Japanese
ASCA×阿部真央
2018年06月号掲載
ASCA
阿部 真央
インタビュアー:杉江 由紀 Photo by 上溝恭香
-経験と時間の経過によって、人間的な成長を経て、よりいろいろなことを飲み込めるようになったということなのかもしれません。
阿部:そういう変化を自然に受け入れることができると、自分のことを好きになれたりもしますしね。自分はこういう感じなんだな、ということが今はようやくわかった感じなのかな。それもあって、私の音楽は多くの女性たちに支持していただけているんじゃないかと思います。ライヴの場でも、圧倒的に女の子のファンが多いんですよ。ほんと私、女の子にはモテるんですよ(笑)。
ASCA:ほんとにそうですよね。女の子に好かれるってわかります!
阿部:おい! そこ、全肯定かーい(笑)!
ASCA:あ、違います。そういう意味じゃないです(笑)。だって、さっき写真の撮影を一緒にさせていただいているときも、真央さんって振る舞いがとっても紳士なんですよ。私に対しても、レディ・ファーストというか。男前で素敵なんです!
阿部:あー、男前っていうのはよく言われます。だけどね、実はASCAちゃんにもそれを私は感じるところがありますよ。さすがに男前とまではいかないにしても、すごく気を遣える人だし、周りをちゃんとよく見てるでしょ。それに素直。彼女は愛されるキャラだと思います。自分がASCAちゃんと同じくらいの歳のときに、このくらい素直だったら、もっといろんなことが楽にできただろうなって。そこはちょっと羨ましいし、お話をしていても楽しいし、しっかりしているし、素敵な女性ですよ。
-ではここで、あえてこの質問もさせてください。先ほど、阿部さんはASCAさんの歌った「Don't leave me」を絶賛されていました。しかし、一方でもし"ここはもっとこう歌ってくれればもっと良くなると思う"と感じた点があったとしたら、その点についてもぜひうかがいたいです。
阿部:うーん......パっとは思いつかないな。あー、強いて言うならそこは私自身も上手くできていないんですけど、英語の発音くらい? どうしても、そこはネイティヴじゃない人間にとっては難しいので。だけど、そこだけですよ。歌そのものに関しては、まったく何もないです。今までのASCAちゃんには、こういう弾き語り形式のシンプルなアレンジの楽曲ってなかったと思うので、それによってASCAちゃんの持っている声の良さが存分に引き出された仕上がりになっていると感じますね。
-たしかに。
阿部:今回の『凛』の表題曲もそうだし、それ以前のシングルでも基本的にはたくさんの音が鳴っている中で、ASCAちゃんが歌をバーン! と聴かせている良さは充分に出せていたと思うんです。ただし、音って重なれば重なるほどごまかせると言えば、ごまかせてしまうケースも多いんですよね。そういう面から言うと、ASCAちゃんみたいに実力のある人ほど、削いだ音の中で歌う方が、その人の良さが浮き彫りになると思うんですよ。だからこそ、「Don't leave me」のようなピアノの音と彼女の歌だけで構成していくような曲は、ASCAちゃんの声の良さと歌唱力をより味わえますよね。特に、途中の2コーラス目でジャジーになるところの歌い回しなんてすごくいいですよ。ちょっと外国人ヴォーカリストみたいな感じでね。あれはどうやって練習したの?
ASCA:あれも高校生のレッスン時にやっていたものなんです。そのころから、ジャジー系には走っていたので(笑)。
阿部:だからそこがすごいよね。そんな若いころからいろんな歌い方を試そうとする姿勢を持っていた、というのが。さっきも、この対談の前に少し話をしていたら"口語のように喋るように歌ってみたこともあります"とか彼女は言うんですよ。一応、私も"喉が器用"と呼ばれている身ですけれども、それだけいろいろな歌い方ができるというのはアーティストとして圧倒的な強みだと思いますね。
ASCA:ありがとうございます。今いただいた言葉を励みに、これからも頑張ります!
-なお、少し先のお話にはなりますが阿部さんは年末にツアー(11月より開催予定の"阿部真央らいぶNo.8")を控えていらっしゃるそうですね。ここまでキャリアを積まれてきたうえでの、ライヴにおけるご自身のポリシーとはどのようなものになりますか。
阿部:そうですねぇ。"感謝"、これに尽きます。
-実にシンプルですね。
阿部:どう歌おうとか、上手く歌おうとか、そういうことを先に考え出すと私の場合はかえって良くないんですよ。何しろ、ライヴというくらいなのでその場に来てくださった方たちには、生の歌をしっかりとお届けしなくてはならないわけです。そして、人って歌からは上手い/下手とか以上にそこにこもっている気持ちというものをダイレクトに感じるものだと思うんですね。じゃあ、自分がライヴに集まって来てくれる人たちに向けてどんな気持ちを伝えたいのかといったら、それは何よりも感謝になるんです。私の曲を聴いて、いろんなことをいっぱい感じてくれて、好きでいてくれてありがとう。クサい言い方をすると、みなさんからいただいている愛をパワーにして、私はそれを感謝という気持ちでお返ししたい、という気持ちでいるんです。そこがまさに、初期のエゴの押しつけが強かったころの自分とは明らかに違うところなんですよ。
ASCA:勉強になります。私もつい、ライヴの前にはいろいろと考えすぎてしまうところがあるんですけど、ライヴでお客さんたちを目の前にすると、一番に自分が心掛けないといけないのは、その方たちのことを精一杯の力で楽しませることだなって思うんですよ。今の真央さんのお話を聞いていて、私もそこに徹していきたいなと改めて思いました。大切なお話を聞くことができて嬉しいです。さすがは"神"!
阿部:えへへへ(笑)。ちょっと先輩面しちゃうけど、でもそこは忘れちゃいけないところだからね。"大事にしているのは感謝です"って、今度何かのインタビューでそのまま言ってもいいよ(笑)。
-阿部さんの懐の深さには感服です! そして、ここはその懐の深さに乗じてひとつご提案をさせていただいてもよろしいでしょうか。このたびはASCAさんとのご縁もできたということで、いずれツーマン・ライヴなどで共演されているところを観てみたいのですが。
阿部:全然ありですよね。あとは、もしやるなら曲があった方がいいかな。要するに、そこは双方のファンに対しての具体的なメリットがあった方が、周りの大人も動きやすいし(笑)。せっかくだし、タイミングさえ合えばイケると思います。
ASCA:うわー、嬉しいです! ぜひぜひよろしくお願いします!
阿部:楽しそうだよね。いつか実現させたいなぁ。そういう面白いことを可能にさせるためにも、これからもお互い頑張りましょ♡
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