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INTERVIEW

Japanese

ハルカトミユキ

2015年12月号掲載

ハルカトミユキ

Member:ハルカ(Vo/Gt) ミユキ(Key/Cho)

Interviewer:金子 厚武

-いかにその人らしくあれるかっていうことですよね。もちろん、みんなで盛り上がるのはすごく楽しいんだけど、でもそれだけになっちゃうときついから、ひとりでいる瞬間っていうのも必要で、そこはバランスなのかなって。

ミユキ:野音が終わって、ファンの人たちがひとりひとりの感想を集めたビデオ・メッセージを贈ってくれたんです。ハルカトミユキがきっかけになって、ひとりひとりの個性が集まったことがすごく嬉しくて。

-野音の最後に披露されて、11月から配信が始まった「LIFE」は、野音後に向けたメッセージなんですよね?

ハルカ:満杯の野音、涙出ましたね。いや、ホントに全然集まってくれると思ってなくて。不安の毎日の中で、私が思うに、そこに来てくれた人っていうのは、もうホントに孤独なわけですよ。孤独じゃなきゃ、私たちの野音に来るわけがない、的な......自分に重ね合せてるから。その人たちは、野音が終わったらまた次の日からはバラバラで、それぞれひとりで生きていかないといけない。野音がどんだけ良いライヴだったとしても、結局明日から生きていくのはひとりきりなので。私たちはお互い何もできないけど、明日からもちゃんと歩いて、その先で必ずまた会おうっていう歌ですね。ここからスタートしようぜって。

-歌詞を書き上げたのは当日の朝だったそうで、だからこそギリギリになって出てきた素直な言葉が並んでるなって思いました。

ハルカ:素材はたくさん用意してたんだけど、リリックとしては、最終的に前の晩に書いてて、最後までサビのラインを決められなかったんです。言葉はたくさんあったけど、シンプルなメロなので。朝の8時に"よし"ってなって、納得して野音に向かいました。野音で歌った瞬間に完成したというか、あの空間で歌うことで、初めて歌になる言葉たちだったと思うんです。

-ミユキさんも直前まで歌詞を知らなかったわけですよね?

ミユキ:前日のリハで初めてバンドと合わせて、そのときはまだ歌詞がなくて。正直本番でもあの曲をやるのは怖くて仕方がなかったんです。ただ、曲調的にはハルミユ必殺のコード・ループで、ミニマルに同じ譜割りを繰り返していくメロディ。そこだけが気持ち的にはすごく楽でしたね。

-「LIFE」はタイトル通り、ミニ・アルバム『LIFE』の延長線上にある曲と言えると思いますが、曲を作り続ける中で"命"や"人生"がテーマになっていったというのは、表現がどんどん本質的な部分に近づいていっているような印象も受けます。

ハルカ:結局、私の言ってる1対1って、自分のことなんですよね。自分が壊れちゃったときに、自分の歌だけが自分に手を差し伸べてくれたっていうか、そういう歌が必要だったんですよね、私に。そういう歌を、私じゃない誰が聴くのかなって思うと、やっぱり、私と同じような思いをしてる人だけですよね、きっと。だとすれば、私の歌の役割ってハッキリしてるじゃないですか。この「LIFE」は"誰も聴いたことないようなすっごい言葉で、あいつらを変えてやりたかったんだけど、逆にやられちゃって、壊れちゃって、靴ばっかり見てた"っていう歌詞で始まるんですけど、そんな私と共鳴する人が、どっか、世界の片隅にいて。で、そのシューゲイザーたち、それぞれが思ってることがあると思うんですね。そのひとりひとりの想いをすくい上げられるような音楽でありたいとは思っているんですよね。それが結果として"本質"ってものに近づいているのであれば嬉しいですけど。

-ひとりひとりが判断をして、どう生きていくかを決める時代、いわば"多様性と自己判断"の時代を映し出しているような気がします。ハルカトミユキも自分たちの在り方を模索しながらこの1年間動き続けて、自然とそういうテーマが浮かび上がってきたのかもしれないですね。もちろん、この動きは止まることなく、今度は2016年9月の野音に向けて、47都道府県ツアーが始まるわけですが、これは今年野音に来てくれた人たちに対して、来年はハルカトミユキからひとりひとりに会いに行くっていうことなんですよね。

ミユキ:今まで行けなかった場所に行って、私たちのことを知らない人の心をちゃんと掴んで、来年の野音に来てもらえるようなツアーをしたいです。

ハルカ:ある意味、1年後の野音がまったく違うものになっていて欲しいですね。いい意味で、47都道府県を回ったあとの野音でなきゃいけないなって。それがどんなものになってるのかっていうのは、まだ自分でもわからないんですけど。

-それもきっと2016年を駆け抜けた先で見えてくるんでしょうね。

ハルカ:今は"ここからさらになんだな"っていう感じですね。2015年をバーッと駆け抜けてきて、野音でひと段落かと思いきや、勢いがついてて止まらない、そういうことにしたかったんです。47都道府県ツアーをやるっていうのは、止まらないで走り続けて、それこそまた極限状態で野音を迎えますってことの宣言でもあるというか。1年かけてまた極限状態に持って行くから、それを見てくれって言いたいです。"あと何回倒れるか"っていう、それぐらいの覚悟で、またギリギリで頑張ります(笑)。

-2016年もハルカトミユキは動き続けると。

ハルカ:野音経験したことでこれからどうしていかなきゃいけないかっていうのはちょっと見えた気がしてるんですけど、でも結局今年の野音に向けてやってきたような、ひとりひとりにちゃんと伝えていくっていう作業をさらにやっていくことでしか、次の野音もその先もないと思うんです。なので、広い視点で見るというよりは、"ひとりひとり"に"ひとつひとつ"をちゃんと伝えて、それで広げて行くっていうことを、さらに強く、大きく、濃く、やっていく2016年になるのかなって思いますね。

-ミユキさんは2016年に向けてどんなことを考えていますか?

ミユキ:ORANGE RANGEやQUEENとか、大好きなアーティストのライヴやビデオを観て感じた興奮や、80年代の音楽に感じたような新鮮さを、みんなにも味わってもらいたいっていう気持ちが今の私の活動の軸になっていて、今はとにかくそれをどうやって伝えていくかっていうことを考えてるんです。なので、2016年もブレることなく、そこを目指して走って行きたいと思います。