DISC REVIEW
S
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SISTERJET
X X X
まさに完全復活と言っていいだろう。2012年のメンバー脱退後しばらくは2人体制で活動していたが、去年12月に新メンバー、オオナリヤスシが加入。再び3ピースに戻っての2年ぶり通算4作目となるフル・アルバム。アルバム全編通して、過去最高にプリミティヴな3ピースのバンド感を前面に打ち出したロックンロールが並んでいる。この屈強なサウンドを聴けばSISTERJETというバンドが持つ"ロックンロール"という1本の芯の太さを痛感させられる。だが、同時に、その奥にある色鮮やかさ――メロディの美しさ、リズムの多彩さ、そして歌詞における雄弁さ――も際立って聴こえてくる。ロック・バンドがユース・カルチャーにおける力を失ったと言われて久しいが、本物のロックンロールは時代を問わず凛然と輝く。そう強く感じさせる傑作だ。(天野 史彬)
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SISTERJET
3-1=2 / No Limit e.p.
去年、ベースのSKB脱退という報に衝撃が走ったSISTER JETの、2人体制になって初のEP。『3-1=2 / No Limit』という、あまりに直接的に宣誓を告げるタイトルは、リスナーにも、そして自分たちに対しても、その強気な姿勢を言い聞かせる意味合いを込めてだろう。楽曲に関しても、よりプリミティヴに、衝動的になっている。特にリード・トラックの「リバティーシティ マシンガン」が凄い。聴いてるこちらにも電流が走りそうなほどに激しく掻きむしられるギターと、暴力的なまでに力強く打ちつけられるドラムが生み出すカタルシスがたまらない、強烈なブルーズ・ロックンロール。これはもう、Jack Whiteも真っ青でしょう。もちろん、ジェット特有の甘く切ないメロディも健在。この上ないリスタートを飾るEPである。(天野 史彬)
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SISTERJET
YOUNG BLUE
若い。青い。タイトルに用いたこの2つの言葉そのままの音が聴こえてくる。若者らしい勢いがある。あるいは、若者にしかできない音楽。そう言っていいだろう。2度とやってこない、今しかないこの瞬間を切り取ってみせる。そんな感じだろうか。ギターとベース、ドラムが絡み合いながら坂道を転がっていくような、疾走感のある演奏を展開する。この演奏から弾き出されるのは、ブリティッシュ・ビートを下敷きにした、どこまでも瑞々しいギター・ロック/ポップ。SISTER JETの3作目のアルバムだ。4月と5月の2ヶ月連続でリリースされた、『17(SEVENTEEN)』と『しろくま』という2枚のシングルを経てのリリースとなる。このアルバムにはその2枚のシングルの答えがあるという。(小澤 剛)
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SISTERJET
ロックンロール発電所
SISTER JETが何かを巻き起こそうとするとこうなります。SISTER JETがパワーをビートに換算するとこうなります。感電するほどエネルギッシュであり、勇ましいほど骨太。まさに理屈じゃないエネルギーが、メーターを振り切るほどのハイ・ヴォルテージで放出されている。地震と同時に始まった"LONELY PLANET BOY TOUR"を終え、またワタルS自身も計画停電等を経験した中で、彼らが発進するメッセージは、"ロックンロールで発電せよ!"という、実に彼ららしいシンプルでポジティヴな言葉。ビートを刻み続ける向こう側には何かがある、どんな時も"YES"と言い続ければきっと届くと信じている彼らならでは。パワーをポップに、パワーをビートに詰め込んで、とことんポジティヴにぶちかます!(島根 希実)
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SISTERJET
LONELY PLANET BOY
思うんだ。何度何回だって僕らの心を更新する彼らのビート、何度何回だって僕らの心を震わせキュンとさせる彼らのビートはますます力強くなっていると。どしどしと胸を突き、心のドアをノックせんと、こじあけようと、強く訴えかけてくる。スピーディでスウィートなメロディは、目にもとまらぬ速さで、あっとう間に涙線をぐしゃぐしゃに踏みつけていく。最初から最後まで、決して"寂しさ"を置いてきぼりしない、底抜けに明るいポップ・ソングは、もはや彼らだけの武器だ。センチメンタルとハッピーと愛嬌を振りまくキュートな3人組は、どこまでも甘い、ぶれないポップ・センスを武器に、本作でもって、遂にその強い求心力を証明してみせた。もう、全てのロンリーたちはSISTER JETにハグされろ!全てがシングル曲と言っても過言ではない、キャッチーな愛すべきナンバーが勢ぞろいした、最強のボーイズ・ロックンロール・アルバムが完成した。(島根 希実)
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SISTERJET
キャラメルフレーバー
スマッシュヒットとなった前作『Mr. Lonely』に続いて待望のニュー・シングル『キャラメルフレーバー』はメランコリックで甘酸っぱいムードが漂うサウンドで聴き手の胸を締めつける。以前からずっとライヴで温めてきた曲だそうだ。それにしても、やっぱり男の子の方がロマンチストだよねって思ってしまうほど絶妙にエモーショナル。そしてカップリングには、CHEAP TRICKのヒット曲「Surrender」の日本語カバーとライヴ音源「All You Need Is Live Pt.3」が収録されているが、まずはライヴ音源に注目して聴いて欲しい。甘くて切ないだけでは収まらない、油断して近づいたらガブリと噛みつかれたような気分にさせられた。(成田 早那)
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SISTERJET
JET BOY JET GIRL
2006年の「FUJI ROCK FESTIVAL」の「ROOKIE A GO-GO」に出演を果たし、ダンサブルなサウンドと抜群のメロディ・センスでニュー・ビート・バンドとして注目を集めてきた彼ら。1stアルバムから間もない今回のEPでも彼らのハチャメチャでキュートな魅力が詰まってます。オルガンの音をフィーチャーした「恋してクレイジー」からBAY CIYT ROLLERS のカヴァー「Saturday Night」まで。走り出したら止まらない暴走気味なドラム、そしてグルーヴィーなリフと、最後まで一気に駆け抜ける。THE WHOを目標にスタートした彼らは日本語の歌詞を乗せ、舌足らずで荒削りながら今しか出来ない事をスタートさせている。(遠藤 孝行)
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SISTERJET with DOTS+BORDERS
「NEW QUAD」2×2=4 / very well L.P.
