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INTERVIEW

Japanese

鶴

Member:秋野 温(うたギター) 神田 雄一朗(ウキウキベース) 笠井“どん”快樹(ドラム)

Interviewer:岡本 貴之

-こういうインタビューをするときって、次の目標みたいなことを着地点として聞きがちなんですけど、鶴のみなさんは音楽でずっと生活しているわけですし、一般の人たちが毎日仕事しながら生きているのと同じで、ゴールがあるっていうものではないんだろうなっていうのは、この曲を聴いて改めて感じました。

神田:たしかにそうですね。自主レーベルをやり出してからよりそう思うところはあります。

秋野:15年間、毎年のように曲を作ってツアーをやってっていう、本当にエンドレスなことをやっていて。今回の曲の場合はそういう思いもありますけど、曲作りの苦悩も入っていて(苦笑)。何曲書いてもなんかしっくりこねぇなっていうのがあったので、その終わりのない苦悩がまんま言葉として出てきましたね。それと、47都道府県ツアー前に出すということもあって、ツアーを通してテーマになるようなものも欲しかったですし。なんだかんだで、気持ちとしては20周年に向かっていかなきゃいけない始まりなので。そういうところにも向かっていく曲ができました。

-以前秋野さんは"「ソウルメイト今夜」(2013年リリースの4thアルバム『SOULMATE』収録曲)、「ローリングストーン」(2016年リリースの7thアルバム『ソウルのゆくえ』収録曲)みたいに節目節目に降りてくる曲がある"っておっしゃっていましたけど、「歩く this way」もそういう曲になったのでは?

秋野:実際、リリース前は"いい曲だし、これから鶴の大事な曲になるな"っていうぐらいだったんですけど、ライヴでやったときや、リリースをしてからいろんな人の反応を聞くと、よりそれを強く感じさせてもらえるというか。あとで振り返ったときに、節目の大事な曲になっていて、ライヴの中心を担う曲に育っていくのかなって。今は全国を回って育てている途中ですね。

-降りてきたというよりは、曲作りの苦悩があったということですが。

秋野:そうですね。最初になんとなくテーマを考えていたときに、そういえば"歩く"っていうテーマで曲を書いたことがないなって。まぁ、歌詞として"歩く"とかっていう言葉は使ってきましたけど、今回はもろに"Walk"っていうことをテーマに書いてみようと思ったんです。そこから、"「Walk」っていったらなんだろう? 「Walk This Way」(AEROSMITH)しかねぇな"って思って(笑)。

神田:CHAGE and ASKAにも「WALK」ってあるよね。

秋野:そうそう。自分の中ではチャゲアス(CHAGE and ASKA)の「WALK」か、あとスムルースの「WALK」が出てきて。いろんな人が取り上げているテーマですけど、鶴なりの「WALK」を作ってみました。

-結成から15年の間って、バンドの体感的には走ってきた感じですか、歩いてきた感じですか。

秋野:走ったり歩いたり、這いつくばったりいろいろありましたね(笑)。でも全部、その都度一生懸命やってきたので、過ぎてみればあっという間だったなって。"あの時期はしんどかった~"っていうのはあんまりないですね。

-それは3人とも共通している?

神田:共通してる部分もありますね。歩いたり走ったり、ときには浮かれて地に足がつかずに、気持ち的に飛行機に乗ってるようなときもありましたし。

笠井:ふわふわしちゃってね(笑)。

神田:そういうときもありましたし、"いや、これはいかんな"と思ってまた歩き出すとか、いろんな流れがありましたね。

-今は地に足がついてる状態ですか?

笠井:これが振り返ってみて、"あのときふわふわしてたな"ってなるかもしれないですけど、現状、地に足はついてる感じですね。

-それはやっぱり、時間が経って振り返らないとわからないものでしょうか。

笠井:そのとき、自分がまさかふわふわしてるとは思ってないですもんね。浮かれてるから(笑)。

秋野:たぶん、浮ついてるようなときって、バンド全体が浮ついてるから、浮ついてることに全員気づかないんですよね(笑)。それを、マネージャーからそれぞれ粛清されるという。

-粛清(笑)。

秋野:それを繰り返して、何が大事なのかっていうのをその時々で、ことあるごとに考え直してきたっていうのはありますね。

-中学時代からの仲間だからっていうのもあるんでしょうね。授業中にふざけてて先生に怒られるみたいな。

笠井:あぁ~それはありますね。一緒に浮かれちゃうんですよね。

-「歩く this way」は自分たちだけじゃなくて、ソウルメイトも一緒に歩いていこう、という曲ですよね。

秋野:はい、今回は自分たちが歩いてきた道を歌ってもいますけど、やっぱり僕個人の苦悩というか、いつでも付き纏うモヤモヤみたいなもの、モノを作るときのモヤモヤ、生きていくときのモヤモヤ、何とも言えない不安な気持ちっていうのをエネルギーに変えて曲にしていたりするので。実際、歌詞に出てくる"こだわり過ぎて始まらないのはもうやめにしよう"っていうのは、完全に自分なので。

笠井:そこの歌詞もう、完全に秋野 温だよね。

神田:メンバーはすぐわかりましたよ。"ああ、自分のことなんだろうな"って。

秋野:ははははは(笑)。

神田:でも、響く人はいっぱいいると思う。

笠井:うん、そうだよね。

秋野:本当にこうなっていた時期もありますし、まだそういう自分もいますけど、15年やってきてうまくそこを受け流せるようになりましたし。こだわるところとこだわらなくていいところを、一応分けられるように......昔よりは分けられるようになったかなと(笑)。

-ちょっと考えましたね(笑)。

秋野:でも、こだわり自体をなくしてしまうことは違うなと思うんですよね。