Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

LIVE REPORT

Japanese

POLYSICS

Skream! マガジン 2017年04月号掲載

2017.03.04 @豊洲PIT

Writer 岡本 貴之

"20周年 OR DIE!!! All Time POLYSICS!!!"と題して行われた、POLYSICSの結成20周年記念ライヴ。満場の"おめでトイス!"に包まれた豊洲PITは、ライヴが終了しても、ファンたちが会場周辺で全39曲3時間に及ぶ祝祭の余韻にいつまでも浸っていた。

オープニングでは、インディーズ1stアルバム『1st P』の冒頭を飾る「サニーマスター」が流れるとともに、アーティスト写真、ジャケット写真がスクリーンに映し出され、4人から3人へ。現在の彼らに辿り着くと、大歓声のなかメンバーがステージに登場して、「Buggie Technica」でライヴがスタートした。続いて1stアルバム『1st P』から「PLUS CHICKER」、メジャー1stアルバム『NEU』から「go ahead now!」、「XCT」と、丹念に(それでいて爆音で)バンドの歴史を辿るオープニングにわくわくする。いつもの"トイス!"に時折さりげなく(?)"トヨス!"と交ぜるなど、ハヤシ(Gt/Vo/Syn/Prog)の煽りも舌好調。さらに、この日はニコ生で独占生中継されているということもあり、中継カメラに向けて"トイス!"、"トヨス!"と呼び掛けるハヤシ。"あ、みんなはいいから"と会場のファンの声を制して熱心にTVカメラに呼び掛けるハヤシとそれを黙って見守る観客たち。この見事な従順ぶりこそ20年続けてきたバンドの求心力のなせるワザ、さすがだ。ものすごい大音量で観客から贈られた"おめでトイス"にハヤシは満面のバイザー・スマイルで"ありがトイス!"と返し、この日を迎えた喜びを全身で表した。

オレンジのツナギと黒いバイザーという初期のスタイルで登場した3人だが、「A・D・S・R・M!」が始まると、フミ(Ba/Syn/Vo)がツナギを脱ぎだし、白ツナギに。さらにヤノ(Dr/Vo)も黄色いツナギへと変身した。どうやら衣装も過去から振り返っていこうという趣向のようだ。ハヤシは「ENO」でファンには懐かしい緑ジャケット、黒縁メガネ姿で登場するなど、ずっと彼らを見続けてきたファンにとっては懐かしく、新しいファンにとっては新鮮な光景が次々と繰り広げられながらライヴは進行していく。「COMMODOLL」ではミラーボールが回るなか、ハヤシがアコースティック・ギターを弾きながら、ヴォコーダー・ヴォイスで歌い、フミの重たいベースと宙を彷徨うようなシンセの音色がストイックな異空間を創り出してそれまでの空気を一変させる。続くメロディアスなダンス・チューン、「Code4」が始まるとドッと歓声が湧いた。海外のテクノ・ポップ、ニュー・ウェーヴを独自の解釈で昇華したPOLYSICSの真骨頂ともいえる名曲だ。「I My Me Mine」ではヤノがハヤシとフミの間に入りリコーダーを吹き、続く「Moog is Love」ではジミヘンばりの白いストラトでスクリーンの炎をバックにチョーキング、タッピングを披露する、20周年記念ライヴならではの光景も繰り広げられた。

20曲を経て、やっとツナギもバイザーも現在のものに。フミのキュートなヴォーカルがダンサブルなリズムに映える「Lucky Star」から「カジャカジャグー」などライヴ定番曲で後半へ。「Let's ダバダバ」ではハヤシがステージを降りてクラウドサーフしながら観客にマイクを向けてコーラスを促す。続く「ワチュワナドゥー」ではステージに大きな盃が運び込まれて、一升瓶を抱えたスタッフが左右から日本酒をなみなみと注いでハヤシがイッキ飲み。めでたさが極まる演出のあとで始まったのは、同じ飲み物でも炭酸飲料の「Dr Pepper!!!!!」。赤と紫の照明が混ざり合うなかでの演奏はなんだか本当にDr Pepperを飲みたくなってくるほど魅惑的だ。「MEGA OVER DRIVE」、「Shout Aloud!」、「URGE ON!!」と、怒濤の攻勢によってフロアがダイヴでもみくちゃになるなか、本編は終了。アンコールを求める"P.O.L.Y.S.I.C.S"コールに応え再びステージに立った3人のツナギをスタッフが一斉にはぎ取ると、3人は鮮やかなイエローのツナギ姿に!"20周年、気持ちも新たにここからまた新しいスタンダードを作っていこうと思います"とのハヤシのMCに大きな拍手が贈られ、ベスト・アルバム収録の新曲「Tune Up!」から客電が点くなかで演奏されたラストの「Buggie Technica」まで、全39曲(サンキュー?)のライヴを終えた。

ステージ上で"生まれ変わった気分でもっとみなさんを楽しませたい"とも話していたハヤシ。そのサービス精神が生み出してきた曲たちはこれからも音楽ファンを存分に楽しませてくれるはずだ。POLYSICS 20周年、おめでトイス!!



[Setlist]
1. サニーマスター
2. Buggie Technica
3. PLUS CHICKER
4. go ahead now!
5. XCT
6. A・D・S・R・M!
7. Poly-Farm
8. Hot Stuff
9. FOR YOUNG ELECTRIC POP
10. MAD MAC
11. ENO
12. Digital Coffee
13. Young OH! OH!
14. COMMODOLL
15. Code4
16. Tei! Tei! Tei!
17. 人生の灰
18. POLYSICS OR DIE!!!!
19. I My Me Mine
20. Moog is Love
21. Lucky Star
22. Rocket
23. カジャカジャグー
24. 発見動物探検隊
25. ピーチパイ・オン・ザ・ビーチ
26. How are you?
27. Let's ダバダバ
28. ワチュワナドゥー
29. Dr Pepper!!!!!
30. 怪獣殿下 ~古代怪獣ゴモラ登場~
31. シーラカンス イズ アンドロイド
32. MEGA OVER DRIVE
33. Shout Aloud!
34. URGE ON!!
en1. Tune Up!
en2. Baby BIAS
en3. Electric Surfin' Go Go
en4. SUN ELECTRIC
en5. Buggie Technica

  • 1