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INTERVIEW

Japanese

阿部真央

2014年08月号掲載

阿部真央

Member:阿部真央

Interviewer:沖 さやこ

デビュー5周年を迎える阿部真央が、19歳から24歳の間に作った全シングルを集めた『シングルコレクション 19-24』をリリースする。19歳から24歳は女性としても、人間としても大きな変化を遂げる時期。今作はその変化を克明に記した作品となった。声帯手術、ホール・ツアー、セルフ・プロデュースなど、様々な経験を経た5年間。常に前進と上昇を続ける彼女に、その変化の流れを訊いた。

-シングル・コレクションをリリースすることになったのは、デビュー5周年記念の一環で?

そうですね。本当はオリジナル・アルバムを出せたら良かったんですけど、5年で(フル・アルバムを)5枚出してきて、1年で1枚ペースで走ってきたので......ちょっとゆっくり制作をしたいなと思いまして。なので時間が欲しかったというか。だから今回は新しいリリースはお休みしようと思ってるんです。でもせっかく5年で14曲新曲を出してきてるんだから"阿部真央の曲をあまり知らない人が新たに手に取りやすいものを"と思って。阿部真央の入門編というか、そういうきっかけになってくれればいいねということで、5周年記念として出すことになりました。

-1年で1枚ペースで出していくのは、阿部さんにとって大変だったということでしょうか。

大変でしたねー......。最初の頃は学生のときに作った楽曲があったから、ストックがあったのでまだ良かったんですけど、だんだん追いつかなくなってきちゃって。そうなっていくと苦しいというか。リリース日が決まっているアルバムに向けて曲を作って、そこに曲をはめていく。そうするとあんまり有意義じゃないですよね。きつきつになっちゃうし。"この曲でいいんだろうか?"という疑問を持ったまま曲を出す可能性も無きにしも非ずなので、そういうのは嫌なので。自分と向き合う時間をしっかり作って、ストレスをなくして。満を持した状態で毎回アルバムを出したいなという気持ちになってきたんです。そうすると本当に自分が書きたいと思う曲の種を見つけられると思うし、書けると思いますね。

-今回入門編として過去曲をまとめるとして、なぜシングル曲のみに?

(チームの)みんなもベスト・アルバムを出すのが嫌だったんじゃないかな?それは私も嫌だったし、ベストを出すほどの業績でもないと思うし。だから真のベスト・アルバムはもっともっとアルバムを出してからがいいし、シングル曲は入門編としてはわかりやすいし。たぶんベストを出そうと言われてたらわたしはNOと言ってますね。シングル・コレクションの提案を(スタッフさんから)頂いて、いろいろ思うことはありましたけど、それでもちゃんと納得できる理由を自分のなかでつけて。なのでOK、みたいな。

-"いろいろ思うこと"とは?

阿部真央を今まで応援してくれている人はシングル曲はずっと聴いているものだし、買っているものだから、そういう人たちに申し訳ないというのがあったんですよね。正直。あと、そういう人たちからの反応も怖かったし。実際"シングル・コレクション出します!"と言って"おめでとう!絶対買う!"と言っている人もいれば、今まで持っている曲なのになんで?と思っている人も勿論いるし。自分がファンだったら買うと思うんですけど、見えかた的にどうなのかな?というのはずっと思っていて。

-阿部さんは5枚フル・アルバムを出してらっしゃいますからね。それまで聴いてこなかった人にとっては聴きたくても"どれを聴いたらいいのかな?"と悩んでしまうこともあるだろうし。そういう意味でシングル・コレクションは手を出しやすいから、有り難い存在だと思います。

本当に新しい人が入ってくれたらいいですね。あと、今まで応援してくれる人にも――それで満足してもらえるかわからないけど――全曲リマスタリングしたり、勿論ジャケ写や写真は新しいものを撮り下ろして。ミュージック・クリップ集と、そこに未発表曲「always」のMVを入れたり。あとは実はなにげに、いちばん最初の「ふりぃ」(※デビュー・アルバム『ふりぃ』に収録)のMVは今までDVDになったことがなかったので、そういうもので楽しんでもらえたらな、という気持ちではいますね。

-マスタリングはロサンゼルスにて阿部さんが立ち会いのもと、Avril Lavigne、ROLLING STONES、Stevie Wonderなど世界の名だたるアーティストを手掛けるStephen Marcussen氏が担当しているんですよね。こちらはいかがでしたか?

いやー、疲れましたね(笑)。エンジニアさんはすごくいいかたで、音も綺麗になりましたし、非常に素敵な出会いをさせていただいたなと思うんですけど、移動が......。みんなよくこんなん行くなー!と思うくらい遠くて。お尻が痛くて耐えられない!みたいな(笑)。おまけにスケジュールがきちきちだったので、弾丸で行ってすぐ帰ってくるっていう弾丸だったんです。だから移動のつらさのほうがインパクトは大きくて......つらかったですね~。

-はははは。でも海外に行くと気分が変わったりして、刺激がありそうですけど?

全然ないですわたしは。早く家に帰りたかったです(笑)。やっぱり家がいちばんいいですね。旅行とかも本当はすごく嫌いなので、ツアーでもライヴ終わったらその日のうちに家に帰りたいぐらい(笑)。家で寝たいんですよね。

-(笑)リマスタリングされていくのを聴くのはどういう感覚なのでしょう?自分が過去に作った曲たちが蘇っていく......という感触ですか?

その曲を作ったときの情景を思い出す感じでしたね。"このときはあの人と作業したな"とか"このとき喉がちょっと悪くて、実は自分的にはあんまりいいテイクじゃないんだよな"とか。逆に"これはうまく歌えたな"とか。そういうことを感じたり――だからその曲を録音したときの思い出が蘇るというか。それが大きいですね。作ったときのことより"このときはこうやって録音したな"というイメージでした。

-今回のタイトルの"19-24"は19歳から24歳まで、という意味ですよね。「19歳の唄」や、「モットー。」には"三十路"という言葉が出てきたりもしますが、阿部さんにとって年齢というものは節目として大きいものがあるのでしょうか。

あー、寧ろ全然気にしてないんです。別に"2009-2014"みたいに年代でも良かったんですけど、それだと社会的な感じがするので。やっぱり19歳から24歳は内面も外見も女性として大きな変化を遂げるときですし。実際わたしも女性としての変化を遂げながら、社会に出て揉まれて、人間として成長して、感じかたがいろいろ変わっていって。それがすごく明らかに曲になっていってるなという印象なので、年齢に伴っての阿部真央の変化を感じてほしいな、というのがありますね。非常に個人的なことを、その時々で歌っているので。