Japanese
パスピエ
Skream! マガジン 2019年08月号掲載
2019.07.15 @Zepp Tokyo
Writer 秦 理絵
結成10周年イヤーと言えば、多くのアーティストが"アニバーサリー・ツアー"などを開催して、祝祭感のあるライヴで、ファンとメモリアルな時間を共有したりもするが(それも素晴らしいことだが)、パスピエの10周年はそうじゃない。"お祭り"ではなく、"最新のバンドの音"で、バンドの10年目を邁進する道を選んだパスピエは、今年5月、新たな挑戦を詰め込んだバンドの新機軸となるフル・アルバム『more humor』をリリース。そのアルバムを携えた全10公演のツアー[パスピエ TOUR 2019 "more You more"]のファイナルとなったZepp Tokyoは、これまで最新こそバンドの最高地点であるという理想を何度も更新し続けてきたパスピエの、結成10年の到達点とも言えるライヴだった。
最新アルバムの中でも、とりわけ肉体感のあるロック・ナンバー「だ」からライヴはスタートした。アルバム・リリースのタイミングで、トレードマークだったロング・ヘアーをばっさりと切った大胡田なつき(Vo)が、大胆且つ繊細に4つの楽器が重なるバンド・サウンドの上で、踊るようにメロディを紡いていく。大胡田の"ギター!"という声を合図に三澤勝洸(Gt)が一歩前に歩み出て、メタリックなギター・プレイが炸裂した「術中ハック」に続き、イントロの一撃で会場の熱狂をかっさらった「音の鳴る方へ」では、露崎義邦(Ba)のスラップ・ベースが躍動感を加速させる。サポート・ドラムに佐藤謙介を迎え、互いの演奏をしっかりと感じ合いながら高ぶる気持ちを音へとぶつける姿は、一時は"自分たちはバンドなのか?"という自問自答を繰り返す時期もあった彼らが、まぎれもなく唯一無二のロック・バンドであることを証明するものだった。
成田ハネダ(key)によるクラシカルなピアノとシンセが絡み合った「(dis)communication」から、楽器隊がひとりずつ加わる昂揚感が心地よい「ユモレスク」へと、中盤にかけても、芸術的なまでに崇高で美しく、同時にポップ・ミュージックとしての親しみやすさを兼ね備えたパスピエの楽曲たちが次々に披露されていく。アルバム曲を中心にしながら、それ以外の楽曲は、パスピエの10年間をオール・タイムで感じられるバランスのいいセレクト。中でも素晴らしかったのは、最新アルバム『more humor』の中で新しいパスピエを象徴するナンバー「ONE」だ。大胆にシンセを打ち出し、現行のポップ・シーンのトレンドに目配せしながら、これまでのパスピエとも地続きにあることを感じさせる楽曲からは、今の4人であれば、どんな音楽もパスピエにできる、そんな揺るぎない自信が伝わってくる。
12曲目まで駆け抜けたところで、"ちょっと待って、楽しいんだが(笑)?"と大胡田。ほとんどMCを挟まず、ひたすら音楽に没頭するライヴは、時に浮世離れした雰囲気を感じるほど音楽に夢中で純真なパスピエらしいなと思う。和の赴きを感じる艶やかで上品なメロディが踊る「resonance」から、シューゲイザーのように混沌を描いた「煙」、大胡田が、ゆったりと刻む3拍子を優しく愛撫するようにしゃがみ込んで歌った「waltz」へと、曲ごとにくっきりと違う輪郭を描く楽曲たち。囃子のリズムが一斉に会場を躍らせた「つくり囃子」を皮切りに、アッパーな曲を畳み掛けた後半では、メンバー同士が目を合わせて表情を綻ばせながら演奏をする姿が目立った。"もうちょっと踊ろうか"。大胡田がお客さんに対して親しい友人を誘うように語り掛けた「オレンジ」では、成田がのけぞるようにしてキーボードを弾く。
ラスト1曲を残したところで、"こういうことを言うのは、バンドのキャラじゃないけど......"と前置きをしてから語り掛けた大胡田。"『more humor』っていうアルバムは、正直、一生懸命作ったから! みんなが音を聴いて、ライヴに来てくれて本当に嬉しいです"と素直な言葉で感謝を伝えると、ずいぶん長いこと客席からの拍手が鳴りやまなかった。ラスト・ソングは「始まりはいつも」。開放的なサウンドに乗せて"いつまでだって別枠でいようね"と歌う楽曲には、体のいい正論や安易な方法論に抗い、どこまでも独自の音楽を追求するバンドの決意とリスナーとの絆が、大胡田らしい言葉で綴られている。そこには、"10周年だから"という節目に特別を求めないパスピエというバンドの、それでも"10周年だからこそ"の伝えたい熱い想いが、しっかりと刻まれていたと思う。
アンコールでは、"10年バンドをやってて良かったなと思います。でも、まだまだやります!"(三澤)、"最高だよね、こうやってツアーを回って"(露崎)とメンバーそれぞれが、間もなく終わるツアーへの感慨を滲ませて「トキノワ」を披露。続けて、大胡田がミュージカル歌手のように朗々と歌い上げる壮大なナンバー「恐るべき真実」で、ライヴのエンディングに訪れる歓喜と興奮をどんな言葉よりも雄弁に表現して、約2時間にわたるライヴは幕を閉じた。だが、鳴りやまない会場からのダブル・アンコールに応えて再びメンバーが登場。"さっき最後って言ったじゃん"と嬉しそうに笑う大胡田の言葉のあと、遊び心溢れる性急なショート・チューン「ギブとテイク」で、本当にライヴを締めくくる。
時代の機微を感じながら、それでいて時代に流されず、真面目に、ストイックに、音楽的なユーモアを忘れずに、ここまでの10年間を全力で駆け抜けてきたパスピエ。そんな彼らのあり方が詰まったこの日のライヴは、"これからもきっとパスピエは、私たちに未知の音楽体験をもたらすバンドであり続けてくれる"という強い確信を得られる一夜だった。
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