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“version 21.1-fourth-”で精鋭6組が横アリ熱狂ライヴ

2012.02.12 13:12

the telephones、OGRE YOU ASSHOLE、 サカナクションの3バンドが中心となっ て2009年から毎年開催して きたライブ・イベント『version21.1』 も今年で4回目。東名阪3公演にわたって行わ れる今回の『version21.1-fourth-』 のトップを飾る東京公演では、上記3バンドに加えTHE BAWDIES、9mm Parabellum Bullet、andymoriの計6組が横浜アリーナに集結。1万3000人のオーディエンスが会場を埋め尽くし、さながら真冬のロック・フェスのような多幸感に満ちた1日となった。

開演に先立って、石毛輝(the telephones)/ 出戸学(OGRE YOU ASSHOLE)/ 山口一郎(サカナクション)の3人が開会宣言。「『version21.1』、 最初はスタジオコーストで、チケットも売り切れなかったんだけど、今日は1万人ってすごいね。今日はイベントだけど、勝負だよ!」という山口一郎のコールに、早くも熱い歓声が沸き上がる。

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※Photo : 古渓一道

トップバッターはthe telephones。「昼間っから踊ろうぜ! Are you DISCO!?」 という石毛輝の絶叫から「Urban Disco」「sick rocks」 を畳み掛け、横浜アリーナをいきなり巨大なダンスフロアに変えてみせる。「みんなの退屈な日常を、ぶっ壊すぜー!」と炸裂させた、the telephonesの ロック・サイドの結晶のような爆裂ナンバー「D.E.N.W.A」。 ハイパーなシンセと衝動的なギターが軋みを上げる「SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!」。人間ミラーボール状態の銀Tシャツを輝かせながら「4年で横浜アリーナでしょ? オリンピック、ワールドカップと同じくらい、いやもっとすごいってことだあっ!」と叫ぶノブこと岡本伸明も、「やっぱり最後は愛だよね!」とラストの「Love&DISCO」で会場丸ごとダンス&シンガロングへと導いてみせた石毛の姿も、感動的なくらいに熱いエネルギーに満ちていた。

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※Photo : 橋本 塁 (SOUND SHOOTER)

続いてはandymori。どこまでもシンプルに、ラフに、しかしロックとポップの核心だけを掴んで弾むようなメロディとドライブ感あふれるビートに乗っけて疾走す る3人の音が、1万人のオーディエン スの頭と身体をひりひりと震わせていく。《革命を起こすんだ》という高らかな宣誓の言葉を時代に突きつける「革命」。バンドの喜びを通して「今」を生きる充実感を歌い上げていく「ユートピア」。「ぜひテレフォンズにカヴァーしてもらおうかと……」と小山田壮平が悪戯っぽく語っていたダンサブルな「クラブナイト」。小山田のファルセットが横浜アリーナを包み込んだ名曲「1984」。「ベンガルトラ とウィスキー」「Peace」でフロアをがっつり揺さぶった後、「音楽を愛してやまないすべての人に贈ります」というメッセージとともに「愛してやまない音楽を」を披 露、音楽の魔法そのもののようなひとときを美しく締め括った。

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※Photo : 橋本 塁 (SOUND SHOOTER)

3組目はTHE BAWDIES。いきなり「A NEW DAY IS COMIN’」のダイナミックなロックンロールで会場丸ごと揺らすほどの熱狂空間を生み出し、「実は今年初ライヴなんですね。遅れましてですが……明けましておめでとうございます! え、遅すぎますか?」(ROY)というMCから「IT’S TOO LATE」 を畳み掛けるROY/JIM/TAXMAN/MARCY。 「ダイエットだ何だと言ってますが、これはいくら喰っても大丈夫です! ただただ元気が出ますよ!」と「HOT DOG」 を披露し、「どのみち、近道なんてないんですよ。だったら真っ直ぐ進むしかないんですよ!」と「KEEP ON ROCKIN’」ででっかいコール&レスポンスの波を生み出していく……脇目も振らずにロックンロールの彼方へと邁進し、その未来を堂々と担う存在となっ た彼らのマインドそのもののような、力強いロックンロール・アクトだった。

