Japanese
THE SPELLBOUND × Marshall
2023年12月号掲載
Member:中野 雅之(Prog/Ba) 小林 祐介(Vo/Gt)
Interviewer:米沢 彰 Photographer:濱谷 幸江
没入感のある空間を作って、その中で曲が展開していくっていう、3D体験みたいなものを目指していて。それが僕の作るオーディオ体験
-YouTubeで公開されているUSEN STUDIO COASTでの「はじまり」(2021年リリースの1stシングル)のライヴ音源を聴いてみたのですが、小林さんのファルセットも含むヴォーカルがしっかりとそれらのサウンドの上に出てきているのも、ちゃんと表現されているなと思いました。
小林:見た目で想像していたよりずっとクリアな音ですよね。各楽器がちゃんとそこにいるのがこのサイズ感でもちゃんとわかるっていう、そういう印象は強かったですね。
-有機的な生ドラムと無機的な電子ドラムが絡み合うことで、ただビートを刻むだけでも、ものすごく複雑で奥行きのあるリズム感が生まれていますよね。ツイン・ドラムという発想は初期のころからあったのでしょうか?
中野:結成のときはライヴのことはあまり考えてなかったので、ライヴをやろうってなってからどういうふうに再現しようか、ということで一緒にやりたいメンバーとかプレイヤーをリストアップして、その中にyahyelの大井(一彌/Dr/DATS)君がいて、誘ったら喜んでやってくれて、という感じで。リズムの表現は、今までだったら打ち込みと生ドラムで作っていたものを人力でできるので、すごく有機的なリズムが組み立てられて、うまく自分たちのバンドのカラーになっているなと思っています。
-THE SPELLBOUNDは無機的なサウンドのイメージが表面的には強い一方で、生身のプレイヤーが関わり合って有機的に生まれるケミストリーをすごく重視しているように感じています。人間が生み出す表現に対する中野さんの期待というか、打ち込みでやれることも人間がやったほうがベターだ、みたいな考え方はあったりするのでしょうか?
中野:それは何を表現したいかによって変わってくることではあるんですけど、いずれにしても音楽制作ってどんどんインスタンスな方向に向かっているんで、下手をすると聴き手もそれに慣れちゃってるところもあるのかなと。自分はまず気持ちが入らないと人に伝えていくモチベーションも下がってしまうんで、自分が作った音楽でも、何か作り手の情熱みたいな熱量が感じられるものがどっかに表れている曲でないと音楽としてそれほど大事にできないので、有機的なものも、無機的なものも、パレットの上の絵具のカラーのひとつみたいに思ってて。切磋琢磨しながら1枚の絵を描き切るっていうことをただずっとやってきているっていうことでもありますね。
-バンドの中のケミストリーというか、一緒に作業をやってて生まれる良さだったり、自分が反映された部分を感じたりすることはありますか?
小林:スタッフも含めて、プレイヤーも違う価値観とか人間性を持った人間が集まってひとつのものを奏でるので、"これはこういうもんだろう"という経験則に則ってお手軽に形にしていくみたいな作業とは結構真逆で。やっぱり同じ時間を過ごして、タイパ、コスパみたいな発想と反対のところで、出会った甲斐があるとか今一緒にいる甲斐があるものがその都度大事にされていく。そういうものがちゃんと積み重なっていって、THE SPELLBOUNDの表現になっていると思いますね。
-ライヴでは浮遊感の中にちりばめられたリズムとビートで"音に溺れる"という表現が一番合うイメージで、これはプレイヤーの側も似た感覚なのかなと思いますが、実際はいかがですか?
小林:僕自身もステージ上でみんなが出している音を聴きながら、"音に触れそうな感覚"とか"自分が浸ってて浮かんできそうな瞬間"を感じる体験はあります。僕自身が中野さんの作る音楽のファンでもあるんですけど、中野さんの出す音は、触れそうなものだったり、染み入ってくるもの、突き上げてくるものとか、聴覚を超えたところに凄みがありますよね。
-すごくよくわかります。
小林:物理的に身体に作用しているっていう感じがありますよね。
-ライヴというよりもレイヴ寄りの感覚に近いですよね。
中野:まぁそれはそうですね。ダンス・ミュージックが出自にあるので。レイヴ・カルチャー世代でもあるし、最終的にはPAスピーカーから出てくるオーディオ体験というふうにとらえていて。バンドでもフォーク・デュオでもなんでも、音を聴いて何が起きるかということではあるんですけど、例えばフォーク・デュオとかはそれほどオーディオ体験を突き詰めることはないじゃないですか。その中でもいい音っていうのはあるとは思うけど。音楽表現の中でもオーディオ体験を抜かりなくやって、すごい低い低音がメンタルに与える作用とか、ワイドなステレオがバッと目の前で広がったときに空間と自分との対比の感覚を味わうとか、点で鳴るものと面で鳴るものと奥行きで鳴るものを組み合わせたりしていくことで没入感のある空間を作って、その中で曲が展開していくっていう3D体験みたいなものを目指していて。それが僕の作るオーディオ体験ですけど、そういうところまでちゃんと表現の中に入れていくとより立体的な経験、体験みたいな、音楽や楽曲に対する感覚もまた違う角度から生まれてくるのだろうと思ってやっている、という感じです。
-バンドとしては先月末に全6本の"BIG LOVE TOUR(-BOOM BOOM SATELLITES 25th Anniversary Special-)"を終えましたが(※取材は11月中旬)、ツアーを終えての感想をうかがえますでしょうか?