10代の頃からロックと呼ばれる音楽を聴き始めたが、20代半ばを過ぎた今、あの頃と同じ感じでロックを聴いている自分に驚いている。人って大人にはなれないものだなぁ、なんて。でも、それも別に悪くないかと思ったのは、2人体制になったSISTERJETと、堀江博久とカジヒデキによる伝説のユニット、DOTS+BORDERSによるコラボ・アルバムを聴いたからで。跳ねるビート、乾いたギター、レトロな質感のキーボード、胸にピリッとくる歌。JETS印の疾走感のあるロックンロールに、堀江とカジの絶妙なポップネスが注入されたこの8曲には、演奏は屈強であるにも関わらず、全体に瑞々しくて軽やかなフィーリングが漂っている。この2組が世代を超えても繋がれるのは、どちらもきっと、まだロックの虜の子供のままだからだ。(天野 史彬)
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SIX60
Six60
母国ニュージーランドでのシングル・セールスがこれまでに100万枚を超え、全世界での総ストリーミング数は2億を突破している、まさに同国を代表するロック・バンドによる3rdアルバム。R&Bやポップ、エレクトロ、レゲエなど多彩なジャンルを飲み込んだバンド・アンサンブルに乗せ、フロントマン Matiu Waltersが親しみやすいグッド・メロディをソウルフルに歌い上げる楽曲は、即効性抜群の普遍的な心地よさで、年代や国境を超えた幅広い層に支持されるのも納得。現行音楽シーンのトレンドをキャッチアップしつつ、マオリの民族楽器をモダナイズして用いた、洗練されたアレンジも印象的。アルバム全体でチルな雰囲気を湛えつつも、世界に自らのルーツを知らしめるような野心的な1枚だ。(菅谷 透)
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SIX LOUNGE
more than love
初の日比谷野音ワンマン・ライヴを控えるSIX LOUNGEがニューEPをリリース。タイトルに"more than love"とある通り、本作には愛情を超えた、より深くて強い、特別な感情や絆を表現した楽曲たちが揃った。リード曲「You&I」では、"君がいつか、大人になって疲れてしまったら、/思い出してくれよどうかこの歌を"と忙しない日々を過ごすなかで、純粋な気持ちを取り戻させてくれる優しい言葉が心に寄り添い、「グロいラブソング」は、轟き渡る攻撃的なベース・ソロからの骨太なサウンドが男臭さを感じさせながらも、端的に紡がれる歌詞はどこか切ない。そんなストレートなリリックでロックンロールをかき鳴らすSIX LOUNGEなりの"ラヴ・ソング"をぜひ受け取ってほしい。(中島 希実)
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SIX LOUNGE
3
昨年、多くのライヴ・バンドと同様に苦難の中に置かれたであろうSIX LOUNGEが、これまでライヴの場でぶつけてきた途方もない熱量を、ぎゅっと結晶化させたようなアルバムだ。ロックンロールの様々な系譜を彼ららしく再構築した楽曲たちは、男臭い色気を狂おしく放つときもあれば、びっくりするほどロマンチシズムをもって響くときもあるし、不思議な愛嬌を感じるときもある。そのすべてはSIX LOUNGEというバンドの人間臭さや愛おしさに帰結するようで、聴けば聴くほどライヴで生の音に触れ、その情熱や美学を全身で体感してみたくなる曲ばかりだ。苦悩の時を経て、より普遍的な優しさや頼もしさを身につけたロックンロール・バンドの"今"の姿に、グッと胸を掴まれ、心救われる。(五十嵐 文章)
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SIX LOUNGE
THE BULB
3年半ぶりとなる待望のフル・アルバム。昨今では希少となった荒削りなロックンロール・バンドであり、だからこそ人気を集めている――SIX LOUNGEに対してそんな印象を抱いていたのだが、今作を聴いて彼らの魅力はそこにとどまっていないことに気づかされた。まずは、ヤマグチユウモリ(Gt/Vo)の圧倒的な存在感。どんな楽曲も色っぽく質を高められる天性の歌唱力がさらに引き出されているのだ。アコースティックの「窓を開けて」で見せる優しさも心地いいアクセント。そして、現在も地元大分在住というところが関わっているのだろうか、演奏にも楽曲にも雑念が混じらないピュアな勢いや発想を感じることができる。もっと名と音を広めそうな3人のキャラクターが映し出された1枚だ。(高橋 美穂)
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SIX LOUNGE
幻影列車
昨年はミニ・アルバムを2枚、今年は5月にシングル1枚をリリースし、自身最大規模のワンマンを開催するなど、精力的な活動を行う大分発のロックンロール・バンドによる、約4ヶ月ぶりのニュー・シングル。表題曲は、ヤマグチユウモリ(Gt/Vo)が最近感動するようになったというオルタナ/ハードコア/エモの要素が取り入れられたミドル・ナンバー。落ち着いたトーンで鳴らされる熱がじりじりと迫りつつも、情や温かみや一抹の寂しさを匂わすという、深い感情表現が実現している。c/wにはポップでオープン・マインドな空気感があるロマンチックな「星とメロディ」と、ヤマグチのルーツのひとつである井上陽水の「氷の世界」のカバーを収録。バンドの新たな可能性を感じさせる3曲が揃った。(沖 さやこ)
