Save You』では1stに収録されているヒット・ナンバー「Put In Your Place」でキラリと光っていたダンサブルなグルーヴはそのままにさらにへヴィでダークになった印象だ。本人達が語る様に政治的な歌詞を盛り込んだせいかも知れない。たった4週間という短い制作スパンで作られた今作は、その勢いをそのままパッケージに詰めこんだかのような新鮮さを感じさせる。(遠藤 孝行)

P wave

SuperBack

P wave

関西を中心に活動する2人組ディスコ・パンク・バンド SuperBackの初のフル・アルバム。セルフタイトルの1曲目はまるで挨拶代わり。ソリッドなギター・リフとシンセ・ベースを軸に構成されたサウンドに、表題曲「P wave」へと繋がるまでの僅か50秒ほどで虜にさせられる。70年代のニュー・ウェーヴを彷彿とさせるエレクトロ・ポップからアップビートな四つ打ちを土台にしたパンキッシュな楽曲まで、非常に中毒性の高いダンサブルな全11曲が収録された本作。中でも奇妙な詞世界をラップに散りばめた「JADA」は、独特な世界観が広がるMVも公開され、唯一無二の存在感を強く放つ1曲となっている。踊ることの楽しさが目一杯に詰め込まれた『P wave』が漂流する先には、ディスコ・リヴァイヴァルに熱狂するフロアが鮮明に思い浮かぶ。(山本 剛久之)

Acoustic Album 1

SUPER BEAVER

Acoustic Album 1

結成20周年の節目に届ける、名曲揃いの初アコースティック・アルバム。真正面からぶつけるストレートなメッセージと圧倒的な熱量のロック・サウンドで魂を震わせてきた彼等だが、今作では説得力のある言葉たちとそこに宿る優しさが際立つ。繊細な響きと凝ったアレンジはまるで、熱を込めながら丁寧に形作られた透き通るガラス細工のようだ。アコギやピアノのみのシンプルな構成から、心を満たすストリングスたっぷりの贅沢な広がり、そして"アコースティック"の枠にとらわれない自由さ。彼等が伝え続けてきたまっすぐ生きることの美学が高純度で突き刺さる「人として」で始まり、この殺伐とした世を愛で満たすように「アイラヴユー」が響くラストまで、心揺さぶられっぱなしだ。(中尾 佳奈)

片想い / 涙の正体

SUPER BEAVER

片想い / 涙の正体

"お菓子の魔法"が心の痛みを癒していくドラマ"バニラな毎日"を彩るタイアップ・シングルが到着した。劇中歌「片想い」は、ドラマに登場する活動休止中のバンドマンの想いが重なるバラード。お菓子然り音楽然り、人によっては不必要でも誰かの日々に幸せなひとときをもたらす小さな希望の尊さ、その希望を届けるミュージシャンとしての信念が窺える。主題歌「涙の正体」は、"涙"というテーマにポジティヴなバンド・サウンドを重ね、プラスの方向に心を突き動かしてくれる名曲。堪えてもこみ上げてくる涙には、気付かないふりをした痛みや、抑えきれず高鳴る感情といった、紛れもない自分の本心が詰まっている。そんな"涙の正体"すなわち自分自身を愛していこうというメッセージが心を解きほぐす。(中尾 佳奈)

ひたむき

SUPER BEAVER

ひたむき

自身最大規模のアリーナ公演も含むツアーを開催中のSUPER BEAVER。来年も全国を巡るホール・ツアーが決定しているなど、今年2022年2月に8thアルバム『東京』をリリースして以降ライヴ活動に力を注いでいる彼らが、待望の新曲を発表した。今回の表題曲「ひたむき」は、TVアニメ"僕のヒーローアカデミア"第6期オープニング・テーマにもなっており、物語ともリンクするような文字通り"ひたむき"な熱い歌詞が胸を打つロック・ナンバー。高揚感のあるメロディと曲展開がドラマチックな楽曲に仕上がっている。また、カップリングの「秘密 -Acoustic ver.-」は、原曲の繊細な部分が大切に切り出されたようなアコースティックver。収録2曲のバランスもいいシングルだ。(山本 真由)

