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INTERVIEW

Japanese

阿部真央

2019年01月号掲載

阿部真央

インタビュアー:石角 友香

"逃すなよ今を/感じろよ今を"(「ふりぃ」)と、腹の底から歌っていたデビュー当時。そっと守りたいような恋心や胸のすくような本音。アコギをかき鳴らし歌う基本姿勢はそのままに、近年ではエレクトロ・ポップやティーン・ポップ調の楽曲にもアプローチ。そして経験値を積んだうえで初期の飾り気のない歌を想起させるニュー・シングル『変わりたい唄』へと、人生をヴィヴィッドに音楽へ映し出してきた阿部真央。デビュー10周年の今年、ついに初のベスト・アルバムをリリースする。ブレない信念を表す歌の力に触れながら、改めて阿部真央というシンガー・ソングライターの思考にもぜひ触れてほしい。

-デビュー10周年のタイミングでベスト・アルバムがリリースされるのはもっともだなという感じがしますけど、それ以外にご本人にとっての意義はありますか?

そうですね、改めての阿部真央入門編とか、そういう感じにしたいなっていう方が強いですかね。今までずっと応援してくれてるファンの人はもちろん聴いたことのある曲ばっかりだし、今まで音源にしてない「クソメンクソガールの唄」があったり、最後に新曲が入ってたりっていうのはありますけど。既存の曲をまとめるだけっていうのは、ね? 改めて阿部真央をもう1回聴こうかなとか、初めて聴こうかなって思う人が聴いてくれたときに自分の良さって言うとあれですけど......。

-特徴というか?

そうそう。私、いろんなタイプの曲があるんで、ファンの人が好きでいてくれてる曲もバラバラで、どういうふうにそれをまとめようか? っていうのはちょっと苦労したんですけど、その自分の良さを伝えようという気持ちは結構強かったです。

-最後まで入れるのを悩んでた曲とかありました?

"入れたいね"ってなったのを挙げていくと50曲ぐらいになっちゃって。だから、入れるかどうか迷ったものはこの中には入ってなくて。入れたかったなって強く思って、この中にないのはシングルだった『貴方が好きな私/boyfriend』(2013年6月リリース)とか、『最後の私』(2013年3月リリース)とか。実はあのあたりのシングルが入ってないんです。でもそれは5周年のときに出した『シングルコレクション19-24』(2014年リリースのシングル集)には入ってはいるので、自分の中で折り合いをつけて、泣く泣くピックアップから外した感じですかね。あと、最近サブスクも解禁したので聴こうと思えば全部追えちゃうから、そういうところにも願いを込めました。手に取りやすい内容になってる。

-そういう意味で阿部さんが選んだベストという意味合いが濃くなる気がします。中でも初期3作からの曲が多くて。

多いです、多いです。やっぱ好かれてる曲が多いんですね。それは嬉しくもあり悲しくもありっていうところはあるんですが、でもやっぱりそういう曲を書いてきたってところに自信を持っていきたいなと思って。そのへんの曲を知ってくれてる人が多いってことだと思うので、そこを今一度押すっていうのはありかなと。

-人間的な変化を遂げたことを選曲していて感じたことってありましたか?

まずDISC 1とDISC 2で声が違うっていう。たまたまなんですけど、DISC 1は声帯手術前の声で、DISC 2は手術後の声で録ってて、やっぱり声の変化はすごい感じて。あとはDISC 2の5枚目のアルバム(2013年8月リリースの『貴方を好きな私』)から唯一入ってる「天使はいたんだ」って楽曲ぐらいから作風が第2段階に入った感じはしますよね。よりポップネスやシンガー・ソングライティングみたいなものを考えて作ってる感じがして。それまでの楽曲ってわりと主観的に自分が思ったことを曲にぶつけるような感じだったんですけど、ポップスとして人に聴いてもらうっていうことを明確に意識して、それがちゃんと曲に反映されている段階かな。あとはやっぱりDISC 2の「母である為に」っていうのは母親にならなければ書けなかった曲なので、これ以降とこれ以前がすごく変わったとか、そういうことじゃなくて、この曲が自分の人生のイベントをひとつ象徴しているかなとは思いますね。

-自分の作品はもちろんライヴでも俯瞰すると思うけど、こうやって改めて並べるとまた違いません?

そうですねぇ......あんまり違わないかも。マスタリングするときに改めて全曲ちゃんと聴いたんですけど、意外と"あ、このアルバムの印象薄いな"とか、そういうのがなくて。アルバムごとにちゃんとこういうアルバムだったな、こんなだったなみたいな感じで、客観視は全部の曲に対してしてるんですけど、距離が離れてたわけではないんだなっていうのは感じましたね。だからこそ36曲聴いてみて、"うわ、すごい懐かしい"とか、"あ、こんな曲もあったな"とか、そこまでの感慨みたいなのはなかったです。