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※Photo : 古渓一道

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※Photo : 橋本 塁 (SOUND SHOOTER)

前田博章のDJプレイを挟んで、後半は9mm Parabellum Bulletか らスタート。「Living Dying Message」「Cold Edge」「The Revolutionary」とエッジ感のカタマリのような轟音を連射し、1万人の情熱をさらに 熱くたぎらせていく。「俺達の『Movement YOKOHAMA』へ来てくれてどうもありがと……それは去年の話でした!」と、昨年6月にここ横浜アリーナで開催したワンマン公演をネタしつつ、ありとあらゆる音のジャンルを咀嚼し血肉化した自由でダイナミックなロックを響かせる4人。「震災から11ヵ月経ったけど、政府とかバタバタしてる今こそ世の中をよくするチャンス。いろんなことを言うやつを黙殺するパワーを身につけていきましょう」(菅原卓郎)という真摯なメッセージと、「新しい光」や「Black Market Blues」の鮮烈なサウンドが一体になって吹き荒れる、壮絶なロックの空間を生み出していた。

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※Photo : 古渓一道

ラス前に登場したのはOGRE YOU ASSHOLE。 「こんばんは、OGRE YOU ASSHOLEです」という出戸学の挨拶MCのみを挟んで、最新作『homely』 から「ロープ」「フェンスのある家」「ふたつの段階」、『アルファベータ vs. ラ ムダ』から「バックシート」を経て再び「ロープ(Long ver.)」 へ至るミステリアスな展開の45分のステージの中で、サイケデリックな陶酔感とは別種の揺らぎと覚醒感を鳴らし、音楽に潜む神秘と畏怖を壮大なスケールで描いてみせたオウガ。特に、出戸 学のハイトーン・ヴォイスと深遠なギター・サウンドが乱反射するように響いた「バックシート」から、痺れるような音世界で15分以上にわたって横 浜アリーナを包み込んでみせた「ロープ(Long ver.)」 への流れは、他のどのギター・ロック・バンドとも異なるマジカルな進化を遂げてきたオウガの真骨頂とも言うべきシーンだった。

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※Photo : 古渓一道

この日のフィナーレを飾ったのはサカナクションだった。「『version21.1』、用意はいいかー!」という絶叫から「モノクロトウキョー」「セントレイ」を畳み掛け、1万人をがっつり踊らせ揺らしていく。ロックとエレクトロを両手に携えてシーンの最前線を開拓し続けてきた彼らは、ほぼノンストップ・ミックス的な展開でもっ て、この日のステージを歓喜の頂点へと導いてみせた。終わりゆくこの時間を全力で楽しもうとするかのように、最後の“アルクアラウンド” “アイデンティティ”にひときわ大きなシンガロングで応えるオーディエンス。「ありがとうございました!」という山口一郎のコールですべてのアクトが終了……かと思いきや、アンコールの拍手を受けて5人が再びオン・ス テージ。「みんなマインドが違うけど、苦しみながら音楽を作ってる6バンドが集まって、センスのいい1万人ものお客さんがこうやって集まってくれると……救われます!」という山口の真摯な言葉と、この日の最後の曲「ナイトフィッシングイズグッド」が、最高に感動的なフィナーレの場面を描き出していた。

(Text:高橋智樹)

< EVENT INFORMATION >
version21.1 fourth
日時:2012年2月16日(木) OPEN 18:00 / START 19:00
会場:愛知・Zepp Nagoya
出演:サカナクション / the telephones / OGRE YOU ASSHOLE / DJ:前田博章
料金:前売 ¥4,000 / 当日 ¥4,500(ドリンク代別途)
問:ジェイルハウス 052-936-6041

日時:2012年2月17日(金) OPEN 18:00 / START 19:00
会場:大阪・なんばHatch
出演:サカナクション / the telephones / OGRE YOU ASSHOLE / DJ:前田博章
料金:前売 ¥4,000 / 当日 ¥4,500(ドリンク代別途)
問:グリーンズ 06-6882-1224