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INTERVIEW

Japanese

ラックライフ

2016年08月号掲載

ラックライフ

Member:PON(Vo/Gt)

Interviewer:秦 理絵

-それでも「夜の海」の最後も"新しい朝に/向かい渡る夜の海"で締めくくってて、希望の見える形になってますよね。

だから結局どんなモチベーションで歌っていようと、最後にはちゃんと"渡る"んですよね。それがラックライフの特徴なんです。最後に光が見えないと、歌ってる意味がないと思っちゃうんですよ。もちろんずーっと闇の曲もあるし、バッド・エンドで終わる曲も世の中にはたくさんあって、それも聴くぶんにはいいんですけど、自分がステージに立って、音楽で何かを伝えようと思うのなら、最終的にはちょっとは前に進んでいたいんです。聴き終わったときに、その人の足取りが軽くなるような、胸がスッとするようなバンドでありたいなと思うんですよね。じゃないと、"ラックライフ"なんてバンド名つけないですよね。

-では、最後にTrack.3「ソライロ」について。この曲はPONさんがふと空を見上げながら昔を懐かしむような、ミディアム・テンポの優しい曲です。

これは妄想がひとつも入ってないんです。僕らは大阪の高槻RASPBERRYというライヴハウスの出身なんですけど、その近くには茨木JACK LIONとか関大前TH HALL、寝屋川Vintageっていう地元密着型のライヴハウスがたくさんあったんです。高校の軽音部はこぞってそこに出演みたいな。僕らもそこでコピー・バンドから始まってるんですけど。高校を卒業してもうすぐ20歳になるときに、僕は弾き語りを始めたんです。そのときに、同世代のシンガー・ソングライターとめちゃくちゃ仲良くしてもらって。その中によく一緒にライヴをやっていた赤いキーボードを弾く同い年の女の子がいたんですよ。

-歌詞に出てくる"赤いキーボード捨てた"女の子?

そうなんです。だけど、バンドを一生懸命やるにつれてだんだんそういう人たちと会えなくなって。でもある日、たまたまその赤いキーボードを弾く女の子に会ったんです。それで、今何をしてるか訊いたら、"仕事をしてる"って言ってて。しかも"ラックライフ、YouTubeとかで見てるで"って言ってくれたんです。"もう最近は歌ってないん?"って訊いたら、"全然歌ってないねん、時間ないし......"って言って帰ってったんですけど。その約2ヶ月後に、また偶然会って"PON君、聞いて。昨日キーボードを処分してん"って言われたんですよ。それがめっちゃ悲しかったんです。別に処分までせんでもよかったんちゃうかなとも思ったし。そのとき"もし昨日PON君に会ってたら、処分してなかったかもしれんわ"って言われて。それがショックだったんですよね。キーボードを捨ててしまう行為に至ったのは、少なからず自分のせいでもあるんじゃないかと思って。

-本来はそこまで背負い込む必要もないのに?

そう思っちゃったんですよね。その2ヶ月前に会ったときに"また一緒にやろうな"って言えてたら、その決断まで至ってなかったかもしれんし。その子は、毎週路上ライヴしてるシンガー・ソングライターや、月に10~20本ツアーを回るバンドではないんですよ。月に1回地元の小さなライヴハウスで10~15人のお客さんを前にして自分の歌を歌うだけの活動なんです。それでもライヴが終わったあとには一緒に"もっとこうしたらいいかな?"とか一生懸命考えて、自分たちの伝えたいことはどんなことやろう?って朝まで話したりしてて。年明けにはみんなでアコギ8本ぐらい持ち寄って駅で歌うとか、そういうアホなことをしてたんです。

-そういう場所がラックライフの原点なんですね。

だから毎週路上ライヴをやってる人だけがシンガー・ソングライターじゃないし、ツアーをバンバン回ってる人たちだけがバンドじゃない。そういう場所で僕らは育ったんですよね。そういう日があったことを忘れるのは怖いなと思いました。今の僕らがあるのは、そういう日があったからだし、みんなにも忘れてほしくないんです。正直、もうみんな全然歌ってないんですよ。音楽から離れてしまって、家庭を持ったり、仕事をしてたりするけど、たまには思い出してほしいなと。「ソライロ」はそういう歌です。

-メジャー・デビューしてこの曲を歌うのもまた大きな意味がありますね。

この曲は去年から歌ってたんですけど。これを歌うとめっちゃ悲しくなるんですよね。今も話してて泣きそうになりましたけど(笑)。

-もしPONさんだったら音楽を辞めるとき、ギターは捨てようと思います?

うーん......捨てるかな。だって、目の前にあったらやりたくなるでしょ? あ、でもね、俺、ライヴでずっと使ってるギターは音楽を辞めてしまった先輩に譲ってもらったんです。"PONちゃん、このギター使ったって。デカいステージに持ってってや"って言われたんですよ。だから、もしそうなったら誰かに譲るかもしれないですね。

-今年に入ってからでメジャー・シングルを2枚発表されましたけど、前回のアルバムから1年以上経ってますし、そろそろアルバムも聴きたいなと思うのですが。

出したいですね。そのためには、今回ポンポンとシングルを続けて出してストックも残ってないので、めっちゃ曲を作らなきゃいけない感じです(笑)。やっぱり曲を作るのは楽しいですし、今回は新たな想いもあるので。頑張って作りたいなと思います!