中野:とても有意義なツアーで、僕はセカンド・キャリアのバンドになるわけですけれども、本数を重ねるごとに良くなっていて、ちゃんとツアー・バンドになっている感覚を味わえているのがすごく幸せなことだなと思っています。もっと良くなりそうだなっていうのも同時に思うので、このバンドを育てて拡張していきたいなって、気持ちを新たにしたところですね。
小林:"BIG LOVE TOUR"はBOOM BOOM SATELLITES 25周年をテーマに掲げていたんですけど、それはファンのみんなと一緒にBOOM BOOM SATELLITESの音楽を鳴らしているって感覚が毎晩すごく強くて、それがあったからこそTHE SPELLBOUNDの音楽の鳴り方もその日はちょっと違ったような気がします。ふたつが同じ日に鳴らされることの意味とか、それぞれの境界線がどんどん融合していくような感じとか、そういった僕たちが鳴らした大きい音楽全体をファンと一緒にシェアできて、これからも大事にしていこうっていう"出発の儀式"だった気がするんですよ。だから僕はあのツアーでいろんなものを貰えたので、それがこれからTHE SPELLBOUNDとしてどんな音楽に発展させていけるかが楽しみなツアーでした。
-プレッシャーはなかったですか?
小林:もちろんプレッシャーはあるんですけど、今回はプレッシャーにフォーカスしちゃうことはなくて、どちらかというと自分が"それをできる存在としてちゃんといる"っていうことに誇りを持って胸を張っていたいな、っていう思いが強くて。川島(道行/BOOM BOOM SATELLITES/Vo/Gt)さんのギターを持つし。そういう姿をちゃんとファンの前で見せられたのは、プレッシャーよりも大事なことだったなって思います。
-"BIG LOVE TOUR"を経て、次は"BIG LOVE Vol.2"、"(BIG LOVE)Vol.3"とそれぞれ恵比寿 LIQUIDROOM、大阪 Yogibo META VALLEYでの、今度は対バン・イベントとしての開催が決まりましたね。この2公演は対バン相手は異なりますが、基本的に同じコンセプトで行われるという理解で良いでしょうか?
中野:僕らと縁のある人たちから声を掛けていて。対バンをすることで"共有したい"っていうことですね。THE SPELLBOUNDはまだ若いバンドなので、いろんな機会を作っていろんな人に伝えていきたいということで、ゲストを呼ぶ形をとっています。コンスタントに続けていけたらなって思っていますね。
-大阪公演で対バンとなるyahyelは、ドラムの大井一彌さんがTHE SPELLBOUNDのライヴ・メンバーという関係性の深さから特別な公演になりそうですね。大阪公演への思い入れなどをうかがえますでしょうか?
中野:大井君って今の音楽シーンにおいて、最も重要な、多彩なドラマーなので、彼がフィーチャーされるのはすごくいいことだなと思っていて。僕らのファンにも、大井君を通じてyahyelの音楽を知ってもらういい機会だと思いますし、大井君がどういうドラマーかっていうのがよくわかるんじゃないかなと。僕は彼のファンなので、いい日になると思います。
-東京公演はMAN WITH A MISSIONが対バンですね。サウンド的にも相乗効果で盛り上がりそうですよね。どういった経緯でこの組み合わせが実現したのでしょうか?
中野:僕がMAN WITH A MISSIONのプロデュースを始めたのが2016年ぐらいからなんですけど、前のBOOM BOOM SATELLITESというバンドが終了するかしないかぐらいのときに声を掛けられて、プロデュースしてくださいって言われて、そのときに対バンに誘っていただいたりとかいろいろ縁を作ってもらって。それ以来ずっと関係性が続いているんですけど、ぜひ第1弾に出ていただきたいなと、まず最初に声を掛けないとなって思ってた人たちで。あ、人たちじゃないんですけど(笑)。
一同:(笑)
中野:マンウィズ(MAN WITH A MISSION)のファンにとってもLIQUIDROOMサイズで観れるのはエキサイティングだと思うし、まさか受けてくれるとも思ってなかったので。もはやスタジアム・クラスのバンドなのに快諾していただいて。巨大な、マスなバンドなので、僕らもその日学ぶことは多いんじゃないかなと。お互いのファンにとっていい日になればいいと思います。
-思い入れや、こういった公演にしたいというお考えなどうかがえればと思います。
小林:やっぱり対バンということもあり、それぞれのファンだったり相手側のバンドとかチームが集まってくる日なので、普段やっているのとは全然違う気持ちで観られる日になると思うんですよね。だからそこで、当日一緒に居合わせたことがいいことだったなって思えるようにしたいというか、いいコミュニケーションの日だったな、表現の日だったなっていうのを大事にできたらなと思っています。
中野:対バン形式で、音楽との一期一会が生まれる場所なので、いい体験をしてもらいたいなっていう思いでいるのと、ツアーを終えて最初のステップなので、また新しいライヴの形を提案できるようにしていきたいな、というふうに思っています。
-最後にSkream!読者へのメッセージをお願いします。
小林:たまたま僕らが出ている記事とかを見る機会、それはネットだったり誌面だったり両方あると思うんですけど、僕らも今回のことがきっかけとしてあったからMarshallのスピーカーを日常に取り入れる機会になったので、そういう出会いっていうのはやっぱり何かしら意味があることだと思っていて。僕らを見てくれた方は、きっとこれを運命だと思ってぜひ触れてみてください。縁があると嬉しいです。そして音源を聴いて、次はライヴに体感しに来てください。
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