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SIX LOUNGE
天使のスーツケース
2019年、大きく飛躍することを目標に掲げ、楽曲ヒットを目指す若きトリオ、SIX LOUNGEが世に問うニュー・シングル。ロックンロール・バンドであることを言い訳にせず、メイン・ストリームに食い込もうという心意気はあっぱれだ。曲が持つ疾走感があまりにも痛快な「天使のスーツケース」、サビの展開がキャッチーなガレージ・パンクの「DO DO IN THE BOOM BOOM」、そして音の響かせ方が面白い「Lonely Lovely Man」。ニヒルでクールな風情を漂わせながら、3人が取っ組み合うような演奏という意味では、どの曲も熱度は満点。さぁ、シーンに風穴を空けられるか。このあとも強力な曲がラインナップされているという。SIX LOUNGEのここからに注目していきたい。(山口 智男)
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SIX LOUNGE
ヴィーナス
半年前にリリースされた前作と比べて、作品としての物語性が飛躍的に増した印象。音の強弱、メロディの展開、テンポ、1曲の尺などで緩急をつけることにより、全体的としてメリハリのある構成に。また、歌詞の言葉選びもいっそう洗練され、"青(ブルー)"、"夢"という単語はロック・バンドの象徴であり、夜明けを待つ主人公はロック・バンドに憧れを抱く彼らや私たちそのもの。最終曲に待ち受ける"輝け憂鬱なブルースよ"というフレーズにはどうしたってグッときてしまうものだ。若き3人が鳴らす泥臭くもセンチメンタルなサウンドにロマンを感じている人も少なくないと思うが、心技体が噛み合った今、それはかつてなく大きく膨れ上がっているよう。このバンドには、衝動のその先へ進む力がある。(蜂須賀 ちなみ)
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ircle×SIX LOUNGE
地獄盤
ともにライヴハウス・シーンで人気を伸ばしている大分県別府市出身の先輩後輩バンドによるスプリットCDが、後輩であるSIX LOUNGEから話を持ち掛け、実現したそうだ。それぞれに新曲を2曲ずつ提供している。そのSIX LOUNGEはともにストレートなロックンロールの「STARSHIP」、「STRAWBERRY」で爽やかさと向こう意気が入り混じる個性をアピール。一方、ircleは「瞬」、「HUMANisM」の2曲で、それぞれ2ビートと言葉を畳み掛ける歌という新境地にチャレンジ。なぜ自分は歌うのか、何を歌うべきなのかというテーマと改めて向き合った歌詞が胸を打つ。別府の観光名所、地獄めぐりに由来するおどろおどろしいタイトルとは裏腹に、激しい演奏と詩情が交差する美しい1枚だ。(山口 智男)
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SKATERS
Manhattan
NYブルックリン出身の4ピース・バンドで、既に海外メディアではTHE STROKESの名前と比較されて紹介されているらしいが、それもまぁ納得の、00年代ロックンロールと70年代パンクのエッセンスを吸収したガレージ・ロック。ただ、デビュー時のTHE STROKESほどスタイリッシュで完璧なわけじゃない。ギタリストはTHE PADDINGTONSやDIRTY PRETTY THINGSのようなUKバンドでプレイしていた経歴を持っているようだが、むしろそんなバンドたちのラッディズムを継承した、パワフルで、でも情けなくて、笑えて、最後はそのメロディに涙してしまいそうな、そんなロマンティシズムに満ちたデビュー・アルバムだ。曲によってはエレクトロやレゲエにも手を出していて、こういう雑食性にバンドの無邪気さと生真面目さが表れている。 (天野 史彬)
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skillkills
DOPE THIS WAY
図らずもイビツなビートを生み出すGuruConnectによるトラックとラップで独特な存在感を発揮しているアヴァン・ヒップホップ・バンド初の4曲入りEP。3人編成になってから初めての音源であり、決意表明の1枚となっている。表題曲の「Dope This Way」のつんのめるような不思議なリズムは、妙な後味が耳に残り繰り返し聴いてしまう。ラーメン屋でふと思いついたという、CD盤とケース以外は自由に購入して組み合わせることができる"トッピング方式"でリリースするなど、自由な発想が活動に活かされている。アニメ"ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン"のエンディング・テーマ曲「Neo Cyber Madness」はB級映画風なMVと共に楽しむことを強く推奨したい。エンターテイナーとしての彼らの姿勢が存分に伝わってくるはずだ。(岡本 貴之)
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THE SKIPPERS
Lookin' Back
ヒトクセもフタクセもある個性派バンドがひしめく関西のライヴ・シーンにおいて頭角を表している彼ら。真っすぐにしか突き進めない不器用さ(もちろんいい意味で)に魂が揺さぶられる。あーだこうだと、頭で変換する前に体が動きだして、ライヴ行きてー!と心底思わずにはいられないはず。眠っていたパンク・スピリッツも暴れだす起爆剤的な1枚。決して新しいタイプの音楽ではないかもしれない。でも、そんなことはどうでもいい! と言わんばかりに畳み掛ける轟音がハッピーにさせる。今の時代こそ底抜けに明るいパンクが必要でしょ。それにしてもメンバーのみなさん、関西ノリというか、ブログ等でも垣間見えるハイテンションぶりがおもしろすぎです!(花塚 寿美礼)