突破口 / 自慢になりたい

SUPER BEAVER

突破口 / 自慢になりたい

表題曲のひとつ「突破口」はTVアニメ"ハイキュー!! TO THE TOP"のOPテーマ。もうそれだけでアツいロックであることは間違いないのだが、そんな想像を軽々と超えるほどの熱量をもって迫ってくる音と歌に、思わず身体が動き出す。歌詞にある"正面突破"を物語るかのようなどストレートなサウンドと、大サビのシンガロングが唸ってしまうほど気持ちいい。一転、同じシンガロングでも、「自慢になりたい」のそれから感じられるのは真心を束ねた花束のような優しさだ。"僕は あなたの 自慢になりたい"というとんでもない殺し文句を、これほどまでに説得力のある響きで表現できるのは、まさに渋谷龍太の歌声の賜物。いずれにしてもSUPER BEAVERにしか成しえない温度を孕んだ両A面シングルだ。(五十嵐 文章)

ハイライト / ひとりで生きていたならば

SUPER BEAVER

ハイライト / ひとりで生きていたならば

結成15周年にしてメジャー再契約という大きな節目を迎えたSUPER BEAVERの最新シングルは、その活動の中で培われた、バンド自身の生命力の結晶のような輝きに満ちている。中でも「ハイライト」の、哀しみや苦しみを抱えてもなお湧き上がる生への渇望を描いた柳沢亮太(Gt)による歌詞は、生命の尊さを改めて意識せざるを得なくなってしまった今、奇跡的なほど胸に響く。素朴なギターとストリングスが渋谷龍太の歌声を朗々と浮き立たせる、映画"水上のフライト"主題歌となった「ひとりで生きていたならば」、そして旧メジャー時の楽曲のセルフ・カバーとなる「まわる、まわる」と併せて、彼らが奏で続けたひたむきな生への想いを存分に感じられる、最上級の生命讃歌だ。(五十嵐 文章)

愛する

SUPER BEAVER

愛する

あなたと僕はひとつになれないひとり同士なのだという、どうしようもない事実。当たり前を大切にできずに何度も後悔を繰り返す、人間のサガ。そういう情けない部分も救いようのない部分もひっくるめて"あなたと僕"、そして"今"を抱きしめるという意志。メッセージ・ソングを唄い続け、ヘッドホンの向こう側のかけがえのないひとりに音楽を手渡し続けてきたSUPER BEAVERが、ひとつの答えを手繰り寄せたのだということがよくわかるアルバムだ。よりシンプルになった歌詞はまっすぐ深く核心をつき、歌はますます強く、バンドのダイナミズムやアレンジもより確信的になった。紆余曲折を経て結成10周年、積み重ねた年月で得た確固たる説得力に胸が熱くなる。間違いなく過去最高傑作。おめでとう!(蜂須賀 ちなみ)

らしさ / わたくしごと

SUPER BEAVER

らしさ / わたくしごと

YouTubeにアップされているトレーラーを見て、4人とも表情が柔らかくなったなあと感じた。前作『361°』とそれに伴うツアーを経て"1周回って、始まりに戻ってきた"SUPER BEAVERによる両A面シングル。Track.1「らしさ」の冒頭、"自分らしさってなんだ"という渋谷龍太(Vo)の真っ直ぐな歌とその直後のブレイク。聴き手をグッと引き込むオープニングに、これは紛れもなくイヤフォンの向こう側の"あなた"への歌だと気づかされる。だから"僕"の葛藤を描いた「らしさ」も、鋭いサウンドとともに現代人・社会を皮肉る「わたくしごと」も、"あなた"への赦しの言葉となり、温かな応援歌となりえる。それが飾らない状態でできる優しくて真摯なバンドなのだ、彼らは。(蜂須賀 ちなみ)

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

BUMP OF CHICKENやTacicaを彷彿とさせる空気を含んだようなヴォーカルと、テンポよく馴染みやすいメロディ。そして、"僕"と"キミ"によって構成される日常の物語。青春群像とでも呼べるよな、焦燥感や繋がりを求めてるもどかしさを感じることが出来る。5分あまりの物語の中で、彼ら自身、悲しみや不安に声をあがながら、その悲しいという感情を原動力に進でいく。だからこそ、優しさやぬくもり、そして未来の自分たちの姿を見据えようともがく姿は、私たちに突き刺さるのだ。そして、暖かなぬくもりを見失い、身動きが取れず蹲ってしまった私たちに、手を差し伸べ背中を押してくれる。未来の自分自身に姿を捉えることができた今、SUPERBEAVER の進む道、そして歩んできた道は、確かな足取りに満ちている。(山田 美央)