Japanese
indigo la End
2015年02月号掲載
Member:川谷 絵音 (Vo/Gt)
Interviewer:沖 さやこ
-作品は自分の体を削って作るものだと思いますし、ラヴ・ソングはなおさら自分自身をさらけ出さないと書けないと思います。それを曲にして歌い続けるというのは、絵音さんにとってどういう感覚なのでしょう?
アルバムの曲をまだそんなにライヴでやっていないのもあって、作っていて気負ってる感じはそんなにないんですけど、最後の「幸せが溢れたら」という曲だけはフェスやライヴで何回かやっていて。"これをフェスでやるのか?"と思うかもしれないですけど(笑)。......僕だけでなくメンバーも、すごくぎゅっとなるというか。まだその1曲しかやったことないけど......やっぱり、つらいですよ。今まではどうにもできない気持ちを歌ってきたけど、今回の曲は今までの曲と比べると、歌詞が深いところまでいってるんで。絶対的な別れをテーマにしているから感情移入しちゃって、途中で本当に泣きそうになるというか。だからアルバムのツアーで全部やったらどうなるんだろう(笑)。
-(笑)「幸せが溢れたら」は幸せな男女のもとに訪れた、彼女の記憶障害をテーマにした別れの曲。"僕は逃げだした/ずるかったな ずるかったよな"という歌詞も痛烈で。
そうですね。これは僕が考えたストーリーなんですけど、記憶障害の女性に忘れ去られてしまう。......忘れられるって、1番つらいんで。最後の歌詞の"だけど今でも好きだと伝えたい/それだけだよ それだけなんだよ"は、アルバムの最後はこういう言葉で締めたかったというのもあって、こうしました。
-圧倒的な切なさがありながらも、救いもあるラストだと思います。こうやって11曲を通して聴いていくと、絵音さんの歌が変貌を遂げていることをつくづく感じて。「瞳に映らない」のヴォーカルが若々しく感じるくらいです。
『魅力がすごいよ』をレコーディングしたときに、歌というものをちょっと考え直してみて、そこで得られたものが今回出たというか。今回とてもいい歌詞を書けたから、ちゃんと伝えないともったいないなと思って。"ちゃんと1個ずつ伝えなきゃいけない""(気持ちに)入る歌い方をしなきゃいけない"という責任が生まれたんですよね。だから歌い方は深みがあるように変えましたね。前はちょっとさらっと歌ってたところも、ちょっとためたり。そういうことをすることによって、より艶の出た歌になったなと思います。
-これまでindigoのサウンドとメロディに涙腺が緩むことは多かったですが、今回はサウンドに圧倒されて歌に泣かされる、という感覚があって。後鳥さんの加入によってindigoがちゃんとバンドとして機能して、絵音さんの歌が変わって本当の意味で"歌もの"の音楽になっているんだと思いました。『魅力がすごいよ』ではレコーディング中にメロディを変えたり、絵音さんがディレクションを取る手法もありましたが、今回は?
メロディと歌に関しては、『魅力がすごいよ』のときみたいにレコーディング中にいきなり全部変えたりもしましたね。ひとりでブースにこもって歌詞を書き直したりとか、サウンドもその場で全部変えたりして。「ワンダーテンダー」のAメロのリズムは、ドラムとベース全部変えました。最初はもうちょっとさらっとしてたんですけど、その場で後鳥さんにもうちょっと加えてもらって。......全部変えるというパターンは、今回多かったですね。アルバムのバランスを考えることでアレンジを変えていくんですけど、ゲスでやってみて"変えても大丈夫なんだ"という謎の自信みたいなものが出てきて(笑)。だからアレンジも、そこまで根詰めたわけでもなく。
-肉体的ですね。バンドらしい。
レコーディング当日に(自分以外のメンバー)3人にブースに入ってもらって、自分が違うなと思ったら変えて。そういう意味では今回大変でしたね(笑)。特に後鳥さんは大変だったと思います。後鳥さんが入ったから、色々できるようになったので、それをやってもらったというか。例えば「花をひとつかみ」のベースのスラップは最初なくて、リズムもあんな感じじゃなくて、もっとさらっとしてたんです。
-「花をひとつかみ」はとても甘くて軽やかな曲なのに、ベースはかなりゴリゴリですね。そのコントラストは驚きでしたが、不思議な調和があって、とても面白い。
なんとなく僕がそういうものをやりたくて、その場でお願いしてやってもらったんですけど、結構あのベース難しいんで、後鳥さんでもできなくて。それで3日間練習してもらったんですけど、やっぱりできなくてレコーディングを延期して、別のスタジオで1週間以上練習してやってもらったりとか。結構追い詰めたと思います。今回のアルバムは、後鳥さんがいなかったらできてないですね。