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SKRILLEX
Scary Monsters & Nice Sprites
非常に太いベース音と、リバーブのかかったドラム、細切れにされたサンプル音。まさにダブステップの特徴そのものなのだ。だが、時折入るキャッチーなフレーズがリスナーに重度の中毒を引き起こす。他のダブステップのアーティストと彼が一線を画していると感じられるのはそれゆえだろう。特にTrack.1、3の女性ヴォーカルは非常にポップでリズミカル、可愛らしくすら感じる。また、どこか懐かしさを覚えるTrack.2のイントロの浮遊感のあるフレーズは曲中で何度もループされ、どこかへトリップしそうな感覚を生み出している。全米ビルボード、Top Heatseekersにて34週以上もの間ランク・インし続けた実績は伊達ではない。ダブステップ・ファン以外にも愛される彼の音楽を聴かずして、音楽ファンは語れないだろう。(石井 理紗子)
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SLEATER-KINNEY
No Cities To Love
"Lollapalooza 2006"でのライヴをもって活動を休止していたSLEATER-KINNEY。Corin TuckerはTHE CORIN TUCKER BAND名義でアルバムを発表、Carrie BrownsteinとJanet WeissはWILD FLAGを結成、さらにJanetはQUASIのドラマーとしても活躍するなど、おのおのの活動を経てリリースされる新作だけに、10年前とはまったく違うスタイルになっているのでは?と思ったが、突き抜けるような高揚感は相変わらず。変化といえば、ベースレスのスカスカしたサウンドに、どこか哀愁が漂うようになった。90年代半ば、闘争的な"ライオット・ガール"だった彼女たちは今、ブルージーなロックをかき鳴らしている。(奥村 小雪)
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SLEEPER AGENT
About Last Night
前作をパーティの喧騒と考えるなら、SLEEPER AGENTが2年半ぶりにリリースするこの新作はタイトルが物語るとおり、どんちゃん騒ぎの翌朝、感じるほろ苦さとなるのだろう。2011年、シーンに突如現れ、ロックの救世主と注目されたケンタッキー出身の6人組。ニュー・ウェイヴ風味もあるガレージ・ロックという意味では前作の延長だが、1年かけて作っただけあって、曲作りには思慮深さが感じられる。男女ツイン・ヴォーカルを改め、大半の曲を紅一点メンバーが歌っている。賑やかさは減ったものの、むしろそこが今回の聴きどころ。近年のインディー・フォーク・ブームに共鳴するTrack.5「Lorena」やせつなすぎるバラードのTrack.8「Shut」他、バンドの成長を物語るメロウネスをじっくりと味わいたい。(山口 智男)
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SLEEPER AGENT
Celabrasion
2008年にアメリカのケンタッキー州で結成された、まだ10代のメンバーも在籍しているという6人組ガレージ・ロック・バンドのデビュー・アルバム。60’sや70’sのガールズ・ポップを髣髴とさせる甘いメロディを、青さを隠し切れないラフなガレージ・サウンドに乗せて走り抜けていく。近年のバンドだとTRIBES辺りとリンクするのは間違いないが、この若きバンドのメロディ・センスはTHE CRIBSすら凌いじゃうんじゃないの!?ってくらい突き抜けたキャッチーさを持っている。クソ生意気そうにクールに歌うAlex嬢と、頼りないJack Whiteみたいなヴォーカルを披露するTonyのツイン・ヴォーカルのバランスも最高。是非邦楽ファンにも聴いていただきたいバンドだ。(伊藤 啓太)
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SLEEPTALK
Sleeptalk
"Space Rock"を掲げるロサンゼルスの5人組がCrystal Lakeらを擁するレーベルからデビュー。もともと、LIKE GIANTSというポップ・パンク・バンドをやっていたメンバーたちが自分たちの成長を楽曲にするため新たに結成したそうだ。ANGELS & AIRWAVES、THE 1975、Drake、THE WEEKNDをインスピレーションに掲げ、シンセ・サウンドやダンサブルなビートを導入。1stアルバムということで、アンビエント且つ壮大なスケールを意識したものから、R&B/ヒップホップを含む現在のメインストリームのポップ・サウンドを意識したものまで、様々な可能性を試しているが、シンガロングしながら踊れるTrack.8~10の流れは、これからこのバンドの大きな武器になっていきそうだ。(山口 智男)
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sleepy.ab
LIVE@Gloria Chapel
