Japanese
ASCA×阿部真央
2018年06月号掲載
ASCAが"神"と崇める、阿部真央との対談がここに実現した。ASCAは最新シングル『凛』を制作した際、中学生時代に出会ったという思い入れのある楽曲「Don't leave me」をカバーすることになったのだが、阿部真央からするとこれはデビュー・アルバムに収録したという懐かしい1曲となる。ここではASCAの熱い阿部真央に対する想いと、ここまでに10年近くにもわたって女性アーティストとして着実にキャリアを積み上げてきた阿部真央からのASCAに対するエールが交錯し合うこととなったほか、最終的には夢の共演へと向けたヴィジョンまでが語られることに。歌をこよなく愛する女性ふたりによる、微笑ましきガールズ・トークをぜひともご堪能あれ。
ASCA
阿部 真央
インタビュアー:杉江 由紀 Photo by 上溝恭香
-ASCAさんの最新シングル『凛』には、阿部真央さんの「Don't leave me」をカバーした作品が収録されております。まずは、ASCAさんがそもそも阿部さんの歌といつごろいかにして出会ったのか、というところから教えてください。
ASCA:中学2年生のときの文化祭で、ダンス部にいた友達が真央さんの「ロンリー」(2010年リリースの4thシングル表題曲)で踊っていたのを観て、流れている真央さんの"声"に衝撃を受けたのが最初の出会いでした。その日は家に帰って、速攻で真央さんの名前を検索していろいろ調べたんですよ(笑)。それ以来、片っ端から作品を聴かせていただきましたし、その中でも特にアルバム『ふりぃ』(2009年リリースの1stアルバム)に関しては、聴きながらもう完全にドハマりしてしまったんです。
阿部:そうだったんだ(笑)。ありがとうございます。
-ASCAさんにとってずっと憧れの対象であった阿部さんと、本日このようにアーティスト同士としての対談が実現したというのは、きっと感慨深いものがあるでしょうね。
ASCA:ほんとに、今回のシングルを作り始めたとき"真央さんの「Don't leave me」をカバーしたいです"と勇気を出して言って良かったです! まさか、こんな日がやって来るなんて嬉しすぎます!
-そんなASCAさんはまだデビューから約半年という状況ですが、阿部さんにとってのアルバム『ふりぃ』はまさにデビュー作でもありました。初期のころと今現在では、阿部さんのアーティストとしてのスタンスに何かしらの変化はあったりするものですか?
阿部:いやー、全然違いますよ。あの作品でデビューをした時点では、アマチュアでのライヴ経験しかない状態でしたから、自分が作品を出してそれを聴いてくださる方々がいるということに対してのヴィジョンが、まったくない状態でレコーディングをしていたことになりますからね。そのぶん、今と比べると当時はちょっとエゴの押しつけがあったんだろうなとあとになって思ったんです。自分はここにいるんだ! っていう自己証明が欲しかったところもあるし、もっと自分のことをわかってほしい! という欲求も強かったから、結果的に自分が、自分が、というところが先に立ってしまっていたというか。そういう意味では、スタンスとして若手のロック・バンドに近いものがあったかもしれないです。"自分は他とは違うんだ!"っていう、主張が激しかったんでしょうね(笑)。ただ、そのわりに自己評価は低かったりしたんです。
-なんと。それはなぜだったのです?
阿部:まぁ、自己評価は今も低いんですけどね。おそらく、これはもともとの性格のせいなんだと思います。それなのに、昔はライヴをやっていても"私の歌で感動しなさいよ!"くらいの押しの強さがあったので(笑)、そのころからすれば今の自分はちゃんとファンの方々に歌を届けたいとか、自分の歌でみなさんがパワーをチャージしてくれたら嬉しいな、という気持ちになっていますね。でも、私がそんなふうだったころに歌っていた「Don't leave me」を中学生だったASCAちゃんが聴いて好きになってくれた、というのもなんだかすごく嬉しいです。
-ちなみに、ASCAさんは先ほど阿部さんの"「声」に衝撃を受けた"と発言されていましたが、具体的には阿部さんの声のどんなところに惹かれたのでしょうね。
ASCA:曲単体で「ロンリー」を聴いたときにも感じたことなんですけど、そのあと『ふりぃ』というアルバムを通して聴いたときには、さらにその表現力の幅に驚いてしまったんです。すごくカッコいい歌い回しの曲もあれば、今回カバーさせていただいている「Don't leave me」では聴いていて胸がキューっと締めつけられてしまったんですよ。別に、そのころの私はまだ中学2年生だったのでちゃんと失恋なんてしたこともなかったんですけど(笑)、それでも胸の中に歌詞や声がすごくストレートに入ってくるんです。バラードをこんなにも感動的に歌い上げることができるヴォーカリストって、とても素敵だなと純粋に感じましたね。それだけじゃなくて曲ごとに歌い方が全然違っているのでアルバムをずっと聴いていてもまったく飽きることがないですし、中学生だった私は"こんなにすごい人がいるんだ......"と憧れてしまったんです。
-阿部さんとしては、曲ごとに歌い分けている意識はお持ちなのでしょうか。それとも、歌っていくうちに結果としてそうなっていた、ということが多いのでしょうか。
阿部:『ふりぃ』を作ったころは、全然そういうことは意識していませんでしたね。でも、いざ完成してインタビューを受けたりする機会が出てきたときに、十中八九"曲によって歌声が違いますよね"ということを言われるようになりまして(笑)、そこで初めて気づかされたんです。"あれ? そうなのかな"って。それ以降、2~3年くらいは自分でもちょっとそこを意識しながら歌っていた時期があったんですけど、最近はもうそういうことはあまり考えなくなってしまいました。特に細かいことは考えず、自由にやっていますね。
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