Japanese
パスピエ×神様、僕は気づいてしまった 座談会
2017年10月号掲載
10月18日にニュー・ミニ・アルバム『OTONARIさん』をリリースするパスピエと、神様、僕は気づいてしまった(通称:神僕)のスペシャル座談会が実現した。今年5月のメジャー・デビューでドラマ"あなたのことはそれほど"の主題歌に「CQCQ」が抜擢された神僕は、パスピエが生み出すサウンドの構築美に熱いリスペクトを寄せているという。活動初期のパスピエはメディアに顔出しをせず、謎の音楽家集団と呼ばれていた経緯もあり、そこに共通点もある2組。この対談が初対面だったが、互いの音楽を鋭く分析し合い、浮き彫りになるキーワードは"策士"だった。偶然と必然の間で、自分たちの音楽を探求する2組の濃厚インタビュー。
パスピエ:大胡田 なつき(Vo) 成田 ハネダ(Key)
神様、僕は気づいてしまった:東野へいと(Gt) 和泉りゅーしん(Ba)
インタビュアー:秦 理絵
-今回は、パスピエと神僕がお互いに"ぜひ話してみたい"とのことで実現したんですよね。
東野:ものすごく影響を受けすぎているので、逆に会いたくないくらいです(笑)。
-"会いたくない"って(笑)。
大胡田:そうなの(笑)?
和泉:最初はパスピエさんも匿名性を打ち出してるバンドだったので。デザインも全部大胡田さんがやられてるじゃないですか。音楽だけじゃなくて、ビジュアル面とかも含めてトータルでバンドの見せ方を考えてやっていく感じも近いんじゃないかと思ってます。
-神僕は、パスピエを知ったきっかけは何かあったんですか?
東野:僕らのマネージャーをやっているスタッフは、昔から仲が良かったんですけど、そのスタッフがパスピエさんの『わたし開花したわ』(2011年リリースの1stアルバム)の時代から好きで、教えてもらって聴くようになったんです。そのころ、まだ僕は音楽をやってなかったんですけど、"すごいバンドがいる"っていう話をしてたんですよね。
和泉:僕も「電波ジャック」(『わたし開花したわ』収録曲)のPVが流行り出したときに聴きました。
-パスピエのどういうところに魅力を感じましたか?
東野:シティ・ポップっぽさとか80年代のプログレっぽさ、あとは海外のドリーム・ポップっぽいところとか、日本にはない感じですね。こういうオシャレなバンド・サウンドって、乱暴な言い方をすると、シティ・ポップに収められがちですけど、それも違うというか。
和泉:なのにギターはすごくロックだしね。
東野:まったく周りにはいないバンドだったんです。
成田:嬉しいなぁ(笑)。
大胡田:こういうことを面と向かって言われたことがなかったので、いま驚いてます。
東野:そうなんですか? 僕たちの周りはパスピエを好きな人がいっぱいいるから、これを言っても、もう耳にタコができるぐらいじゃないかって思ってたんですよ。だから、今日は何を言ったらいいのかな? と思いながら来たんです。
成田:僕、わりと性格が歪んでいるので、こないだ神僕がリベリオン(a crowd of rebellion)と対談している記事を見て、"あ、パスピエもなのかな"と思ってました(笑)。でも、すごいちゃんと聴いてくれてる。疑ってた自分が恥ずかしいですね。
大胡田:完全に心を許しちゃいます。
-逆にパスピエは神僕のことは知っていましたか?
成田:名前は1回見たときに記憶に残ってたんですけど、僕、"あなたのことはそれほど"を観てたんですよ。だから、"この曲を歌ってるのが、彼らなんだ"っていうのを知って、繋がったんです。今回このタイミングで、アルバムを聴かせてもらって、すごく......ちょっと待ってください。メモってきたんです。(※ポケットからメモを出す)
和泉:えーっ!
-メモが出てきました(笑)。
成田:すごく作り上げられてると思ったんです。ある種、策士な部分もあるし、いろいろなカルチャーとの親和性もあるし。最初に「CQCQ」(神様、僕は気づいてしまったの2017年5月リリースの1stシングル表題曲)を聴いたときに作家性を感じたんですよね。削ぎ落してるなあっていう印象があって。でも、『神様、僕は気づいてしまった』(2017年7月リリースの1stミニ・アルバム)で他の曲を聴くと、全楽器がエモーショナルに暴れたりする曲も多いから、この曲だけ割り切って作ったのかなと思ったんです。それが逆に裏切られたなっていうか。メンバーそれぞれの引き出しも多いし、熱量もすごくて。
東野&和泉:あ、ありがとうございます!
大胡田:私は、メロディと歌詞と楽器の音が一緒になると、そこに世界ができあがるバンドだなって思いましたね。東野さんが作曲も作詞もされてるんですよね?
東野:そうですね。ヴォーカルも何曲か作詞作曲をやるんですけど、基本的には僕が。
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