sleepy.abのアコースティック編成"sleepy.ac"が、2013年11月27日に品川教会グローリア・チャペルで行ったライヴの模様を収録したアルバムをリリース。"ストリングス・ダブル・カルテットを迎えた神聖かつ荘厳な、安眠導入盤"と公式サイトにも書いてある通り、スリーピー作品のなかでも心地よさのそれならば極上の域だ。透き通る音色と歌声はスピーカー大音量でも耳に優しい。チャペルならではの反響がパッケージングされ、あの日のライヴの空気をそのまま落とし込んでいる。オフィシャル・ウェブ・ショップとライヴ会場限定盤にはライヴ映像を収めたDVDが付属。山内憲介が次から次へ用いる様々な楽器や、鈴木浩之のパーカッションさばきなど目を見張るステージングが堪能できる。 (沖 さやこ)
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sleepy.ab
neuron
計り知れないものとしての“脳内宇宙”に進んで迷い込むことがこんなに楽しいとは! 山内憲介の手工芸的なインストで幕を開け、ビートがグッとタフになりダンスもOKな「euphoria」、サイケなサビとダビーな展開の「undo」、RADIOHEAD的なストイシズムや空間の広がりに加え、どこかA.O.R寄りの洒脱さえ感じさせる(ベースの音色とアレンジに拠るところ大と見た)ミラクルな楽曲「アンドロメダ」などは曲の骨格の変化が顕著。また「ハーメルン」や「around」や「Lost」などメロディの美しさが際立つ楽曲では、楽器ひとつひとつの音を選び抜き、微妙な不安定さや奥行きを作り出しているのも聴きどころのひとつだろう。言葉の意味を飛び越えて、音楽そのものがメッセージ足りえている体験的な全14曲。(石角 友香)
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sleepy.ab
アンドロメダ / Lost
夜空に輝くアンドロメダを探す。見頃は秋から冬だ。雪で覆われてシンとした世界で夜空を見上げ、カシオペヤとペガサスの間にその姿を探す。sleepy.abのバンド名の“ab”が示す通り、サウンドは確かにabstract=抽象的で曖昧という言葉がしっくりくるのだが、今作では歌詞が合わさった途端、その世界は急速に形を成す。彼らの音楽と歌詞がまるで映画のように世界を組み立て、リスナーの頭の中に投影する。冬に聴きたいバンドとしても名前が挙がる北海道在住の4ピース・バンドが冬の終わりに放つニュー・シングル。去りゆくアンドロメダをモチーフにつづられる切なくて甘い気持ちをぎゅっと詰め込んだロマンティックな1曲を、貴方の冬のセット・リストの1番最後に加えてはいかがだろうか。(石井 理紗子)
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sleepy.ab
Mother Goose Live +
アリスは兎を追いかけた。そして穴へと飛び込み、不思議の国へと迷い込む…とはならない。アリスは穴へと落ちる前に兎に追いつき、声をかけてしまったのだ。sleepy.abのライヴが、細部に渡り至近距離で見れてしまうということは、嬉しくもあるが、ナンセンスでもある。音響バンドでありながら、メロウで美しい“うた”も兼ね備えるからこそ、彼らのライヴは、視覚と聴覚から得るものは元より、感受性と想像力とで、その音を更に芳醇なものへと膨らませていく。個々の想像力によって際限なき空間演出がなされることによって、その画は無限の広がりをみせるのだ。だが、兎のガイド付きで不思議の国を訪問したら、その“不思議”は消えてしまうし、物語は広がりを見せない。まずは、実際にライヴに行ってから見て欲しい作品。(島根 希実)
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sleepy.ab
Mother Goose
昨年リリースされた初のシングル『君と背景』と『かくれんぼ』。本人もそう言葉にしているように、アルバム・アーティストという認識が強いからこそ、ただ一曲を届けるという行為は大変な挑戦だったようだ。だが、そこを越えた今、sleepy.abはとても開けている。作品作りという面おいては"開いて閉じて"を繰り返し、毎回試行錯誤しているわけだが、バンド自体はとても開けているのだ。もっと陽の光をあびようと、その花弁をより大きく開こうとする花のように全方位に前向きだ。だからこそ『マザーグース』は優しい。誰も貴方を追いたてることもないし、日常のレールなんてふとした思いつきで外れてしまえるのだと、優しく手を伸ばしてくれる。もの言わずとも、その目に見える情景と触れた温度で伝わることだってあるのだろう。(島根 希実)
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sleepy.ab
かくれんぼ
突如滲んだ柔らかいギターの不協和音。その瞬間動けなくなり、曲が終わるまで鳥肌は止まらず、気付けば目には涙が溢れていた。札幌在住の4 ピース・バンドsleepy.ab、セカンド・シングルのタイトル曲は、柔らかなストリングスが4 人の奏でる音と美しく溶け合うスケール感溢れるナンバー。素直になれないがゆえに孤独を選び、殻に閉じこもってしまう人間の弱さ。成山 剛の歌声はその弱さを否定せず、ただ優しく寄り添う。彼が歌う"明日へおやすみ" という言葉で何もかもが救われた気がした。元々バンド名の表す通り夢の中のような抽象的な音楽を紡ぎ出すバンドであったが、その世界観は作品を経るごとにますます高まり、立体的になっていることを今作で痛感。今日も彼らは、我々をあたたかな眠りへ誘う。(沖 さやこ)