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indigo la End (462)
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前作収録の「名前は片想い」のロングヒットとときめきも記憶に新しいindigo la Endから早くもニュー・アルバムが到着。美的計画でも川谷絵音と抜群の相性の良さを見せたにしなを客演に迎えた「夜凪」では、2人のアンニュイな歌声と、大仰ではないが存在感のある絶妙な弦楽オーケストラで深く物語に惹き込み、タイトル通り高湿度のサウンドを貫いた豊潤な音で躍らせる、ラストの展開も素晴らしい「雨が踊るから」、美しくも本質を突いたドキッとさせる言葉選びで曲世界に没入させる「心変わり」等全11曲を収めた。結成15周年、いくつ作品を重ねてもどんな時代でも、常に新鮮で繊細で一筋縄ではいかない藍色を描き続ける彼等の音楽に唸らせられっぱなし。(稲垣 遥)
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佐藤栄太郎(Dr)が加入してからのindigo la Endはさらに様々な音楽性や表現手法を取り入れているが、今作もそれに違わない。トラックメイカー Qrion、ゲスの極み乙女。のちゃんMARIが手掛けたリミックス曲を含む全12曲のバリエーションはもちろん、各プレイヤーのフレージングや音色も多彩に。インタールード2曲で挟まれた中盤のゾーン(Track.4~8)には"命"をテーマにした曲が揃い、異次元へとワープするような構成も物語性が高く美しい。楽曲それぞれの物語は完結しているというよりは、続きを含んでいるような余韻がある。次回作への伏線、今後のindigo la Endの序章にも成り得るアルバムではないだろうか。まるで夜明け前の空のよう。彼らの彩る藍色がさらなる輝きや潤いを得る日も近い。(沖 さやこ)
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川谷絵音がメジャー・デビュー時にインタビューで語った"今日のバンド・シーンに入っていくため"の骨頂が前作『幸せが溢れたら』ならば、『藍色ミュージック』はindigo la Endの感性が反応する音楽を追求したものだろう。ロックはもちろん、ブラック・ミュージック、ファンク、ダンス・ポップ、チルウェイヴなどを取り込んで作られた独自の音楽性は落ち着いていてシック、まさしく藍色。各楽器に演奏のスキルがあるからこそ、聴き手がじっくりと聴き入ることができる。それを日本のポップ・ミュージックとして成立させているのは歌の力が大きい。琴線に触れるメロディ・ラインは歌詞同様の哀愁を綴り、歌詞もまた柔らかく滑らかにメロディを紡ぐ。日本の音楽シーンに新たな歴史を拓く作品に成り得るのでは。渾身の勝負作。(沖 さやこ)
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indigo la End史上、最も感情的な3曲だと思う。川谷絵音はこれまで絶妙な機微をメロディと言葉に落とし込み、バンドは淡く美しい世界を描いてきたが、昨年加入したベーシストの後鳥亮介と、今年加入したドラマーの佐藤栄太郎の強力なリズム隊が、楽曲の中に大きなうねりを生んでいる。彼らは爽やかさのある楽曲の中にある切なさとやりきれない感情を大きく引き立て、そしてその上で舞う色鮮やかな2本のギターの交錯も躍動的だ。新たな一歩を踏み出したことが嬉しくてたまらないと言わんばかりに力強いアンサンブルがめくるめく。ソウル・ミュージックの匂いのあるTrack.3はまさしく新境地。曲の心地よさはもちろん、川谷絵音のヴォーカルがこれまでにないくらい眩く、その歌に胸が焦がれた。(沖 さやこ)
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このアルバムでindigo la Endは本当の意味で歌を大事にしたバンドになった。それは川谷絵音のヴォーカルの変化が大きい。"いい歌詞が書けたから、ちゃんと伝えたいと思った"。これまではそれを主に感傷的なサウンドや緻密なアンサンブルで表現していたが、この11曲では歌詞と自分の心の奥に一歩踏み込んだ彼の歌が煌く。ストリングスなどを取り入れたことでさらに音の幅は大きく開け、昨年夏に後鳥亮介が正式加入したことで、過去最高にベースの存在感が強い、人間の力を感じられる躍動的な音像に仕上がった。悲恋や失恋がテーマゆえに、聴いているだけで自らの過去のそれが如実に思い起こされ、胸も痛む。だが聴き終えたときに残るのは"幸せだったあのころ"という切なくもあたたかい尊さ、そしてindigo la Endの優しさだ。 (沖 さやこ)
