Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

神様、僕は気づいてしまった

2018年10月号掲載

神様、僕は気づいてしまった

Member:どこのだれか(Vo/Gt) 東野へいと(Gt) 和泉りゅーしん(Ba) 蓮(Dr)

Interviewer:秦 理絵

新人ながらドラマ主題歌に抜擢され、衝撃のデビューを果たした、神様、僕は気づいてしまった。昨年のメジャー・デビュー以降、大型フェスに出演するなど、ライヴ・シーンでも確実に爪痕を残している神僕が、約1年ぶりのCDとなるシングル『ストレイシープ/匿名』をリリースする。映画"オズランド 笑顔の魔法おしえます。"の挿入歌となった表題曲は、それぞれ異なるメンバーが作詞作曲をしているが、どちらも"自分の居場所を探す"というバンドのテーマにも通じる楽曲になった。最近は作品の方向性で悩むこともあったという彼ら。以下のインタビューは、新作について触れながらも、神僕が"バンド"になっていくドキュメンタリーを見ているような内容になったと思う。

-年末のイベント(2017年12月28日~31日に開催された"COUNTDOWN JAPAN 17/18"/神様、僕は気づいてしまったは31日に出演)で初めてライヴを観させてもらったんですよ。たくさんお客さんが入っていて、神僕(神様、僕は気づいてしまった)の注目度の高さを感じました。

蓮:本当ですか?

和泉:僕らはマスクを被ってるし、紗幕もあるから、遠くまでは見えないんですよ。

-もともと神僕は"ライヴに重きを置いてない"って言ってたじゃないですか。ライヴで成長していく過程を共有するよりも、ひとつのショーとして完成度の高いライヴをやりたいって(※2017年6月号掲載のインタビューにて)。実際にライヴをやってみて心境の変化はありますか?

どこの:モチベーションが上がってるよね。もともとマスクをしてライヴをするイメージができなかったんですよ。でも実際にやってみて、"こういうかたちになるんだ"っていうのが見えてからは、"あ、ライヴというかたちでも、自分たちの表現ができるな"っていうことを見つけられたような気がするんです。それを本当に実行するかは別なんですけどね。

-ライヴ中にお客さんの反応が見えづらいのは残念だけど、歓声が届いたり、終わったあとに"良かったよ"って言われたりはしますよね?

蓮:ライヴ中もお客さんの声は耳に入ってくるので、"あ、この曲をやったら嬉しいんだな"とか、そういう反応はわかります。

和泉:みんな「CQCQ」(2017年5月リリースのデビュー・シングル表題曲)歌ってくれるしね。

蓮:大合唱が起きるんですよ。お客さんが喜んでくれてるのはわかる。

-そういうものを実際に味わったからこそ、ライヴに意味を感じてるんでしょうね。

蓮:あと、神僕の曲はライヴでやるのが楽しいなと思いましたね。

-他にメジャー・デビューしてから1年が経って思うことはありますか?

東野:種蒔きは終わって、個人的には停滞期に入っているなっていう感覚がありますね。

-まずはドラマ"あなたのことはそれほど"の主題歌になった「CQCQ」の手応えもあって、デビューの段階ではいい状況を作れた、と。

東野:もっと自分に鞭を打っていかないとなっていうのは、個人的には感じています。

どこの:単純に「CQCQ」を出してから、僕らが曲を出す頻度が減ったんですよ。「CQCQ」を出すまでは、「だから僕は不幸に縋っていました」「僕の手に触れるな」(2017年7月リリースの1stミニ・アルバム『神様、僕は気づいてしまった』収録曲)、「CQCQ」のミュージック・ビデオを立て続けに出してきて。そのあとシングル(『CQCQ』)とミニ・アルバム(『神様、僕は気づいてしまった』)を出して、「わたしの命を抉ってみせて」(『神様、僕は気づいてしまった』収録曲)のミュージック・ビデオを出したけど、そこから間隔が空いちゃっていたんですよ。自分のイメージだったら、『CQCQ』の流れでモチベーションが上がったところで、畳み掛けるように活動していきたかったんだけど、うまく足並みが揃わなかったというか。あと、「CQCQ」が思いのほか反応が良かったんですよ。

-あれはメンバーの予想を超えるものだったんですか?

どこの:僕たちとしては、もっとコツコツやっていこうねっていう気持ちだったんですが、まさかの3曲目で想像していたよりずっといい反応をいただいて、"次、どうしよう?"っていう感じになってしまったんです。そこからいろいろと模索して、『神様、僕は気づいてしまった』ではいろいろなジャンルの曲を出したんですね。だから、今は手探りで正解を探しているところというか。

-それは意外ですね。神僕は登場したときから、バンドのコンセプトも固まっていたし、曲にもスタンスにも迷いが一切なかったじゃないですか。

どこの:作曲をしてくれている東野は、自分の中でうまくいったものがあると、それに反するものを作ろうとするところがあるんですよ。

-ええ、わかるような気がします(笑)。

どこの:「CQCQ」がうまくいった。そうすると、それまではギター・ロックっぽいところで進んでいたのに、急に雰囲気を変えてくるわけですよ。でも、変えてくるのもわかるというか。ヒットした自分に対して、それとは別の自分でぶつかっていきたいタイプなんですよね。それで、僕も"曲の方向性が変わったね"って言ったことがあって。

-普通は「CQCQ」がうまくいったら、そのような曲を作るのが常套手段みたいなところはありますけど。

どこの:でも、(東野が)それを嫌がるのはわかるんですよ。僕も嫌なので。

-東野さんとしては、どういう意図で曲の方向性を変えようとしてたんですか?

東野:僕は、神僕をこういうバンドにしていきたいっていうのを、ずっと考え続けたいなと思っているんです。それで、「CQCQ」の次はどうしたらいいのかな? とか、もっと言うと、5年後、10年後、どういうバンドになりたいんだろうな? みたいなところを考えて、1stミニ・アルバムではいろいろな曲を書いてみたんですね。3人には申し訳ないけれど、そのころは自分ひとりでやっていた感覚が強かった。

どこの:うん。

東野:でも、やっぱりひとりでやっていると、余計にわからなくなるんです。だから、今は4人で意見を出し合いながらやっていくべきなのかなとは思っていますね。

どこの:たぶん僕らは、彼に頼りすぎていたところもあったと思うんです。

-なるほど。『神様、僕は気づいてしまった』というミニ・アルバムで神僕がいろいろな曲に挑戦したことも、とても意味があったと思いますけど。

どこの:そうですね。「CQCQ」がうまくいったところで、同じような曲を作ってたら、僕たちはそれしかできなくなっちゃってたと思うんです。でもあそこで"こんなこともできるんだよ"っていうのを見せることができたから、これからはその範囲が広がった状態で曲を作れる。速い曲を作るなら速い曲しか作っちゃダメとか、そういうバンドのパブリック・イメージみたいなものを早い段階から崩してくれたのは、むしろいいことなんじゃないかなと思っていますね。