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sleepy.ab
sleepy.ac LIVE @Sapporo Kitara 20100710
吐く息は白い。まだ誰にも踏まれていない、柔らかい純白の雪原が広がるsleepy.abのライヴ。彼らのアコースティック・セット“sleepy.ac”としてのライヴを収録した本作は、バンド・セットと比べ、より暖かな手触りで、よりゆるやかに時間が経過していく。特に、「メトロノーム」以降が素晴らしくて、暖かな日の光でゆっくりと雪解けしていくような、静かな解放感で包み込んでくれる展開は、目の前の景色が一気に広がっていったその先に、眩しく穏やかな幸福を見せてくれる。そしてその幸福は「ねむろ」でせきを切ったように溢れ出す。一切の喧騒と汚れを排除した真っ白な美しさと、思わずまどろんでしまう温もり。彼らのライヴの純度がまったく損なわれていないことに感動すらしてしまう。ただのライヴ・アルバムとしてカテゴライズするにはもったいない良質な作品だ。(島根 希実)
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sleepyhead
センチメンタルワールズエンド
3rd EP『endroll』のリリース時から、その存在について語っていた2ndフル・アルバムがついに完成。心地よい浮遊感のある「酸欠都市」や、メランコリック且つ優麗なギターと弾む3拍子が絡み合う「rain one step feat.Ichika Nito」、闇の奥に手招きする「白痴美 prod.Mantra」、躍動的なビートが哀傷を増幅していく「死んでも良い」など、美しくも儚い空気がアルバム全体に満ち満ちている。歌詞においては、武瑠というアーティストはもとより、ひとりの人間の根底にある思想や美学が詰め込まれた点では集大成的な一面もあるが、コロナ禍で吹き出した人間の業や社会の混乱を見つめ、向き合うことで生まれた言葉たちは、今を生きる人たちの胸に強い衝撃と余韻を残す。(山口 哲生)
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sleepyhead
endroll
前作から約半年で早くも到着の3rd EP。表題曲は、sleepyheadを始動するに至ったきっかけの一端を担ったTHE ORAL CIGARETTESの山中拓也(Vo/Gt)を作曲者に招聘。ひとつの終わりとその向こう側を描く武瑠らしい歌詞と、山中が手掛けたメロディ・ラインや、シューゲイザー的な意匠が施された幻想的且つ甘美なギター・サウンドが絡み合う意欲作に仕上がっている。また、表題曲や、ウィスパー・ヴォイスで繰り広げるラップが耳に残るダークな「dark side beach」では、UKを中心に活動の幅を広げているIttiがトラックメイキングを担当。チルアウトな「bedside」を含め、全編通して武瑠のフェイバリットが色濃く表れた音像になった。(山口 哲生)
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sleepyhead
meltbeat
昨年の始動以降、精力的に活動を続けている武瑠の3D音楽プロジェクト sleepyheadは、早くもネクスト・フェーズに突入した。緊迫感のあるストリングスとダンス・ビートが打ち鳴らされる「phase 2」を幕開けに、「meltbeat feat.DURAN」はトランシーなシンセが高揚感を煽りつつも、その旋律は切なくて儚げ。その音像であり、綴られている言葉には激動の1年を経て彼の中で芽生えた変化が表れている。他にもダークな雰囲気を纏ったドラムンベースが狂騒へ誘う「heartbreaker」と、フロアライクな曲を揃えてきたが、まどろみ感が心地よいチルアウト・ナンバー「akubi_girl」は、サブスクあたりで火がつきそうな雰囲気も。次への期待が高まる2nd EPだ。(山口 哲生)
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sleepyhead
NIGHTMARE SWAP
"豪華メンバー"という月並みな表現では追いつかないほどの布陣でドロップされた、武瑠の3D音楽プロジェクト sleepyheadのニューEP。のっけからリリックとビートが冴えわたり、悪意と遊び心のバランスが絶妙なカオティック・ナンバー「1 2 3 for hype sex heaven feat.SKY-HI,TeddyLoid,Katsuma(coldrain)」でアッパーカットを食らったかと思えば、ロマンチックに破滅的な世界観に浸る「INSIDE OUT KISS feat.MOMIKEN(SPYAIR)」、切ないポップス「BACK TO FIRST DAY feat.SHIROSE(WHITE JAM)」、ソウルフルな歌声とのバランスが新鮮なロック・チューン「DON'T YOU LET ME GO feat. AISHA」と、ラストの「Neverending Dream feat.SHO ASAKAWA(PLASTICZOOMS)」まで、まるで遊び慣れた恋人のように、心地よくリスナーを翻弄してくれる。(藤谷 千明)
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SLEIGH BELLS
Jessica Rabbit
