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INTERVIEW

Japanese

ASIAN KUNG-FU GENERATION

2013年09月号掲載

ASIAN KUNG-FU GENERATION

Member:後藤 正文 (Vo/Gt) 喜多 建介 (Gt) 山田 貴洋 (Ba) 伊地知 潔 (Dr)

Interviewer:石角 友香


-もちろん、新曲も求められるけど、1つの曲についてアジカンや音楽好きな人が話す機会になるといいなぁと思うんですよね。今、曲の寿命ってどんどん短くなってる気もするので。

後藤:うん、大事だと思う。人のバンドでも“あのツアーの時のアレンジ良かった”とかあるもんね。そういうのはもうちょっとあってもいいと思うし、確かに曲の寿命って短くなってきてるし。そういう意味でも(BECKの)「Loser」のカヴァーとかで、そういうことが回転するとこもあったら嬉しいなと思うし。“どこの誰がやったカヴァー、すげぇいいんだけど”みたいなのも音楽の魅力だし、歌い継いだりするのが、こういう俗っぽい音楽の良さっていうか、もともとの残り方だったりするからね。

-このリリースに結びつけるのはちょっとこじつけなんですが、最近、後藤さんが音楽に限らず伝承っていうことについてよく意見されているので。

後藤:うん。

-どういう記録媒体に残っていくかは変化していくけど、音楽って変化しながら演奏され続けてていくものだと思うし。

後藤:そうですね。CDになってからさ、いつしかCDのアレンジが教典みたいになっちゃって、それ通りやらなきゃみたいになってるけど、実際はもっと有機的っていうかね。そりゃやってる人が老けたら曲も老けるよ、みたいな。老けるっていうか成熟したり、そういうことはもう逆手にとって楽しめばいいのにと思う。そりゃ俺だって20代のTHE ROLLING STONES見たかったけど(笑)。でも、例えば今どっかの若いバンドが今しか鳴らせない音楽をやってると。それは音楽の1つの魅力で、鳴ったそばから音なんか消えちゃうんだから、そうやって今を楽しめばいいと思うんだけど。

-そしてメジャー・デビュー10年の節目にちょうどいいリリースだとも感じて。

後藤:10年やってきて『ランドマーク』ってなんか1つの達成っていうよりは、新しい10年に向けて、これからこうやって音楽って良くして行けばいいのかなっていうような気持ちになったツアーだったんだけど、そういう雰囲気も録れてると思うし、ある種、音楽的な達成もあるから、こういうのでなんていうのかな……若干、ファンが求めてるものと自分たちがやろうとしてるものの距離感って、ちょっと最近感じることがあるんだけど、そういうのが埋まるといいなとは思うよね。演奏も“こういうふうにしてたんだ”とか、“これがやりたかったんだ”みたいな。ライヴに行くと“あれ?人、多くない?”とか思ったかもしれないけど、実はいろいろ考えてやってるとこだったりを、オリジナルと聴き比べしてもらったりとかね、それもいいと思う。

-“人、多くない?”っていう感想は、ファンが4人のアジカンに拘ってるということですか?

後藤:少なからずいるでしょうね。僕もRADIOHEAD、サポート入ってない時のほうが好きですもん。

-ハハハ。

後藤:不自由そうなThom Yorkeを見るのが好きっていう、俺のドSな観点があるんですけど、そういうのってバンドしか持ってないドラマがあるから、そのカルマみたいなものから解放されちゃうと面白くないって見方もできる。だけど俺たちは今回のあのツアーではあの人数が必要だったっていう。それは自分たちが作ったアルバムをさらに良くして、リダクションせずにスケール・アップしてツアーをやるにはね。

-『ランドマーク』のツアーは、まず複数の人の声、そして厳しさを踏まえた上での祝祭感があったと思います。

後藤:うん。あのツアーにはテーマがあって、同期を使いたくなくて。コンピューターの音を1音も鳴らしたくなかったんだよね。人間の力でやりたいっていうのがあって。だから「新世紀のラブソング」も潔が人力でブレイク・ビーツを叩き、三原(重夫)さんがバスドラの生音でベース音になる音を重ねてくるとか、あれがやっぱ、震災後の自分たちの音楽への取り組みとして、こう、ヒューマニティみたいなものが1つ、テーマではあったから、ちゃんと意味があることなんですよね。そういうのとかもホントはもっと伝えていかなきゃいけないとは思ってんだけど、なかなかみんなにアナウンスするのはむずかしいよね。で、この音源を聴いてもらったらそういうところ、伝わるんじゃないかなとは思ってる。