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INTERVIEW

Japanese

鶴

Member:秋野 温(うたギター) 神田 雄一朗(ウキウキベース) 笠井“どん”快樹(ドラム)

Interviewer:岡本 貴之

-歌詞はどんな思いで書いたのでしょうか。

笠井:これはもう、シンプルなラヴ・ソングですね。この曲は秋野君が「歩く this way」を作っていたのと同じ時期に作っていました。

-どちらの曲も、使用楽器の変化などはありますか? 「歩く this way」はレスポールを使ってないんじゃないかと思ったんですけど。

秋野:いや、レスポールです(笑)。

一同:(笑)

-じゃあ今のはなしで(笑)。シングルコイルのギターを弾いてるのかなと思って。

秋野:あぁ~、メインのギターはレスポールですけど、P-90っていうシングルコイルのピックアップの音も入ってます。だから今までよりはカリーンとした音が聴こえやすくなっているところはあると思いますね。それと今回、レコーディングしたのがサイモン君のプライベート・スタジオだったんですよ。いつもと違う環境だったので、使ってるレコーディング機材が違うだけでも全然音が違いますから。あとは、アンプの調整で自分では上げないようなところをサイモン君が"そこ上げて!"って言って上げたら"こんな音になるんだ!?"っていう発見があったりしましたね。サイモン君は耳がすごくいいというか、彼はプレイヤーでもありますけど、プロデューサーになるとまた違うスキルを発揮するんだなって、一緒にやって思いましたね。

神田:ここ最近、ずっと同じスタジオでやっていたのが、今回は録りのスタジオが違ったというのは大きかったですね。

-神田さんはご自分のシグネチャー・モデルのベースを使っているんですか。

神田:そうですね。「歩く this way」は1発目からそれを使って、サイモン君も"それでいこう"って言ってたので。アンプとか機材もわりかしいつもの感じだったんですけど、やっぱりサイモン君がベースに求めるものって、ベースらしいロー・ミッド、中音みたいなところなんですよね。ブライトなところはあんまりいらないというか。押さえるところを押さえた、実の詰まったベースというか。そこがアンサンブルの中で大事だと思っていると思うので。「Stay with you」は、完全にサイモン君が持っているベースを使いました。しかも、ギブソンのES-335みたいなセミアコのベースで、フラット・ワウンドの弦を張って。

-普段のステージでの神田さんからは想像しづらいですね。

神田:そうなんですよ。それを弾いて試しに曲にあててみたら、ミドルの塊みたいな音がして"なんだこれは!?"みたいな。今まで面でいた音が、真ん中に"ギューン"といるような感じで、これは面白いなと。いくつか試してみた中で、満場一致でそれに決まって。それもあって、3ピースでも音が足りてるっていうのもあるかもしれないですね。3ピース・バンドはミドル命みたいなところがあるので。

-プロデューサーってどんな役割を担っているのかあまり知る機会がないですが、こうやって聞いてみるとサイモンさんが関わっていることの重要さがわかります。

神田:たしかに。でも、サイモン君はサイモン君で俺らとやって刺激になってることもあるだろうね?

秋野:たぶんね。3ピース・バンドはやってこなかったと思うので。"これは勉強になるわ~"って、彼も鶴を使って実験してくれたし。普段は自分では出さない音でも3ピースの場合は必要なんだ、とか。ハイハットの"チッチッチッチ"みたいなうるさい音とかも、"これは必要なんだね"って、録り音を聴いて言ってたりしましたね。

笠井:サイモン君は、"ドラム・モンスター"なんですよ。自分でも機材をいっぱい持っていて、ヴィンテージのスネアを20台ぐらい持っているんです。ハイハットも10セットぐらい持っていて、その組み合わせを延々とふたりで録って、その中からいくつか厳選して。それをデモにあてて聴いてみて、"これでいこう"ってなるんですけど、神田君が来てベースを弾くとデモと音が違うから、"やっぱりこっちの方が良かったかも"って変えてみたり、もう延々と(笑)。自分が思っていたドラムの旨味とは別の旨味を教えてもらったというか。そういう気づきがサイモン君とやった2回(今作と『僕ナリ』制作時)ではありましたね。

-この作品を携えて、3度目の47都道府県ツアーが始まっているわけですが。今回は各地でセットリストのリクエストを募ってますけど、どんな反響がありますか?

秋野:ツアーはまだ始まったばかりなんですけど、今までよりも"顧客満足度"が高い気がしてます(笑)。僕らがああだこうだ言いながら決めてきたセットリストが霞んでしまうぐらい。今回、イベントとしては"ALL TIME CLASSICS"っていう、鶴の過去の曲全部から何が聴けるかっていうのがあって、"聴きたかった曲が聴けた"という充実感を反響としてすごく感じるので、やりがいはすごくありますね。どうせたまにしかいけない場所に行くんだったら、各地のソウルメイトが聴きたい曲を演奏してあげたいっていう気持ちがあって、結構前からリクエストを募ることは考えていたんです。お客さんは好きな曲を聴きたい、俺らはそれを演奏してあげたい、というのはお互いにとって何も悪いことはないので。だから、今回は事前にリクエストを募ったんです。それがちゃんと形になってるなって思ってます。まだツアーの前半ですけど、結構ド派手にセットリストを変えていってるんですよ。自分たちでもやったことのないアンコールの終わり方をしてみたりとか。"この曲で終わるの?"みたいなものもこれから出てくると思います。

-3周目ともなると、慣れてくるものですか? 1周目は苦行みたいな部分もあったと思うんですけど。

神田:2周目が苦行でしたね(笑)。1周目は楽しかったけど。

笠井:俺は、1、2周目とも結構苦行だったよ。そのぶん、3周目は最高に楽しい。

-それは、どこが変わったんですか?

笠井:たぶん、"もういいんじゃないか"って思うようになったんでしょうね。マイペースでやればいいんじゃないかなって。バンドも、ドライブ中もみんなリラックスして、ライヴでもちょっとゆるい感じのMCをして、その方が俺ららしいものを見せられるし、そっちの方が自分の気持ち的にも楽だし。それがこのバンドの今のベストな気がしていて。そう思って回ってたら気持ちもすごく楽になったんです。楽しいですね、今は。

秋野:そんなに楽じゃなかったの(笑)?

笠井:うん、楽じゃなかったよ。1、2周目は。でも今はだいぶ楽ですね。