メタルコア・バンド出身の男性ギタリストと子役~ガールズ・グループという経歴を持つ女性シンガーが結成したニューヨークの男女デュオによる4作目のアルバム。ふたりのバックグラウンドをストレートに反映させたエレクトロ・パンク・サウンドは、これまで以上にソング・オリエンテッドなものになると同時に豪快に鳴るパンク/メタル・ギターもTrack.4「I Can't Stand You Anymore」が象徴するようにアリーナで轟かせることを意識したダイナミックなものに。ドリーミーなトラックも含め、王道のポップ感を増したことを考えると、サウンドのエッジはともあれ、パンクという言葉はもう彼らには相応しくないかも。自主レーベルからの第1弾にふたりが込めた情熱はオープン・マインドな作風に結実したようだ。(山口 智男)
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SLOWDIVE
Everything Is Alive
90年代にシューゲイザー・シーンの最盛期を牽引したSLOWDIVEが、再結成後2作目となるアルバムをリリース。復活でファンを歓喜させた前作『Slowdive』(2017年)に引き続き今作も、様々な音楽経験と共に人生経験も積んだメンバーの、しっかりとした音楽観を受け取ることができる良作となっている。シューゲイザーというジャンルの中でも特に、激しい感情を伏せた繊細な音の蓄積が印象的。浮遊感のあるヴォーカルは、薄いヴェールを幾重にもレイヤードしたような、優しい透明感と重厚感が共存している。"FUJI ROCK FESTIVAL '23"での来日も記憶に新しいSLOWDIVEだが、派手さよりも素直な美しさで世界を表現する彼らのサウンドが、今後も途絶えないことを祈る。(山本 真由)
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SMALL BLACK
Small Black EP
ドリーミーでサイケデリックな音像に包まれた新たな刺客がブルックリンから登場。シングル「Despicable Dogs」はPitchforkで絶賛され、『KITSUNE MAISON』の最新作に大きくフューチャーされた同レーベルのWASHED OUTのスプリット・シングルでも大きな注目を集めた彼ら。重なり合うシンセ・サウンドとロウファイなサウンド・プロダクションはMGMT 以降のそれを引き継いでおり、そこに絶妙なビートをブレンドしている。“心を揺さぶる” と評されたメロディはレイドバックしながらも、聴く人々の心をグッと押し上げる様な多幸感に満ちたものだ。秋にはフル・アルバムがリリースされるそうだが、捨て曲無しのこのEP をまず手に入れて欲しい。(遠藤 孝行)
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SMALLPOOLS
Lovetap!
シンセ・ポップがUSインディーのひとつの代名詞だった時代は遠くになったもんだと思わせるほど、今、その要素はエンターテイメントとしてすっかり定着したことをこのSMALLPOOLSのあまりに的確なビート感や掴みまくりなメロディ・センスに実感することしきり。いい意味でレジャー・ミュージックと言いたくなるとっつきやすさ、ヴォーカルの強さ、シンセ・ポップでありつつバンド・サウンドもなかなか屈強な彼らは、今夏出演するサマソニも大いに沸かせそう。先駆的存在であるPASSION PITや、大きく成長したFOSTER THE PEOPLEに共通するサウンドや楽曲構造を持ちつつ、曲によってはMTV世代さえ巻き込むようなポピュラリティも。邦楽ダンス・ロック好きもすんなり入れるはず!(石角 友香)
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THE SMASHING PUMPKINS
Cyr
オリジナル・メンバーのBilly Corgan(Vo/Gt)、James Iha(Gt)、Jimmy Chamberlin(Dr)での復活作から2年、今回はさらに、長きにわたりギタリストを務めるJeff Schroederも制作に合流。しかし、Track.1からどちらかと言えばBillyのソロに近いシンセ・ポップや、トラック的なナンバーが続き、現行のR&Bアーティストが80'sに接近した音像を作っている印象にも近いものが。アコギと電子パッドの組み合わせがユニークなTrack.4や、ラウドな音の壁が立ち上がるTrack.11といった曲もあるが、誰もが想起するグランジ色の強いスマパンはここにはない。本作はダークでメランコリックなスマパンの、コンテンポラリー・サイドのアウトプットというのが妥当な見方かも。(石角 友香)
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THE SMASHING PUMPKINS
Monuments To An Elegy
"ティア・ガーデン・バイ・カレイドスコープ"という大きな括りの連作の2枚目にあたる本作。"哀歌の記念碑"を意味するタイトルはスマパンという存在を今、Billy Corgan(Vo)のひとりプロジェクトになってなお、バンドのメランコリックでエモーショナルな核心を美しく閉じる儀式のようにも思える。が、2007年以降加入したギターのJeff Schroeder、そして意外にもドラムはTommy Lee(MOTLEY CRUE!)という、互いに激しさと優雅さを併せ持つミュージシャンの個性を活かしたサウンド・プロダクションはシンプルで、無駄な厚みがない。その代わりに心象の色をさすのはシンセやピアノ。そのせいで重くなりがちなテーマをポップに聴かせている。それにしてもBillyの少年性さえ携えた歌の不変に驚く。(石角 友香)
