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INTERVIEW

Japanese

ラックライフ

2016年05月号掲載

ラックライフ

Member:PON(Vo/Gt)

Interviewer:吉羽 さおり

-無機質なものさえも人が作り出したものだったりもするし、関わらずにはいられないものでもありますね。

そうなんです。たとえ人嫌いだと思っても、絶対に人と一緒に生きなしゃあないし。俺は、人が好きやし。友達とか、大切な人たちもたくさんいるし、ライヴハウスで出会った人たちとか。そういう人との繋がりを大事にしたいなと思っているんです。苦手ですけど(笑)。

-その"苦手"は、"拒絶"ではないってことなんですよね。

好きだからこそ、なんだと思いますね。人と関わるのは怖いことやなと思うし、傷つけたら嫌やし、傷つけられるのも嫌やし、臆病にはなるんですけど。でもやっぱり好きなもんは好きやなあっていう。

-そういう葛藤が、歌になり言葉になるという。先ほどの「名前を呼ぶよ」もまさに、そういうことですしね。

そうですね、ほんまにライヴハウスなんて、知らん人だらけじゃないですか。けど、音楽があるだけであんなにも信頼し合える関係ができる、そんな漫画みたいな美しい話ある?でもそういう中で生きてきて、それよりも美しいものはないと思っているし、それがすごく愛おしく感じました。自分がしんどいときでもそこにおってくれて、しょうもないこと言ってみんなで笑って、泣いてっていう感じで。だからすごく大切にしたいなと思うことばっかりですよね。

-"音楽"ってそこまでのものを築けるんだっていうのは、音楽を始めた当初も思っていましたか?

全然思ってなかったですよ。バンド始めたころなんて面白かったらええし、目立てたらええと思っていて。もはや、歌なんて歌わないで盛り上げに徹したらええんちゃうかなと思っていた時期もありました。けど、そういうのを教えてくれたのはライヴハウスで。そこで出会った先輩が、そういう気持ちでライヴをしているのを見たり、初めてライヴハウスで歌を聴いて泣いたりとか。そういう経験がたぶんラックライフを、PONを育ててくれたんやなと思います。

-初めてライヴハウスで音楽を聴いて泣いた日のことを覚えているんですね。

18歳くらいのときで、シンガー・ソングライターの先輩のライヴを観たときだったんです。わけわからんけど涙が出たんですよね。ただ、その人の気持ちがステージからすごい飛んできている気がして。バーっと歌を身体に浴びたとき、勝手に涙が出て。それって、どういう原理でなるんやろう?って思って、不思議やったなというのはすごく覚えてますね。なんで俺泣いてんのやろ?って。でもとにかく目は離せないし涙は出るし。そういう感覚に出会わせてくれたライヴハウスもすごいなって。

-その感触は、その後の自分にも活きているんですか。

めちゃめちゃ活きていると思います。そのライヴを観てからきっと、自分の中で歌を歌う行為の意味みたいなものを考えるようになったし。目立つだけじゃなくてね(笑)。何か思いを持って、その人にまっすぐ向き合いながら歌うのが、きっと大事なんやろうなって、その人のライヴを通して教えてもらったのもあるし。他の先輩バンドのライヴを観て、バンドがひとつの塊のようになってステージから飛び出してくる音を出せるようになりたいなとか。ライヴハウスで教わったものだらけですよね。

-そうやって今の歌の形、言葉の紡ぎ方や発信の仕方が生まれていったんですね。

きっとあのライヴハウスで育っていなかったら今のこの感じにはなってないやろうし、きっとこんなに続いてないだろうし。だから、地元にライヴハウスがあるってすごくいいなと思うんです。めっちゃフラっと寄りますからね。家みたいな感じですよ(笑)。

-そしてもう1曲がTrack.3「ストレンジマン」。これは、考えごとをしたり、頭の中だけの独り言のようなことを、正直に書いて歌った曲ですね。

そうですね、別に解決したわけじゃないんですけどね(笑)。"不思議やな"って言ってるだけなんですよね、この曲って。これも、10年前くらいに地元のライヴハウスで先輩のライヴを観ていて。その先輩バンドがMCで、"死ぬことをわかっていながら笑える動物は人間だけだ"って、ばり哲学っぽいこと言ってはるバンドがおって。聞いたときは"ふーん"くらいに思っていたんですよ。最近になってそれを思い出して考えてたんですけど、それって、"そんな矛盾ないよな"って。死ぬのは怖いし、死にたくないし、でもいつ死ぬかわからんし、と思っているんですけど。でも寝るときに明日の目覚まし時計をセットするし、どうせ明日も生きてると思って予定いっぱい入れるし。きっと死なへんと思っているんですよね。そういうふうに考えていたら、いろんなものが不思議に見えてきて、バンバン人が殺されているのをテレビで見ても、"へええ"って無感情で眺めているし......。それを見てめっちゃ落ち込めっていうわけではないですけど、現実に起こってることに対して無感情でいられるのに、作りもののドラマを観て泣けるとか。何なんやろな、この感じ。不思議なことばっかりやんって。SNSでも、楽しいことばかり投稿している人もいれば、悲しくてつらいことばかり投稿してる人もいるし。どれがほんまもんかな?って。死ぬことが怖い自分がほんまもんなのか、どうせ明日も生きられると思ってる自分がほんまもんなのか。どれがほんまもんか、わからへんくなって。けど、ヘラヘラしながら毎日を生きてるなって。楽しいこともあるし、しんどいこともあるけど、まあでも人間ってそういうもんかなあっていう。テーマ的には重たい感じなんですけど、それを逆にポップで賑やかな明るい感じで表現したかった曲なんです。