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川谷絵音は他者のことを冷静に見つめ、深く考えられる人間だ。だからこそ彼の頭の中で生まれた音楽はバンドという音になり、盤という形になる。そしてそこにはひとつひとつ大きな意味が存在する。ベーシストの後鳥亮介を正式にバンドに迎え入れた第1作目は、メジャー・デビューを機に更に知名度を高めたindigo la Endのモードにシンクロし、よりポップ・センスを高めた開けた楽曲が表題を飾った。"あなたあなたあなた"と繰り返す1回聴いただけで頭に入る中毒性の高いサビは歌謡曲的で、ロック・シーンに身を置く彼らが今以上に広い場へと羽ばたくことを予感させる。昨年リリースのライヴ会場限定シングルに収録された「幸せな街路樹」を含め、indigo la Endというバンドを象る4本柱というべき楽曲群だ。 (沖 さやこ)
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2012年4月に全国デビューを果たしたindigo la Endの約14ヶ月ぶりの新作。このアルバムが完成した後にバンドのメジャー移籍が決まったとのことで、意図せずこの作品が彼らのメジャー・デビュー作となったが、より広い場所へ身を移し発する第1作に相応しい開けたサウンドになっている。バンドの魅力でもあった歌が主体になりつつもプログレ的展開を見せるサウンドスケープはより明快に。川谷絵音が自身を投影した心情描写に情景描写が絡む映画のような歌詞もドラマティックに流れる。フィクションとノンフィクションの間を華麗に行き来する楽曲群に翻弄され、聴くたびに違った景色が広がるのは、indigo la Endが人の心にしっかりと寄り添う、ぬくもり溢れるミュージックを奏でているからだ。(沖 さやこ)
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昨年4月にデビューしてから2枚のミニ・アルバム、1枚の会場限定シングルをリリースとハイ・ペースでリリースを続けてきた彼らの待望のフル・アルバムであり、2枚のミニ・アルバムから続いた3部作の完結作。「sweet spider」で彼らのメランコリックなメロディと淡い世界観をストレートに表現し、(彼らにしては)過去の楽曲である「she」や「大停電の夜に」もしっかりと今の音にアップデートされている。個人的なハイライトである「スウェル」では彼らにしか成し得ない超展開とエヴァー・グリーンなメロディ、そして全てをしっかりと完結させる完成度の高さは彼らの成長を強く感じる。Indigo la Endの1年が凝縮した作品であり、今の尖り続けるロック・シーンに一石を投じる意欲作。(伊藤 啓太)
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前作『さようなら、素晴らしい世界』でデビューしたindigo la Endのニュー・ミニ・アルバム。収録されている6曲のうち2曲がインタールードという点と、彼らの楽曲1曲1曲がドラマ性にとんでいるのもあり、1冊の小説のような統一された空気感をまとったコンセプチュアルな作品に仕上がっている。ライヴでも既に定番曲になっているTrack.2「レナは朝を奪ったみたいだ」は彼らの持ち味である尖ったギター・サウンドと次々と変わる展開が独特の疾走感を生み、Track.4の「渚にて、幻」は壮大な世界観をシンプルに描写したこのミニ・アルバムのキーとなる楽曲。彼らが変化球を投げ続けねばならないシーンのただの“アクセント”ではないことを証明するには充分すぎる完成度の高い作品だ。(伊藤 啓太)
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東京在住、今回のリリースまでに3本のデモをリリースし、自主企画では200人を超える動員を叩き出し耳の早いインディー・ロック・リスナーの間では話題になっていた彼らの初全国流通盤。鮮やかなメロディが川谷絵音(Vo,Gt)の声を際立たせる「緑の少女」から始まり、「秘密の金魚」、「ジョン・カーティス」では彼らが最近流行のセンシティヴで心象風景を綺麗に奏でる"だけ"ではなく、内に秘めたヒリヒリとした"ロック"を感じる事ができる。そしてライヴでも最後に演奏される事が多い「素晴らしい世界」で彼らの最初の物語は幕を閉じる。色彩豊かな"メロディ"そして"歌"がこのバンドの武器であることは言うまでも無いが、緻密に構築したサウンドを縦横無尽にせめぎ合うバンド・サウンドにも同じくらい注目していただきたい。(伊藤 啓太)
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