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THE SMASHING PUMPKINS
Oceania
90年代、"オルタナティヴ"の象徴のひとつとしてシーンを席巻したバンド、THE SMASHING PUMPKINS。そんな彼らに夢を見た人なら、この新作をどう受け取るだろうか?5年振り通算7枚目の新作『Oceania』は、まさにスマパンらしい王道から未開の地を切り開くような実験まで詰め込まれた、果敢な意欲作となっている。Track.1「Quasar」やTrack.2「Panopticon」はヘヴィでアグレッシヴなギター・リフが炸裂すれば、Track.6「One Diamond, One Heart」ではエレクトロの打ち込み主体で繊細な叙情詩を奏でる。そして圧巻はタイトル・トラックとなった「Oceania」の約9分間に及ぶ壮大なロックンロールだ。これまでのスマパンを裏切りながらも、新たな領域へ踏み込んだ世界が拡がっている。スマパン......というかBilly Corganは紆余曲折を繰り返しながらもチャレンジ精神を失っていない。感動的だ。(伊藤 洋輔)
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SMASH MOUTH
Magic
米カリフォルニア州北部にあるサンノゼ出身のポップ・ロック・バンドSMASH MOUTHが、約6年振りにオリジナル・アルバムをリリース。今作は様々なソングライターを招き制作されたとのことで、多種多様なナンバーが聴き手を楽しませてくれる。どの曲もキャッチーなメロディが印象的で、思わず口ずさんで手拍子したくなってしまうほどハッピーだ。美しいピアノをフィーチャーした壮大なミディアム・ナンバー「Out Of Love」はSteve Harwell (Vo)のしゃがれ声が放つ包容力に胸が熱くなる。バンドのメイン・ソングライターだったGreg Campが昨年脱退し、心配していたファンも少なくないだろう。だが今作は変わらぬSMASH MOUTHらしさが貫かれた、夏にピッタリのマジカルなアルバムだ。 (沖 さやこ)
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THE SMILE
A Light For Attracting Attention
RADIOHEADのThom YorkeとJonny Greenwood、ドラマーのTom Skinner(SONS OF KEMET)による新バンド、THE SMILEのデビュー・アルバム。RADIOHEADの作品同様変拍子が多用されているなど実験的なアプローチの楽曲が並ぶが、ひと味違ったグルーヴ感があるのがTHE SMILEの特徴だろう。そのへんはジャズ・シーンで活躍してきたTom Skinnerの手腕が生きているところだ。そして、トリッキーだがすんなりと耳に入り、ポジティヴな表現ではないが聴く者の心にしっかりと寄り添うThom Yorkeの音楽性が、コロナ禍を経て疲れ切った人々の心に沁み渡る。テッド・ヒューズの詩からとったバンド名もあり、音で詩を描くというのはこういうことなのかと納得させられる作品だ。(山本 真由)
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SMITH WESTERNS
Dye It Blonde
シカゴのティーンネイジャー、Cullen&Cameron Omori兄弟、Max Kakacekの3人は、温かい空気の中で自由気ままな感性を育む。ガレージ・ロックを基軸とした骨組みの中に、ブリット・ポップ的な装飾を施し、キラキラとしながらも少年らしさの残るサウンドを完成させた。MGMTやGILRSのように遠くから鳴り響いてくるような軽快なサウンドと、若干のチープさを残した荒削りな音が心地よい。そのサウンドに虜になったMGMTのオープニングに抜擢され、すでに実力を見せつけた。日本デビューを飾る『Dye It Blonde』は、「Weekend」に始まり「Dye The World」に終わる。実に若者らしい感覚と自己の存在の位置づけに、力強ささえ伺える。今夏のSUMMER SONICで初来日が決定しているSMITH WESTERNS。極めて限定的な空間である“週末”の中、溺れていく感覚は甘く気だるいのだ。(山田 美央)
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SNARE COVER
Birth
まずは"劇場版総集編 メイドインアビス【後編】放浪する黄昏"のED「reBirth」のセルフ・カバー「Birth」で、造語によるイマジネーションが拡張されるヴォーカルを堪能してほしい。高音域と低音域を自由に行き来する歌唱は性別を意識させないもので、シリアスなテーマの「戦火のシンガー」や、スケールの大きな「朝焼け」などでも大げさに聴こえない。また、FINLANDSの塩入冬湖(Vo/Gt)をコーラスに迎えた「サイクル」は、声で作るレイヤーが美しく心地よい。ミニマルに削ぎ落としたトラックは、現行のR&Bやエレクトロニックな音楽が好きなリスナーにも自然に受け入れられることだろう。しかし軸にあるのは斎藤 洸の天性の声。器楽的でありつつ懐かしさも感じるその魅力を堪能したい。(石角 友香)
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