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INTERVIEW

Japanese

ラックライフ

2016年11月号掲載

ラックライフ

Member:PON(Vo/Gt)

Interviewer:秦 理絵

-それが"この道を行くのは/僕が決めたんだから"っていう部分に通じるわけですね。

そうですね。これはライヴハウスの歌で、お客さんとの関係を歌にしたんです。僕がこうやって落ち込んだり、悩んだりしながら、夜中に川に行ってアコギを掻き鳴らして曲を生み出していたりするのを、お客さんは知らないじゃないですか。でもそれと同じで、観に来てくれてる人たちの名前を僕は知らないし、何をしてる人かも知らん。どんなことを頑張ってて、どんなことがつらいのかもわからん。けど、ライヴハウスの中にいると、そこで観てくれてる人が何をしてる人であろうと、僕には関係ないし、どうでもいいんです。でも、頑張ってほしいんですよね。

-"僕には関係ないし"って言うと、ちょっと冷たい言い方のようにも聞こえますけど、たしかにそういう不思議な関係性がライヴハウスにはありますよね。

この矛盾した感じは変やけど......なんでなんですかね。そのあと、連絡を取り合うとかじゃないんですよ。ここで自分が歌うことも自分のためにやってるし、元気になってほしいと思いながら歌ってるんですけど。全然関係のない人が笑ってくれるだけで、すごく自分のパワーになる。それが自分のガソリンやと思ってるんです。"お前も頑張って幸せになれよ"っていう気持ちばっかりです。だから、俺は俺で頑張るし。"またライヴハウスで、一緒に楽しいことしようね"っていう、とてもシンプルな話なんですね。

-関係ない誰かに幸せになれよって思えるのは、やっぱりPONさんが根っからのミュージシャンだからなんじゃないですか?

うーん、シンプルに俺はいい奴なんだと思います(笑)。

-いい奴って、自分で言うんですね(笑)。

めっちゃいい奴なんですよ。全員幸せになればいいと思ってるんで。居酒屋でバイトをしてたことがあるんですけど、やたら楽しそうな大学生とかいるじゃないですか。ちょっと鬱陶しい感じの。"1回で(注文を)頼めや、お前ら"みたいな(笑)。でも、楽しそうやからそれもいいと思うんですよね。俺、それを見て嬉しくなるんですよ。もちろんイラッともしますけど、そういうタイプなんです。だから、みんな幸せにならなあかんと思ってて。えっと......何の話やったかな?

-ライヴハウスではみんなに幸せになってほしい、という話です。

そう。だから、自分に触れる人はみんな幸せじゃないと嫌なんですよね。ライヴハウスはそういう場所じゃないとダメだと思うんです。世界中がみんな幸せになるなんて難しいかもしれないけど、自分がいるライヴハウスっていう世界ぐらいは、そうしていきたい。自分が生きてる日常の中では、みんなが幸せになってほしいと思うし。そういう世界をちょっとずつちょっとずつ広げていきたいな、と思うんですよね。

-その方法が音楽だったと。

そうですね。でも、音楽をやってなくてもそう思ってたと思います。俺は音楽がなくても幸せに生きていく自信はあるんですよ。でも、ひとつ幸せを見つけちゃったから。これでできるところまで、みんなと一緒に幸せになっていきたいんです。

-わかりました。「デイルニハ」は、ゆったりとしたテンポで聴かせるミディアム・ポップですね。さっきはミスチルっぽいって言ってましたけど......?

コード進行の類とかでこんな感じかなってイメージしたんです。自分の中に今までなかった引き出しを使っていきたいなと思ったんですよ。こんなにルートが変わるの? とか思いながら作りました。難しかったですね。そういうチャレンジもしつつ、あんまりバーンってならへんような、じんわりした曲を作りたいなと思って作った曲ですね。

-タイトルの"デイルニハ"は、"僕でいるには、君が必要"という意味ですね。

そうですね。これはメジャー・デビューが決まったときのことを歌にしたんです。「デイルニハ」に関しては、音楽とはまったく別の、僕自身が生きてる日常の周りにいてくれる人――家族とか、友達とかに対して歌っていて。そういう人たちは、普段あんまりバンドのことを聞いてこないんですよ。"最近どうなの?"とか"CD売れてるの?"とか、そういう詮索を全然しなくて。だからどっちかって言うと、僕が不安になるんですよ。"俺のこと、みんな応援してくれてる? 結構頑張ってんねんけどさ"みたいな感じになるぐらい。そっとしてくれるんですよ。

-それが、居心地がいいんですね。

そうなんですよ。でもそういう人たちに、"今度メジャー・デビューすることが決まったよ"って言ったら、もう涙を流しながら喜んでくれて。こんなに応援してくれる人がそばにいてくれて、ほんまに良かったと思ったんです。普通に生きてる自分も自分やし、ライヴハウスで音楽と一緒に生きてる自分も自分やし。普段の自分をちゃんと支えてくれてる人がいるからこそ、胸を張って歌えるんですよね。だから、その人たちへの感謝というか、"ありがとう"の気持ちを込めたラヴ・ソングなんです。

-なるほど。実は「journey」と「デイルニハ」は似た曲だなと思ってたんですね。方向性は違うけど、どちらも周りの人に幸せになってほしいと思ってる曲だから。

そうなんです。要は、みんなに幸せになってほしい。