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INTERVIEW

Japanese

アルカラ

2014年09月号掲載

アルカラ

アルカラ

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メンバー:稲村 太佑 (Vo/Gt) 田原 和憲 (Gt) 下上 貴弘 (Ba) 疋田 武史 (Dr)

インタビュアー:天野 史彬

生々しい耳触り。ヒリヒリとした緊迫感の中で、ひたすら鋭さを増していく楽曲とメロディ。怒り、哀しみ、諦念、憧憬、ロマン......あらゆる景色が重層的に重なり合いながら、刹那という永遠の中を駆け巡る言葉。アルカラが結成12年目にして放つ通算7枚目のアルバム『CAO』。ここには、これまでのアルカラがトリッキーな楽曲や皮肉とユーモアに満ちた言葉遊びの中に覆い隠してきた様々な問題意識とディープな内省が、剥き出しで鳴っている。間違いなく、2014年の日本のロック・シーンを代表する1枚。『CAO』、震えるほどの傑作である。

-アルバム『CAO』、本当に素晴らしいです。今の時代に対して鳴らすべき音に真摯に向き合い、それ故に1音1音に緊迫感の宿った、アルカラにしか作れない、でも新しいアルカラを提示する作品になったんじゃないかと思うんですけど、ご自分たちの手応えはいかがですか?

稲村:前作『むにむにの樹』が"おとぎ話"をテーマに作り上げたっていうのがまずあって。あの作品は幼心というか、子供向けというか、自分の童心の部分を表現しながら、それを踏まえつつ刺々しさを出していったアルバムだったんですね。でも今回はもう、カッコよくいきたいなって思って。僕らにとってのロックってこうよねっていうのを、あまり変化球を使わずに堂々と提示していける作品にしていこうっていうのが最初の思いとしてあったんです。でも、段々作っていく中で、やっぱりアルカラって斜に構えた部分があった方が面白いなっていう気持ちも出てきて、僕らにしかない三枚目な感じも入れ込んでみたりして。結果としては、お互いの要素が引き立て合うような、ひとつの作品として成り立つものになったんじゃないかなって思いますね。

-最初、自分たちにとってのロックをストレートに追及していく方向に向かったのは、やはり『むにむにの樹』に対する反動が大きかったんでしょうか?

下上:まぁ、前作と同じ感じはないなっていうのが話としてあって。前のアルバムを"子供っぽい"と言うならば、次は"大人っぽい"感じにしようかなっていうイメージだけは最初にありましたね。

稲村:Track.2「アブノーマルが足りない」が最初にできて、そこを起点にアルバムの方向性が見えてきたんですけど、"ロック・バンドやなぁ~"って思えるような、円熟したアルカラ・ワールドの1歩目を踏めるようなアルバムにしたいなって思ったんです。アルカラは今年結成して12年になるんですけど、12年ってひとつの干支が回ったりして、なんとなく1周した感じがあるんですよね。で、そのタイミングで『CAO(カオ)』っていうタイトルで――これは"C"、"A"、"O"、それぞれに意味があるのかないのか、そのへんはわからないですけど(笑)――この先の自分らの"顔"になる作品にもなったし、あるいは今までの奇をてらった部分を外してみて、素顔、横顔、後ろ顔、変顔みたいなのが(笑)出せたアルバムになったんじゃないかと思いますね。

-12年やってきたアルカラの円熟、そこにある自分たちの素顔を出せるアルバムにしたいっていうのは、稲村さん以外の皆さんにも共通してあった思いでしたか?

稲村:いや、それは......ないよね?

下上:うん、ないですね。

-(笑)

下上:今年結成12年っていうのも、ほんと今気付いたんで。でも、言われてみるとそうなのかな?年数的にもひと回りしたというか。アルバムに関しても、前作はすごくテーマ性があったのに対して、今回はなんとなく"大人"っていうだけしかない状態で作っていったので、その分、ある意味で自分たちの中から自然に出てきたものなのかなって思いますし。

田原:僕は、最初からロックな感じでガシガシいこうって思ってたんですけど、最初に「アブノーマル~」ができたときに、どうなるのかなぁって思ったんです。でも、これがアルカラなりのロックだなって思って。僕のギターに関しても、今までやってきてスタイルの幅は広がったし、いろんな音色も使えるようになったんですけど、それも含めて僕のスタイルだし、また新しくシンプルなこともやってみたいっていう思いもあるし。今回のアルバムには、その全部が散りばめられてると思うんですよね。そういう意味では、今の自分を背伸びせずにまとめられた感じはありますね。

疋田:前々作の『ドラマ』も、大人っぽい、アダルトな作品やったと思うんです。でも、今回は『ドラマ』のときとは違う大人っぽさを出していきたいなっていうのがあって。『ドラマ』のときは無理に背伸びして大人っぽさを出した部分もあったんですけど、今回は身の丈に合ってるというか、自分が年齢重ねたり、キャリアを重ねてきたものをいかに自然に表現するかっていうことに向き合った感じになったと思います。

稲村:たしかに『ドラマ』の前までのアルカラって、ギラギラしてる感じというか、遅れてきた青春を取り戻してる感じがあって。でもその中で、「キャッチーを科学する」とか「ミックスジュース」みたいな曲をバンバン出してしまった弊害もあって――もちろん、いいところでもあるんですけど――なんかしでかすだろう、みたいな見られかたをすることが多かったんですよ。音楽にちゃんと向き合いたいけど、ちょっとアウトローというか、ふざけてやろうっていう部分があったんですよね。だから『ドラマ』は、それを1回外す瞬間やったんですよね。なのであのときは、背伸びをするっていうか、切り替えようとして切り替えたって部分があって。でも今回は、ナチュラルに渋いなぁっていうか、熟してきた感じを出していく、その最初の1ページ目になったらなっていう思いがありましたね。