パスピエ×神様、僕は気づいてしまった座談会

INTERVIEW

Japanese

パスピエ×神様、僕は気づいてしまった座談会

2017年10月号掲載

神様、僕は気づいてしまった

Official SiteX

パスピエ：大胡田なつき（Vo）成田ハネダ（Key）
神様、僕は気づいてしまった：東野へいと（Gt）和泉りゅーしん（Ba）
インタビュアー：秦理絵

－パスピエは作曲が成田さんで、作詞は大胡田さんだから、やり方が違いそうですね。

大胡田：どこのだれかさんっていうヴォーカルの方が歌うのを念頭に置いて歌詞を書くんですか？

東野：あぁ、そうなのかな。そこは、あんまり考えてないかもしれないです。強いて言うなら......たまにヴォーカルがメロディを変えて歌うんですよ。でも、それでヴォーカルらしさが出てるのかなと思いますね。

－そういうことってパスピエもあるんですか？気がついたら、大胡田さんがメロディを変えて歌ってる、みたいな。

大胡田：ないない（笑）。

成田：ないかなぁ......。それはどこの段階で気づくの？レコーディングでいきなり試すみたいな？

東野：僕たちは、結構ギリギリで音源ができあがるので、音源が仕上がる直前ですかね。

成田：なるほど、そうなんだ（笑）。

－パスピエと神僕の共通点というと、やっぱりバンドの印象として非常にコンセプチュアルな感じがあって、顔を出さないっていうのがありますよね。

成田：僕らは途中で離脱しましたけどね。

和泉：顔を出されましたもんね、びっくりしました。

－もともとパスピエは顔を隠そうって決めて始めたわけじゃないんですよね。

和泉：え、そうなんですか！？隠したくてやってたんじゃないんですか？

成田：なんて言うか、最初に、大胡田がイラストを描くのが得意だったから、メンバーの顔を描いて、それをアーティスト写真にしたら面白いんじゃない？ってやり出したのがきっかけなんですよ。それこそ「電波ジャック」のときもそうで。そしたら周りから"正体不明のバンド"って言われるようになって、僕ら自身が乗っかっていったという部分が大きいんです。

和泉：そうなんですね。

－逆に神僕は意図的に隠していますが、どうしてですか？

和泉：エモい表情で弾いてるのを出したくないんです。

東野：バンド・サウンドっていう表現は、自分が通ってきたから好きなんですけど、バンド・サウンドをやってるアーティストに対する狂信的なところが好きじゃなくて。それは、僕のわがままなんですけど。もう少しドライになるために、顔を出さないようにしてるんです。

和泉：ダイレクトに楽曲の方にアクセスしてほしいっていうのはありますね。

成田："狂信的"っていうのは、どういうことですか？

東野：うーん......なんて言えばいいのかな、"自分の生活の一部を切り取ってなんぼ"みたいになっているというか。そこに僕は結構失望し続けてきたんです。

成田：ライヴはどうやってるの？

和泉：ライヴも（マスクを）つけてます。

大胡田：歌も？

和泉：ライヴ用に改良したマスクで歌ってますね。かなり暑いんです。

東野：この間、30分だけライヴやらせてもらって、これ、熱中症かな？みたいになって。

和泉：楽屋で全員汗だくになってましたね。

－30分のライヴっていうのは"SUMMER SONIC 2017"ですよね。バンドの初のライヴ。

成田：そうなんですか！？

東野：はい、単純にラッキーでした。

－サマソニでは紗幕を使ったんでしたっけ？そこに歌詞を映し出して。

東野：はい。

成田：じゃあ、紗幕の向こうでは素顔なんですか？

東野：いや、ライヴ用のマスクを被ってます。

大胡田：すごい厳重......。

東野：いまは二重セキュリティの時代ですからね（笑）。

－だから、神僕の方がライヴでも素顔を隠すっていう点では徹底してますよね。

成田：どちらかというと、僕らはライヴに関しては野ざらしの状態でしたからね。逆に、ライヴに来たら、パスピエというものの実態がわかるよっていうのを面白みとしてやってきたので。そこに別の楽しみをとっておいてたんです。でも、いまはライヴ・ビューイングとかもあるなかで、映像の処理だけでやり続けるのが大変になってきたんですよ。

大胡田：普通にライヴでは顔を出していたので。

成田：でも、神僕の場合は、メディアにもそのまま出ていけるから、どっちにも転んで進んでいけるのはいいなっていうのはありますね。ただ徹底してるぶん、もしも、被っているものを外したいっていうタイミングが来たときに、そのハードルは高い。そのぶん決意を持ってやってるっていうのは、すごいことだなと思います。

大胡田：この先、ライヴはどういうふうにやっていきたいと思ってるんですか？

成田：そもそもライヴに重きを置いてないとか？

東野：僕らは叩き上げみたいなタイプじゃないんですよね。下積みもなくメジャー・デビューしたし。だから、そういうバンドの熱さみたいなところじゃなくて、もっと俯瞰してみたときに、意味があるライヴだったらやりたいというか。それよりも楽曲を発表することに意味があるんだったら、ライヴはやらなくてもいいと思ってるし。

和泉：そうですね。