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INTERVIEW

Japanese

 

鶴

Member:秋野 温(うたギター) 神田 雄一朗(ウキウキベース) 笠井“どん”快樹(ドラム)

Interviewer:岡本 貴之

-「歩く this way」~AEROSMITH「Walk This Way」~それをカバーして大ヒットさせたRUN-D.M.C.って連想しながら次の「Stay with you」を聴くと、ドラムがヒップホップ的にも聴こえます。

笠井:あぁ~たしかに。

秋野:なんか入ってきそうだもんね。

笠井:たしかに、この間の新潟のライヴ(2018年9月29日の"結成十五周年記念 ALL TIME CLASSICS~47都道府県大会~"新潟CLUB RIVERST公演)でイントロを叩いてたら神田君がラップで乗っかってきましたからね。

神田:ノリのラップですけどね? 全然ラップになってないリズムに乗せて喋るみたいな。

笠井:あれはヒップホップに呼ばれたんじゃない?

神田:そういうことかもね。もともと「歩く this way」の最後を歌で終わらせないで、ドラムが入ってきて次の「Stay with you」に繋げようかっていうアイディアもあったんです。それくらい繋がってる感はありますね。

-「Stay with you」の作詞作曲は笠井さんですが、そういうヒップホップ・マナーみたいなことは意識したんですか?

笠井:いや、ヒップホップのイメージはなくて、どっちかというとソウルっぽい感じにできたらいいなって思っていたんです。そこにサイモン・マジックが入って、自分が思っていたよりもシンプルな感じになりましたね。いろんな楽器を重ねてもいい曲だなって思っていたんですけど、サイモン君って音にすごくこだわりが強くて、ドラムの音を決めるのにみんなより3時間前くらいにスタジオに入って、サイモン君とふとりで音決めをして、そこから神田君が来てベースの音を重ねたときにどう聴こえるか聴いて、"ちょっとこれじゃなかったね"って、また戻したりするんですよ。それくらい音にこだわって作ったら、意外と3つの音だけでいけちゃうねっていう感じになって。思っていたよりシンプルでカッコ良くなったんですよ。

-じゃあ、オーバー・ダビングも全然していないんですか?

笠井:ちょこっとだけですね。

秋野:ドラム、ベース、ギター1本にギター・ソロとグロッケンとコーラスだけです。実はこんなにシンプルな構成なんですよ。

神田:本当は鍵盤とかアコギとか入れて試してみてはいて、それはそれでカッコ良かったんですけど、最終的に"いらないね"ってなりました。

-そこも、3人だけだったら足していたかもしれない?

神田:かもしれないです。音的にもの足りなくて、音の隙間を埋めちゃうみたいな。でもたまに、全員の音が充実していて、もうこれ以上いらないねっていうときがレコーディングであって。この曲はそれの最新の最高峰な感じがしますね。

-とはいえ、神田さんも手数をすごく減らしているわけでもないのでは?

神田:それも、例えばなんとなくベースのフレーズ案を考えてきてやってみるなかで、俺は引き算が苦手なタイプなので、サイモン君が客観的に聴いて"神田君、1番はもっともっと音を減らそう。ベースを初めて1週間くらいの人が弾ける感じでいいから"みたいにいう感じで。やっぱり、ちょっと弾けると16分のゴースト・ノートとか入れたくなっちゃうじゃないですか? でも、"それは1番はやめて2番から入れよう"とか。引いて引いて、なんですよ。でも逆に後半になると、俺が思っていた以上に足して足して、全体を広げるみたいなことがこの曲に関してはありました。

-ひとつひとつの楽器の音に起承転結があるというか。

神田:そうですね。だからこそ、少ない楽器でもちゃんと後半に行くに従って高揚感が出るというのあるんじゃないかと思います。

秋野:リズム隊って、1曲の中にストーリーがあるよね? ギターよりもあると思う。

笠井:うん、そうだね。

神田:パっと聴きのストーリーは、歌とかギターとかコーラスとかになってくるんですけど、実は勝手に踊らされている要素としてはやっぱりリズム隊な気はするんですよね。聴いてる人は無意識だと思うんですけど、"最後、盛り上がったな!"って思ってるのは、"実はそれ、リズム隊のおかげなんですけど!?"みたいな。

秋野&笠井:ははははは!

神田:そうやって陰で操っているという。それがこの曲に出てますね。

-それができるのが3ピースで15年やってきた鶴の音楽の魅力なんでしょうね。

神田:そうですね。他の現場に行って、人数が多いバンドでやるときに、3ピースでやってきた経験はかなりデカいですしね。いつでも隙間に走り込む準備はできているけど、足りてるけどあえてしないっていうことができるので。それは3ピース・バンドを15年やってきて良かったなって思うことですね。

-たしかに、3曲目として収録されている「大忘年会2017(-ちょっと贅沢なクリスマスパーティー-LIVE @Heaven's Rock さいたま新都心VJ-3)」を聴くと、ゲストのホーン・セクションとかが入っているじゃないですか? これを聴くと本来こういうアレンジになる曲を3ピースでやってる特殊なバンドな気がしたんですよね。

笠井:そうですよね、ホーンが入ってる方が自然というか(笑)。

神田:そっちの方が耳馴染みがありますよね。でもどっちでもいけるというか。

笠井:そうだよね。3ピースでも違和感なく聴いてもらえてるっていうことだもんね。

神田:でもいつか「Stay with you」もライヴで上ものを入れたらまた面白くなるかもね。

笠井:あぁ~いいね、やりたいね。