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INTERVIEW

Japanese

POLYSICS

2016年03月号掲載

POLYSICS

Member:ハヤシ(Gt/Vo/Syn/Prog)

Interviewer:吉羽 さおり

-同じ3人ではあるけれども(笑)。

"一体、POLYSICSってなんだろう?"って思ったんだよね。あとは今回、自分にとってもジャンルを取っ払って自然に作ったものだから。このアルバムって一体なんだろうなと思ったときに、"もう、「なんだこれは?」でいいじゃないか"と(笑)。それからアルバム・ジャケットのアイディアを考えようというときに――ちなみにこれ、すごく気に入ってるんだけどね。

-寿司アートで機材を表現していて、これすごいですよね。

そう。アートワークとして、テクノ・ポップで何か象徴的なものを、自分たちなりにいじれたら面白いんじゃないかなと思って、テクノ・ポップというキーワードでGoogleで画像検索してみたんだけど、すごいんだよ出てくるのが(笑)。俺のイメージではKRAFTWERKとかYMOとかPLASTICSとかが出てきてくれるのかと思っていたら、ほとんどアニメとアイドルなんだよね。端にKRAFTWERKがいてくれてよかったけど(笑)。でも、ダブルで"なんだこれは!?"と思ったわけ。

-今の時代で、テクノ・ポップというとそういったものになるんですね。

なるほどなと(笑)。自分はズレてると思ってたけど、ここまでかと。だから却ってネガティヴな感じにはならなくて、アルバム・タイトルは"What's This???"でいいじゃないかと。入ってる曲もそういう曲だし。ニュー・ウェイヴってもともと、人と違ってなんぼという精神論みたいなものじゃない? POLYSICSはなんだかわからないけど、面白い、楽しいバンドだよなっていうところも繋がるし。いいじゃないかなと思ったんですよね。このジャケットは、テクノを象徴するTR-808というRolandのリズムマシンなんだけど、よくよく見ると寿司でできてるっていうね。こういうことに、プロフェッショナルな人が手間暇かけて汗かいて作ってくれるというのは、そういう精神とも近いかなと。それにしても、この寿司808ジャケはイメージ通りでびっくりしましたけどね。

-次にテクノ・ポップで画像検索したときに、このジャケが上がってきたらまた面白い世の中になりそうですけどね。

いいですね(笑)。バンドの姿勢もうまく出せたなと思うジャケットですよ。POLYSICSも、あまり聴いたことがない人からしてみたら、テクノ・バンドっぽいイメージがあるし。でもライヴはめちゃくちゃ生々しいじゃないですか。デジタルだけどアナログな部分があって。

-最終的にタイトルが付いたときには、結成19周年というここにきて、改めてバンドの見え方を再構築するという思いもあった感覚ですかね。

曲を作るときにも振り返ることはあったんですよ。歌詞に対してもそうで、例えば「シーラカンス イズ アンドロイド」(2005年リリースのシングル表題曲)は、POLYSICSを説明してる曲なんだけど、そういう曲はちゃんと今でも残るなと思ったし。そういうことで言えば、今回は見直すきっかけにはなったな。

-常にPOLYSICSは独自の道を走っている感覚がありますが、そういうPOLYSICSから見て今のロック・シーンやエレクトロはどう映っているんですかね。

それも考えたんだよね。でも、共感できるものがあまりないんですよね。

-はい、きっとそうだろうなと思いますが(笑)。

シンパシーを感じるバンドもいないですし。だからって聴かないというのも違うし、若いバンドと一緒にやるのは好きだし、自分たちの音楽を若い子たちに伝えたいですからね。そうじゃないと意味がないと思うから。いろんな層と対バンもしますけど、それこそ、ROVOとナカコーのレーベル"dohb discs"のイベント"soundohb 2015"に呼ばれたときに普段のPOLYSICSとは違うライヴをやれたのはよかったし。何より彼らがオリジナリティがある人たちだから、一緒にやるのはすごく楽しいし、好きなんですよね。でもなかなか、いま音楽的に新しいことをやっている人たちっていないのかなと。SiMは独自のミクスチャーをやってると思うんですけどね。"時代感"みたいなものがないバンドが好きなんですよね、自分は。いつの時代でも古くないよねっていうバンドが好きなので。そういうことでは、最近のエレクトロも、ちょっと別の音楽というか、自分のテクノ・ポップとは違う音楽だし。......そんな中でやっぱり、高橋幸宏さんのMETAFIVEとかは、1音1音にものすごい説得力があるんですよね。ああやって、経験と手間暇かかった音はわかるんですよ。SCHAFTを観に行ったときにも思いましたけどね。あのノイズは、絶対出せないわって(笑)。"なんだこれ?"っていうのものに出会いたいんですよね。

-その中で『What's This???』っていう、"これはなんだ?"というものをPOLYSICSが提示していくのは大事なことじゃないですか。

人と違う音楽をやろうっていう精神のもとに生まれた、ニュー・ウェイヴとかパンクの空気感や熱量が好きなんだなと今回のアルバムを作っていて思ったかな。そこが、わかったのは大きかったですけどね。あとはもっと、"なんだこれは!?"って言っていかないといけない気がするんです、自分の中で。POLYSICSも活動が長いから、完成されている部分もあって。でもそこはもっと崩したいとも思うんですよね。今の3人で5年近くやってきて、これを出してひとつ確立できた部分はあるからもっと違う角度で攻める時期かなとも思ってますね。ライヴでもそうですし。

-3月4日(金)には、大阪・心斎橋BIGCATで1日100曲ライヴ"20周年まであと1年!!! ~まだまだやるで無茶なこと!!! 1日100曲かましたる!!!~"もありますからね。さらに、桁がおかしくなってますけど(笑)。

そうなんだよね、これ大変なのよ(笑)。去年のクアトロとは同じにはしたくないので。でもこういうライヴをして、それに応えてくれるファンには、ほんと感謝してますよ。クアトロは今まで味わったことないライヴでしたもん。お客さんのテンションが異常だもんね。お客さんも若い子も増えてきたし、古い曲はそこまで知らないだろうと勝手に思ってたんだけど、「夏 Bam Bam」という、ベスト盤『BESTOISU!!!!』の初回盤の2枚目に入ってるような曲とかでも、頭のハイハットの♪チチチチっていうのからわーって盛り上がるのはびっくりしましたよね(笑)。もともとメジャーに行くときに某雑誌で、"もちろん、クラス全員に伝わるものでなくていいんだけど、クラスひとりだけめっちゃコアなやつがいて。それが全校にいればいいじゃないか"みたいなこと言っていたんだけど(笑)。ほんとそんな感じで。長年やってきて、こういうコアなファンがいるのは嬉しいことだなあって思いますね。